2012年1月18 の記事一覧

棒年会

千疋屋 ババロア

 

 年の暮れのある日、作家Мさんの家を訪ねることが、もう何年もつづいている。年一回、2人だけの忘年会。いつも私が持って行くのは、千疋屋のフルーツ・ババロアである。なぜか、そうなった。

 私と彼は、仕事のこと、共通の友人の消息など、一年分の話をする。やがて、2人の前に、フルーツ・ババロアが並ぶ。Мさんの夫人も、片手にワイン、ひざの上の皿にババロア。この二つの組み合わせが、実に絶妙なのだといい、横の椅子に座って、楽しそうに話を聞いている。それが、おなじみの風景だ。

 今度は、どうなるのだろう。忘年会とは、いかがなものか。けして、忘れてはいけない一年だ、という声があった。当然だ。うーん。ああ、そういえば、こういう虚子の句があったなあ、と思う。

去年今年貫く棒のごときもの

それなら、棒年会は、どうだろう。そう考えながら、Мさんの家へ向かった。あれからもう、半月たった。