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新春・ワセダ・散歩

初詣に、ワセダへ。初詣ばかりしていると、思われるかもしれないが、この “ 広場 ” をご贔屓にしてくださる方へ、幸多かれとお祈りしているのです。

ワセダなら、穴八幡、放生寺、そして道を渡って三朝庵の融通そば、というのが、オーソドックスな馬場下コースだろう。今日は、それに加えて、早稲田水稲荷へと、足を伸ばそうと歩いていたら、「日本初のブリュレフレンチトースト専門店」の看板が、立っていた。
Foru  Cafe  という店。ここにも初詣することにした。ブルーベリーのかかったフレンチトーストとコーヒー(980円)。外は風が強く、冷えた体に、つめたいアイスクリームが、かえってここちよいことを、知った。

 

 


新春・浅草・散歩

新春・浅草・散歩

新春・浅草・散歩

 

浅草寺に初詣。地下鉄・浅草駅からの人波は、途切れることなくつづく。しかし、一本脇の道は、大分すいている。
浅草演芸ホールの前で、案内を見ていると、隣に立っている男が「ひとり、何分くらい演るの?」と訊いている。「10分くらいですね、顔見せですから」と、関係者の答える声。
そこからさらに離れた合羽橋の方へ歩くと、ふだんより少なめの人通りだ。一軒のお店の前に、「終日就寝」と書かれた紙を見つけた。これは、いい。「本日休業」なんていうより、ずっといい。ご主人の顔がうかんできた。

 


新宿 伊勢丹の門松

新宿  伊勢丹の門松

 

今年も、新宿 伊勢丹に門松を見に行く。それには、まあ、こんなわけがある。この “ 広場 ” のコラム「あの竹この竹」で、以前、こういう文章を読んだからだ。


……
一口に門松と言っても、姿形には多様なバリエーションがあるもので、三年前の正月に都内各地の門松を見て回った際には、竹の種類や門松としての仕上げもそれぞれに違うことに驚きました個人的に素材としての竹の素晴しさナンバーワンと感じたのは新宿伊勢丹百貨店の門松でしたが、次はどうでしょう。静かな正月の町で門松探訪という初詣でをしてみるのも楽しいものです。 ( あの竹この竹・29回・冬の青、春の青・初田徹
……


伊勢丹は、福袋を手にした客でいっぱいだった。門松は、例年のように、スッキリした立ち姿だった。

 


懐かしの高倉健

「高倉健」展

 

「高倉健」展(東京ステーションギャラリー、1月15日まで)に行く。
三回忌だという。生涯で205本の映画に出演したという。そのいくつもの映画を、つぎつぎに観ることができる。
『あなたに褒められたくて』(集英社文庫)という高倉健の本に、こんな母親の想い出がある。

…… あの『八甲田山』やって、母が観に行った後、
「あんたも、もうこんだけ長い間やってるんだから、もうちょっといい役をやらしてもらいなさいよ」って言う。
「もうその雪の中ね、なんか雪だるまみたいに貴方が這い回って、見ててお母さんは  ー  切ない」って。

いくつになっても、母は母、子は子。いい話だった。

 


メリークリスマス!

イルミネーション

イルミネーション

「わっ、スゴイ !」「ママ、あそこに王女さまがいる」「 えー、これ、個人のオタクでしょ。スゴイ電気代でしょうね」「いやあ、ここまでスゴイと、なんかシラけるねえ」「どういう方かしら ? つくった方 ?」

まあとにかく、皆さん、スゴイの連発だ。JR荻窪駅南口を出て、徒歩7,8分。環八から、ちょっと右へ入ると、このイルミネーションが現れる。家の右手左手、とても一枚の写真に収まらないので、まあ、ご想像くださいまし。

タクシーが道に入ってくる。スピードをゆるめ、解説しているらしい運転手さん。後部座席の客は、窓に顔をくっつけて眺めている。「イルミネーション大賞というものがあったら、個人部門で受賞するね」という声を背に、引き上げる。メリークリスマス!

 


「木の駅舎」を見に行く

戸越銀座 木造駅舎

戸越銀座 木造駅舎

 

「戸越銀座 木造駅舎 多摩産スギ ヒノキで美しく改築」という見出しを、見つけた。(『東京新聞』12月7日夕刊)

築後九十年近くがたち、老朽化した東急池上線戸越銀座駅(東京都品川区)の木造駅舎が、東京産のヒノキとスギを使って美しく生まれ変わった。…… という書き出しである。そして、こうつづく。
〈新しい駅舎の特徴は、プラットホームを弓状に覆う屋根にある。幅四十五センチ、長さ三・五 ~ 一メートルの木材を約千枚、格子状に組み合わせた。…… 職人たちが一年四カ月かけて造った。〉とある。総事業費は七億円、という。

戸越銀座駅へ、行ってみた。ホームのベンチに坐っていると、木の香りがする。なんとも、落ちついて、親戚の家にでもきているような気がした。

 


今年のかき氷 終了しました

今年のかき氷 終了しました

 

12月にしては、やけに暑い日があり、訪ねて来た友人が「こんな日は、氷が食いてえなあ」という。行ってみるか。西荻窪・甘いっ子へ。しかし、やっぱりこの季節。ごらんの貼り紙 ー  今年のかき氷   終了しました。来年は   4月の終り頃から始まる予定です。冬来りなば、春遠からじ。
冬は冬らしく、田舎しるこ(680円)をいただいて、帰る。

 

田舎しるこ


長かりし一年


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12月15日。6時から、風土社の忘年会がひらかれた。

いつものように、建築家、工務店、写真家、ライター …… はじめ、いつもお世話になっている方々ばかり。みなさん、『チルチンびと』誌上でも、おなじみの方ばかり。しかし、例年顔を見せてくださった方が、あ、今年はもう、いらっしゃらない、と、ふと寂しくなることもある。

長かりしこの一年を忘ればや    冨安風生

という句を、この時季いつも、思い出す。
みなさま、お元気で。そして、少し早めですが、良いお年を。


灯をともし、薪を焚く暮らし読書会 ②

灯をともし、薪を焚く暮らし読書会

 

『チルチンびと』90号 ― 特集・灯をともし、薪を焚く暮らし ― にちなんで、ビブリオバトルというか、読書会。 前回の続きです。


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Y君    前のお二人は、科学系でしたね。ぼくは視点を変えて『本当の夜をさがして』(ポール・ボガード著・上原直子訳・白揚社)。本のサブタイトルに「都会の明かりは私たちから何を奪ったのか」とあります。著者は作家。
太陽の光の最後のひとかけらまで消え去ってしまった真夜中のブラックロック砂漠で、友人は北斗七星に向かって、僕は天の川に向かって、暗闇を歩く。どちらも地面に触れそうなほど近くにあって、そのまま歩いていけば星々と会話を交わせそうなくらいだ。…… 〉
そして、歩きながら、光害について、眠りについて、夜の文化について、生態系について、考える。タイトルに引かれたんですけど、はじめは。

Kさん   そういう話を聞くと『陰翳礼讚』(谷崎潤一郎著・中公文庫)を読みたくなりますね。ご存じの名著。
〈だが、いったいこう云う風に暗がりの中に美を求める傾向が、東洋人にのみに強いのは何故であろうか。西洋にも電気や瓦斯や石油のなかった時代があったのであろうが、寡聞な私は、彼等に蔭を喜ぶ性癖があることを知らない。昔から日本のお化けは脚がないが、西洋のお化けは脚がある代りに全身が透きとおっていると云う。…… 〉
今日のわれわれの話も “ 陰翳礼讚  ” だったね。
………


『チルチンびと』90号は、12月10日発売です。お楽しみに。

 

 


灯をともし、薪を焚く暮らし読書会 ①

灯をともし、薪を焚く暮らし読書会

 

『チルチンびと』90号 ― 特集・灯をともし、薪を焚く暮ら し ― にちなんで、恒例のビブリオバトルというか、読書会。


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E君   ぼくは『ロウソクの科学』(ファラデー著、竹内敬人訳、岩波文庫)。製本工から科学者になった彼の 、青年のためのクリスマス講演から、というのも今の季節ピッタリ。ロウソクをつくる話から始まって、たとえば……
〈燃えているロウソクを観察しましょう。まず一番上に見事なお椀のようなものができます。ロウソクに近づいた空気は、ロウソクの熱がつくりだした流れの力で上方に移動します。……〉〈…… つまり、ロウソクの側面に一様に働いて外側を冷やしている、驚くほど規則的な上昇気流によってお椀がつくられるのです。…… 〉身辺の観察から話題を展開。いつ読んでも愉しい。

Cさん    私は『問いつめられたパパとママの本』(伊丹十三著・中公文庫)。この本も、それに似ている。子供たちのいろんなギモンに答える形で、たとえば 、こんな質問。…… ローソクノ火ハ吹クト消エルノニ炭ノ火ハ吹クトドウシテオコルノ ?」
〈……   話がややごたごたしましたが、個体の燃焼と、気体の燃焼とが違うということ、炎をだして燃えるのが気体だけであるということ、この二つは覚えておいていいことだと思う。燃えているのが気体だからこそ、炎は吹けば燃えるんです。……〉いつもの独特の文章が楽しい、オトナの科学ですよ。
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『チルチンびと』90号は、12月10日発売です。お楽しみに。