2011年12月8 の記事一覧

その火暮らし

どういうわけか、焚火に仕込んだ芋が出てこない。子供の頃、あんなに美味いものはないと思った焚火の芋に、いまはそれほどの執着がない。楽しみにしてはいたのだが、すぐにあきらめてしまった。老年とは言いたくないが、齢を重ねて何かがわかってしまうのは淋しいことだ。焚火の芋なんかも、そのひとつではあるまいか。(山口瞳著『禁酒時代』冬支度から)
焚火好きだった山口さんは、その作品の中に、たくさんの焚火のエピソードを書いている。そのどれもが、楽しく、懐かしい。


さて、『チルチンびと』70号(12月5日発売)は、特集「火のある家にはいい時間がある」。薪ストーブ。そこでつくる冬の料理。ストーブまわりのアクセサリー。炭。七輪。火鉢。火熾し。暖炉。焚火。そして、薪ストーブの似合う木の家。と、つぎつぎに、聖火リレーのような。読んで、暖かい。


その火暮らし、も、わるくないと思った。

チルチンびと70号 火のある家にはいい時間がある