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エドワード・ゴーリーの不安

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

 

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展(練馬区立美術館、11月24日まで)に行く。
〈  アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーは、アイロニカルで少し不気味な独特の雰囲気と繊細なモノクロームの線描で、世界中の人々を魅了してきました。〉……と、案内の文章に書かれている。
そして、この展覧会のための図録の最初のページにある最初の文章は、こんなふうだ。
〈 どういうわけか、人生におけるわたしの使命は人をできるだけ不安にさせることなんですよ。人はみんなできるだけ不安になるべきだと思うんです。世界というのは不安なものだから。…… エドワード・ゴーリー。〉

いやもう、十分に不安です。

 


カルティエ疲れ

カルティエ 、時の結晶 展カルティエ 、時の結晶 展

『カルティエ 、時の結晶 展』(国立新博物館、12月16日まで)に行く。
前日行った人に話を聞いた。「会場内、暗いから危ないですよ。私は、よたよた歩いていたら、係の人から私につかまって歩いてくださいと、言われました」なんでも 著名なSさんという方の演出らしい。
行ってみた。暗い部屋のなかで、時計の照明が美しく浮び上る。「ここは段差があります。足元にお気おつけください」と懐中電灯で、係の人が照らしてくれたりした。それでも 二度ほどつまづき、歩くのが気になって、展示を見る方はおろそかになる。暗夜行路か。疲れた。

 

 


マリアノ・フォルチュニ 織りなすため息

マリアノ・フォルチュニ  織りなすデザイン展

 

『マリアノ・フォルチュニ  織りなすデザイン展』(三菱一号館美術館、10月6日まで)へ行く。行く前に読んだ雑誌に書いてあった紹介の記事は、こんなふうだった。

〈……   愛妻を描いた《アンリエット・フォルチュ二、芸術家の妻》を見てもわかるように、フォルチュ二は元来画家である。父も19世紀スペイン画壇の中心的な人物で、この父と祖父が2代にわたってプラド美術館の館長をつとめた。生まれた時から美のエリートであったフォルチュ二が、いかにしてあの革新的なドレスをつくり、自らのブランドを大成功に導いたのか? 彼の華麗なる人生に、ため息が出ることだろう。〉(『婦人公論』7月23日号・artページ・木谷節子)

たしかに。見とれるお客さんで、賑わう。

 


小笠原のおみやげ

ドラゴンフルーツ

 

『小笠原の植物』(小社刊〕の著者で、本誌にもたびたび執筆される安井隆弥先生が、ひょっこりみえた。「いやなに、今日はこれを届けにきただけですよ」と手にはズッシリ紅い実。なんですかそれ、と聞くと、この説明書読んでください、とのこと。その紙には、……。

ドラゴンフルーツ(ピタヤ)。熱帯地方の原産で広く分布しています。サボテン科の植物で三角柱の茎を持ち、うねりながら伸びるので、その様子からドラゴンフルーツの名がついたといわれています。花は月下美人に似て、夜中に開花します。果実は長楕円形で7月から8月頃収穫されます。花も果実も食用になります。
食べ頃    果実の表皮が緑色から赤色に変わったときに収穫します。樹上で完熟させたものは、甘味豊かでさっぱりした風味です。
食べ方   よく冷やした果実をナイフで割り、スプーンで果肉をすくって食べます。また、ジュースにしても良いでしょう。
……と、書かれている。

今、冷蔵庫の中。もう少ししたら、いただきます。ありがとうございました。

 


長襦袢とは何か?

アンティーク着物万華鏡

 

『アンティーク着物万華鏡 ー  大正 – 昭和の乙女に学ぶ着こなし』(弥生美術館、9月29日まで)に行く。

一階、二階の展示は、着こなし、小説に描かれた着物など。三階へいくと、おや、「長襦袢の魅力」である。「着物の下の遊び心、女心」というサブタイトル。長襦袢には、ながじゅばん  とルビが付いている。そして、長襦袢とは何か? として〈  長襦袢とは着物の下に着る、ほぼ着物と同じ形の衣類である。着る目的は一般的に着物の汚れ除けと、すべりを良くする為と、防寒となっている。………〉などという解説。これらを眺めて、隣のカフェ・港やへ。
限定メニュー・ニューファッション、というのを注文する。カルピスをベースに、素肌に効果のあるお茶を加え、パラソルをさした爽やかドリンク、であるという。
ちょっとツンとしたひと、という味であった。

 


岸田劉生 大回顧展

『岸田劉生』展

『岸田劉生』展

『岸田劉生』展

 

『岸田劉生』展(東京ステーションギャラリー、10月20日まで)に行く。

〈   画家・岸田劉生(1891~1929)は、日本の近代美術の歴史において最も独創的な絵画の道を歩んだ孤高の存在です。明治に始まるその歴史は、フランスの近代美術の追随であったとされます。しかし、岸田劉生はただひとり、初期から晩年に至るまで、自己の価値判断によって、自己の歩む道を選択し、自己の絵画を展開しました。…… 〉というのが、展覧会案内の書き出し。
そして、〈 …… 日本近代絵画史上欠かせない「天才」「非凡人」画家の大回顧展です。〉という言葉も。
帰りに、ショップで、お菓子をふたつ。東京駅は、夏の賑わいも去った。


篠山紀信さんの写真力

篠山紀信展  写真力

 

『篠山紀信展  写真力』(東京ドーム  Gallery  AaMo 、10月27日まで)に行く。
でっかい。とにかくでっかい。「きんさんぎんさん」も「美空ひばり」も「夏目雅子」も「三島由紀夫」も「山口百恵」も「歌舞伎役者」も「プール」も「大相撲」も…… みんな、でっかい。でっかいことは、いいことである。
出口近くに、篠山さんの言葉がある。
……   よりすぐりの顔、顔、顔 ……
          写真って、スゴイぜ !

会場の外、あちこちに、ジョン・レノンとオノ・ヨーコさん。


チルチンびと別冊 『民家の再生と創造 ① 古材・古民家の美』好評発売中

チルチンびと別冊 『民家の再生と創造  ① 古材・古民家の美』

 

チルチンびと「民家」の会  設立記念号  ー  と うたったこの号。
民家再生 12事例」が、掲載されている。

たとえば、「民家再生の実績を生かし 新潟の料亭を移築再生」の場合。担当したのは、愛知県・勇建工業である。
〈…… 現在は新築と民家再生の割合は  6:4 だという同社。新築・民家再生に共通するのは「安心できる自然素材を使った職人の技が光る家づくり」だ。同社では、そのモットーに共感した若い世代の入社が増えているのだという。20代から40代のスタッフに話を聞くと「民家再生は奥が深く、学ぶことがたくさんあります」「左官壁の力を知り、めざしたいと思いました」と目を輝かせて語る姿が印象的だった。 〉

このほか 、保存版「民家再生ハンドブック」など、黒光りする記事満載。


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チルチンびと別冊『民家の再生と創造① 材・民家の美』は、風土社刊、定価〔本体1,800円 +  税〕。好評発売中。

※一部電子書籍でご覧いただけます。


ベニシアさんというドラマ

ベニシアと正、人生の秋に

 

『ベニシアと正、人生の秋に』の表紙を、ベニシアさんが大切にしてきた言葉で、飾っている。その一節。

But  if  you  have  a  hope . Something  might  happen  by  power.  By  your  own  power.  (もし、希望さえあれば、自分のパワーで何かが起こる……)

ベニシアさんは、貴族の家系に生まれた。しかし、子どもの頃からそのことに、違和感を感じていた。やがて、インド人から瞑想を学んだのをきっかけにインドへ。台湾へ。日本へ。いくつもの出会いと別れののちに、現在がある。そのことは、この本にくわしく描かれている。ベニシアさんは、「朝ドラ」のファンであるらしいが、彼女自身、ドラマである。
人生の波乱の中で、「 希望さえあれば、何かが起こる」という言葉を信じて生きてきた、女性のドラマである。

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『ベニシアと正、人生の秋に  ー  正 ありがとう。すべて、ありがとう』は、風土社刊、定価(本体1,800円+税)。9月20日発売です。

 


ベニシアさんを抱く自然

ベニシアさんを抱く自然

週末の夕方、NHKBS「猫のしっぽ  カエルの手」を楽しみにしている方も多いだろう。
あれは、もう5、6年前のことになる。永六輔さんと話をしていたら、ベニシアさんの番組をよく見ていると言い、「ああいう暮らしを、したかったんだ」と言った。この「ああいう暮らしを、したかった」というのは、放送を楽しみにしている方、多くの共通の想いではないだろうか。

京都大原。金比羅山の麓。築100年の古民家。それを取りまく40坪の庭。たくさんの緑、たくさんの花。四季の変化。自然に包まれた暮らし。

『ベニシアと正、人生の秋に』でも、ベニシアさんは、美しい風景にこう、ふれている。
〈…… 毎朝、いちばん私を惹き付けるのは、庭から見えるこの山。これまでいろんな国に行ったけれど、この山の佇まい、光の入り方、本当に美しいと思うの。…… 〉

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『ベニシアと正、人生の秋に  ー  正、ありがとう。すべて  ありがとう』
は、風土社刊。9月20日発売。定価(本体1,800円+税)。