イベント

蛍は大丈夫

 

雨が降っても絵になる京都。

 

 

雨に濡れて苔がいっそう青々と@高台寺

 

けれども、まだ雨の日は数えるほど。気温は35度を超え、いきなり真夏に突入したような今週でした。暑くなれば虫達も元気になる。ついに先日黒くて光るアイツ(通称:G)を室内に発見して恐れおののいた。なるべく殺生はしたくない(後片付けすら怖い)ので誘引タイプの餌などは最低限にして、Gが嫌うというペパーミントオイルをそこらじゅうに蒔いたのだが効果は薄かった(蚊には若干効果あり)。新たな策を探してみると、「ポマンダー」というオレンジやレモンにクローブを突き刺したものが効くらしい。中世のヨーロッパで流行った香りのお守りで、いまはクリスマスの飾りなどに使われているそうだ。但し夏につくるとカビやすい。今回はクローブだけを数か所に置いてみた。それっきり、いまのところ一度も姿を見ていない。

 

閑話休題。週末は下鴨神社の「蛍火の茶会」という催しに出かけた。糺の森(ただすのもり)を流れる御手洗川に、400匹余りの蛍を放つという。納涼市や茶会、十二単の舞や琴の演奏なども行われていて、すごい人出。

 

納涼市や出店の灯りも上品。さすがです

 

あたりが真っ暗になるにつれ、どんどん川のほとりに人が並び始め、少しずつ森の中を進みながら蛍を眺める。ふわり、ふわりと光っては消える蛍の姿はとても幻想的。川のほとりだけでなく結構高いところを飛んでいたのにも驚いた。イレギュラーな流れ星のような感じ。虫が苦手といいながら、蛍だったら近くに来てほしい、なんなら手にとまってほしい、と思うのだから不思議だ。Gのことも蛍だと思えばと言われたけれど・・・

静かで優美な舞や雅楽の間中、カシャカシャフラッシュが焚かれて記者会見みたいになっていたのは、どうも残念だった。蛍にいたってはまったく写らないので、初めからカメラなんて出さないほうが断然楽しめる。あの暗闇の中でシャッターを切ると、うっかり自動でフラッシュがオンになり周囲の大迷惑!私もやってしまいました、ごめんなさい。そんなことすると蛍の繊細な光を見失い、あの尊い幻想空間が一気に失われる。美しさを守るには欲望を抑えることも必要なのだと反省。だけど、蛍の光を求めて15分ほど森の中を散歩するだけで、こんなにも心洗われ充実した気持ちになれるなんて思ってもみなかった。なぜか元気が出た。この「糺の森」も荒廃がすすんでいるとのこと。虫が怖いとか、言ってる場合でない。虫も含めて、守るべきときなのだ。

 

森を守るといえば、新コラム  「森からの手紙 ~中津江村で林業やってます~」 も始まりました。 2月に日田へうかがったとき、林業素人にもわかりやすく面白く厳しい現実を話してくださった田島信太郎さんのコラムです。ぜひお読みください。

 

 

 

 

 


神田祭2013 

昨年の今ごろも、神田祭のブログを書きましたが、

今年の神田祭は4年ぶりの本祭りということもあり

大いに盛り上がりました!!

 

11日(土)は、あいにくの雨…でしたが

境内の横の特設ステージにて太鼓フェスティバルが開催され、

私たちの太鼓チームはこの日、4回の演奏がありました。

(うち1回は将門の首塚にて演奏しました)

午後からは、雨脚も強くなったのですが、

毎年、太鼓を楽しみにしているというお客さまがたに、

雨の中、最後まで演奏を見ていただき

幸せな時間でした♪

 

 

太鼓の稽古を2時間やるよりも、本番1回30分の方が

手のマメや筋肉痛がすごいのは

それだけ無意識に力が入ってしまうから。。。

祭りパワーです!

 

翌日、5月12日(神田祭2日目)は、

朝からとっても気持ちの良い晴天!!

晴天

この日は、朝から、明輪会(神田明神将門太鼓を中心とした

太鼓の会で全国にチームがあります)の皆さんと一緒の演奏も

ありました!

いろいろな太鼓のチームが同じ曲を

ぶっつけ本番で合わせて演奏します。

こうやって見てみると、法被の色もカラフルで

きれいですね!(^^)!

合同演奏

2日目は2回の演奏がありましたが、

座席は両方とも満席でした!

立ち見でも一生懸命聞いてくれている

お年寄りの方や外国の方や、ちびっこたち!

みんなに届け~!!という気持ちをいっぱい込めて

演奏しました♪

YouTube Preview Image

 

 

私は演奏があって、神輿の宮入を

見ることができなかったのですが、

境内では100基の神輿宮入が行われたそうです。

宮入

 

宮入

神輿

神輿

神輿

すごい熱気!そして、威勢の良い声!

 

人と人がつながっているという感じが伝わってくる

祭りが大好きなamedio!(^^)!でした♪


かわいい江戸絵画

「かわいい」の語源は、「恥ずかしい」という意味をもった中世からの言葉 「かほはゆし(顔映ゆし)」 なのだと、今回の展示の図録にあった。

 

たしかに「恥ずかしい」という感情は不意打ちのようにやってくるもので、その瞬間、人は無防備で隙だらけ。その人らしさや本音が思いっきり露出する・・・そんな姿を見られるのは本人にとっては死ぬほど恥ずかしくても、他人からみるとかわいらしかったりする。また、赤ちゃんのように無条件なかわいさもあれば、拙さや未熟さを揶揄したかわいい、もある。アイドルみたいな狙ったかわいさもあれば、鬼や化け物など、怖くて面妖なもの、ヘンテコで可笑しなものの中にふとかわいさが垣間見えることがある。「かわいい」の範囲は、広くて深い。「かわいい」の乱用っぷりを嘆く向きもあるけれど、それは乱用せずにはいられないほど、さまざまな心の動きを代弁してくれる言葉でもある証拠なのかも。

 

そんな「かわいい」表現が、最初に絵画に現れ始めたのは、江戸の頃。それまで絵画に求められていたものとはまったく違う「おかしみ」「たのしさ」「遊び心」を追求し、テキトーな線を書いているようでいて恐ろしく鋭い観察眼と描写力を感じる。中村芳中の「蝦蟇鉄拐図」や仙厓義梵の「猫に紙袋図」など、茶目っ気たっぷりで笑ってしまった。美術館の中でこれほど話し声や笑い声がよく聞こえるのも珍しかった。楽しい展示に心がほぐれました。図録も秀逸。おすすめです。

 

 

「春の江戸絵画まつり  かわいい江戸絵画」展は府中市美術館にて、5月6日(月・祝)まで。常設の牛島憲之記念館も素晴らしいです。


connect取材、そして進化する完成見学会へ

週末、ノイ・フランク アトリエ那須を訪ねた。自給自足で有機農業を実践するアジア学院の豚をつかったハムや、ポトフに入れて煮込めば閉じ込められた何種類ものスパイスが広がるソーセージ、優しい醤油味のゼラチンが引き締まった淡泊な鶏肉を包むチキンローフ・・・など、どれもあっさりと甘みのある脂で後に残らず、塩分が少なくてしっかりとお肉の旨みと歯応えを味わえるものばかり。作家さんでもある店主の小出英夫さんのソーセージづくりへの情熱とこだわりについてのお話は、connect栃木(来週アップ予定)をご覧ください。

 

さて毎度のことながらペーパードライバーのvigoと私。今回は無垢杢工房㈱イケダ(以下、無垢杢工房)の池田光一社長に、恐れ多くも運転をしていただきました・・・せっかく那須まできたので「面白いところがあるんだよー」と数あるお店の中でも池田社長お気に入りの「創造の森」へ案内していただく。保育園も併設だそうなのだ。残念ながら時間が遅くて締まっていたけれど、なんともいえない複雑なブルーの壁と立体的な屋根は目を引く。これからの季節、外でお茶をしたらとても気持ちがいいと思う。ぜひ今度那須に来たら寄ってみたい場所。

 

宇都宮に戻り、池田社長が運営されているただおみ温泉へ。こちらのお湯は、さらっさらの源泉かけ流し。ぴかぴかに掃除が行き届き、澄んでチリひとつ浮いていない。個人的に茶色い色のついたのとか、乳白色とか、あんまりトロミがあるのとか、硫黄の臭いとかがやや苦手なので温泉ツウではない私だけれど、不思議に疲れがスーッと抜けていくお湯。41度と湯加減もベスト!ぜひ、お近くにお立ち寄りの際は、寄ってみてくださいね、ただおみ温泉。

 

翌日は「暮らしのdresser(ドレッセ)」へ。こちらは室内で予約制の料理をいただきながら行う新しいタイプの住宅見学会。会場となる「畦道の家」の設計担当、無垢杢工房の高山さんは、これまでも「ユカリノミチシルベ」で見学会の新しいスタイルを切り開いてきており、今回は第三弾ともいえるイベント。「ドレッセ」とは、フランス語で盛り付けるという意味。タイトルのドレッセは、盛付け・味付けというメッセージを込めた造語だそうで、どんな盛付けと味付けをされた見学会になるのか、予告を聞いたときから楽しみだった。「畦道の家」は、30数坪とは思えない広々した印象で、庭ありテラスあり薪ストーブあり和室あり、二階は将来子どもたちが成長したら仕切れるようになっている広々とした空間+隠れ小部屋(小屋裏収納)と、コンパクトながら暮らし充実・快適度数のかなり高い家。過不足なく、奇をてらうことをせず、和は和でも軽やかで、若い家族にぴったり。

 

野菜をふんだんにとりいれた「mikumari」の美しい料理が、明るいキッチンやダイニングに華と彩を添え、これから住まわれる建て主さん、また家を建てようとしている見学者さんたちのイメージはぐんと広がったのではないでしょうか。

こちらの見学会が実現したのは、イベントでいつも室内外のディスプレイを手掛けている夫婦で営む古道具店と雑貨店「古道具あらい」「アトリエジュウハチバン」のお客さまの自邸。荒井さんと建て主さんが「見学会をするならディスプレイを」と高山さんの知らないところで話が持ち上がり、そこから今回のような前代未聞の新しい見学会が生まれることとなったのだそう。これはもう、建て主さん、設計と施工をする側、ディスプレイを手掛ける側、料理を担当する側の感性がぴったりと一致し、なおかつ相当な連携プレーが必要。運営側もかなり大変なイベントだったと思うけれど、見学に来られる方たちの雰囲気や、食事を心から楽しんでいる様子や、真剣に高山さんに質問を繰り返す姿を見ていると、価値観を共有できる人が自然と集まってくるものだなぁと感じられて、何事もチャレンジって必要。と改めて感じたのでした。

帰り際、「古道具あらい」「アトリエジュウハチバン」に立ち寄り、vigoは鏡を購入。私も1点お取り置きしていただいてます。しばらく来ぬうちに、敷地内にフレンチレストラン「Le Poulailler」がopenしており、こちらもまたさらに魅力を増しています。

最後まで我々に振り回され大変だった池田社長、そしてノイフランク小出さん、高山さん、ありがとうございました!

 

 


日本の民家

日本の民家 一九五五年  二川幸夫・建築写真の原点

 

国際的に活躍した建築写真家・二川幸夫さん(80歳)が、3月5日午後9時59分、腎盂がんのため、都内の病院で亡くなった。葬儀は、親族で営んだ。

朝、新聞の訃報の記事を見て、びっくりした。その日、見に行くつもりの展覧会の写真家が、亡くなったという偶然。『日本の民家 一九五五年  二川幸夫・建築写真の原点』。 汐留ミュージアムの会場は、かなりの人だった。写真に添えられた解説をメモする人が多い。

……  今ふりかえって考えてみても、写真を技術的に上手に撮影しようとは思ってみたこともなかった。自分が何を撮りたいか、ただそれだけであった。技術は私の場合は後からついてきた。10年 も同じことをやっていると上手になるものである。…… と、二川さんは、『展覧会鑑賞ガイド』に、書いている。

その帰り、新橋駅へ歩きながら、今日は、白黒の写真を楽しみ、たくさんの屋根を見た、と思った。屋根の下に庶民の暮らしはあり、庶民の暮らしはモノクロームである、と思った。いまでいうと、ワセダの西門の、マージャン屋が並んでいたあたりに、一軒の写真屋があり、二川さんのスタートは、そこだったと聞いたことがある。

 


「京野桂 陶展」「近正匡治 ムシャムシャ武者展 2013」へ

 

京野桂さんが伊賀からいらしているというので、根津のギャラリー汐花さんを訪ねた。日常的に使ってほしい、という京野さんの器。土は畑の下から採ったものだそうで、そのせいもあるのかどうなのか、大地の恵みを乗せるのにぴったりの温かみのある器ばかり。食卓に並んだ時の様子がすぐにイメージできて使いやすそう。卵色、桃色、水色など淡く控えめな色化粧をした器、厚みがあって柔らかい感じにしても、お名前の雰囲気からしても、勝手に女性だろうと思っていたので、ご本人に会ってびっくり、イメージと全然違う。

大将! っていう感じの京野桂さん

でも、お話ししているうちに、人あたりの柔らかさとか面倒見のいい感じやふくふくとした手の感じとか、やはり器と作家さんは似ている。汐花の店主さんや同時開催の近正さんのことも紹介してくださったり、細やかな心遣い。その人の好さにつけこんで、伊賀訪問時には、周辺を一緒に巡ってくださるという約束をちゃっかりとりつけるvigoと私でした。

話し込む京野さんとvigo

 

同時開催のもう御一方、近正匡治さんの作品は、一度見たら忘れられないインパクトある彫刻。

ちょっと憮然とした子どもたちの表情、たまりません

 

桜餅の香合です。微妙に違うユニークな顔

汐花の店主ご夫婦もいらっしゃいました

 

立体の絵本を見ているよう。どこからこの発想が湧くのか聞いてみると「これ結構普通ですよね」と・・・そう!? 桜餅の顔が香合になるとは、結構飛んでる感じがしましたが。薄い桜の葉とか、繊細極まる技の賜物。なのにペロッと一枚何気なく乗っかっているようなさりげなさに、よけい凄みを感じます。

 

近松匡治さん。ムシャ人形とともに

  

「京野桂 陶展」「近正匡治 ムシャムシャ武者展 2013」は、3月31日(日)まで。30日、31日の週末は、お二方ともに在廊日。お話を聞けるチャンスです。お花見の途中に、立ち寄られてみてはいかがでしょう。  

 

 

京野さんの器でアヒージョを作成。直火にかけても取っ手が熱くならない優れものでした

 

 


春の訪れ♪

今月の初めに梅の花を見に

小石川後楽園へ行ってきました!!

入口にあったのは「ふきのとう」

ふきのとう

 

小学生の時「ふきのとう」という詩を国語で読み、

初めて「ふきのとう」を知りました。

ふきのとうが雪の下から「よいしょ、よいしょ おもたいな」と

言いながら頑張って顔を出していくというお話が

大好きで、今でも覚えている詩です。

ふきのとうと耳にすると、すぐにその詩を思い出して

心がほっこりします♪

(調べてみたら、工藤直子さんという作家さんの詩でした

とってもかわいらしく、優しい詩なので

お時間あれば是非読んでもらいたいです♪)

 

さてさて、小石川後楽園は、水戸徳川家の江戸上屋敷内につくられた

日本庭園(大名庭園)だそうで、四季折々の花が見られます。

3月の初めにはちょうど梅の季節で、ほぼ満開でした!

メジロが花の蜜を吸いにきている姿も見ることができました!

梅

 

小石川後楽園は水戸光圀公ゆかりの庭園ということもあり、

黄門様グッズがあったので、旦那さんが試着をしてパチリ!

なかなか似合っていましたよ(笑)

水戸黄門?!

 

そして、先週末に桜の開花宣言となった東京は、

7~8分咲と満開に近づきつつあります。

これからはお花見シーズン♪

桜

今度はどこに見に行こうかなぁ!!と

花粉症と戦いつつも(**´ >ω<)゙;`;:゙;ヘックション

今からワクワクのamedio(ノ∇≦*)でした

 


「九州ちくご元気計画 SPECIAL EXHIBITION」

ヤブクグリでお会いした江副直樹さんからお知らせをいただいていたのを思い出し、「九州ちくご元気計画 SPECIAL EXHIBITION」にお邪魔してきました。

ブースには、私とvigoにとってはもうおなじみ、うきは百姓組さんのドライフルーツや夜明茶屋さんのむつごろうラーメン、他にも江戸時代からの製法を守りつくられる内野樟脳さん、元気の出そうな山の神工房さんの黒にんにく醤油漬け、翔工房さんの紡ぎ独楽・・・と、気になるモノがいろいろ並んでいます。

「ちくご元気計画」は厚生労働省の雇用創出プロジェクトだけれど、一般的なワードやエクセルの習得などハード面のサポートと一味違って、こちらは「商品の力だめし講座」「ネットで活用写真講座」「おふくろの味郷土料理研修」「おもしろ海産物開発研修」・・・など具体的で、面白そう。講師陣にはべジキッチンさんもいらっしゃいます。こういう魅力的な商品づくりのプロたちの視点でアドバイスを受け、つくり手たちが自力で創意工夫を重ねて魅力的な商品を育てていくことが、このプロジェクトの目的。プロジェクトが終了しても、ものづくりは終わらないから、講師陣もスタッフもつくり手と一緒にものづくりの現場に密着し、支え、ていねいなコミュニケーションを繰り返しながら自立を促す。それは、伝統を守りつつも大きな改革でもあり障壁の連続だけれど、その苦労を引き受ける人たちが相当数集まって一丸となって、大きな子育てをするように取り組んでいらっしゃる。すごいことです。課題は何年後何十年後のさらに先まで、これをどう持続していくか。例えば「元気計画」出身の「うなぎの寝床」さんたちが選んだのは、そうやって生み出された商品を世に出す空間を、地元につくることでした。また、元気な地元のお母さんのいるところは伝える力がものすごくて半端ないのだそう。女は強いのです。さらに注目すべきは、柔軟で吸収力があってアイデアと行動力いっぱいの3代目。たしかにこの世代、山形の森の家さんや、和歌山の高田耕造商店さんも頑張ってらっしゃいます。

これからも、どんどん魅力的なものが出てくるので、待っていてください。とブースでずっとご案内くださった「ちくご元気計画」主任推進員の加藤晃一さん。興味深いお話しをたくさん、ありがとうございました。今後何が登場するのか、とても楽しみです。

 

こちらのイベントは3月24日(日)で渋谷ヒカリエ8F aiiimaで開催中。期間終了間際ではありますが、明日23日(土)には、地方の現在と未来を掘り下げる『いまローカルを考える』というトークセッション(無料・要事前予約)も行われます。ちくごの元気を感じに、ぜひ、行かれてみてください。

 


早起きは三文の得!

昨年の秋におうかがいした「おいしい週末ライオン市」。食材、雑貨、植物、食堂・・・どれも魅力的なshopばかりが浅草の昭和初期築のライオンビルに集い、充実のイベントだった。主宰者の柴山ミカさんは、編集ライター兼プランニングディレクター。生来の食いしん坊と朝市めぐり好きが高じて、とうとう自分で食の市を企画運営するようになったという、素晴らしい行動力の持ち主なのだ。柴山さんの口から聞く市の話は、たとえとても小さな市でもなんだか面白そうに思えて、行ってみたくなる。この伝染力、逃すまじ! ぜひ市の魅力を伝えて欲しいとおねがいした。

 

その柴山さんから「朝市、一緒にいってみますか?」というお誘いがあり「行きます行きます」と二つ返事で、前から気になりつつ今回が初訪問という朝市に同行させてもらう。この日は、とある神社の朝市。土曜の朝九時。海辺の街に降り立てば、潮の香りが漂う。日差しがまぶしい。いつもの休日ならまだまだ寝ている時間のはずで、のっけから非日常な感じ。市には、採れたての野菜や海草、美味しい珈琲やさん、ドーナツやスコーン(あっというまに売り切れて食べそびれた)、手ぬぐいや雑貨が並び、青空の下、ついついお店の人とも会話は弾み、財布の紐も緩み、買い物袋はどんどん膨らむ・・・柴山さんは、さすが朝市の達人で、いつのまにか周辺の新たな市情報を仕入れたりしている。

 

お店の方からいろいろな話を引き出す柴山さん

 

 

たっぷり市巡りを堪能しても、まだ正午。そろそろお腹が空いてきた。「映画の観られるすごくいいカフェがあるんです。前に行った時は、映画に出てきたメニューを食べられて、野菜がすごく美味しくて・・・」と案内してもらったのは、 CINEMA AMIGO さん。静かな住宅街に、ガラス張りの木造りの建物が見えてきた。

 

CINEMA AMIGO外観。ワクワクさせる風情

ランチタイムはスクリーンは下りていないのだが、大きなスピーカーがあったり、いろんな形の椅子や机が全部、前方を向いているので、確かに映画館らしい。アンティークなムードの中に、赤い壁の喫煙室があったりして洒落ている。ランチを待つ間店内を探索しながら、ふと顔を上げると、キッチンカウンターに見覚えのあるスパイラルパーマの人が・・・なんと、3~4年前に定期的にお仕事をご一緒していたフードコーディネーターの上樂由美子さんがいるではないか!!! 一瞬目が合い、お互いしばらく絶句の後、「えーっ!!どうしてここに!?」と同時に叫ぶ。聞けば、2年ほど前に逗子に移住されたのだそう。こちらのシェフは日によって替わるのだが、たまたまこの日のデイリィシェフが上樂さんだった。すごい偶然! 呼ばれた! という感じ。

 

キッチンの中の上樂さん。変わらない頭部のシルエット

 

そういえば当時から都会に住みながら週末だけ田んぼを借りて農業をされていたり、アフリカで観た皆既日食の話をしてくれたり、ナチュラルでファンキーで素敵な人だったけれど、一層その雰囲気に磨きがかかって、すっかり逗子の住人になっていた。いまは広告の仕事を少しずつ減らし、レシピ提案、ケータリングやお料理教室にシフトしているんだそう。とても自然な流れだと思う。彼女のつくるご飯は、見た目が美しいだけじゃなくて心から満足のゆく味わいだ。

バンズもお肉もしっかり真面目。ポテトは甘く、ピクルスのひとつひとつまで、絶品

地野菜のサラダ、デリ3種、蕪とセロリのポタージュ、キッシュ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画のラインナップも、小粒ながらもキラリと光る良質の作品や、これは観ておいて! というこだわりが伝わってくるよう。映画だけじゃなく、上樂さんを含む「AMIGO KITCHEN」というフードクリエイター集団が交替でシェフを務め、映画に合わせたメニューを出したり、ライブイベントなど、ここはいろいろな人が集まってくる逗子の“情報発信基地”なのだ。プロデュースしているのは館長の長島源さん。すらりと長身で、穏やかな感じの方。スタッフの女性も、ジュリーアンドリュースみたいなワンピースを着ていて、スタッフ皆さんの雰囲気ごと、空間ぜんぶが映画みたい。ゆるゆると過したい休日にはぴったりの場所です。日田リベルテさんでも感じたけれど、大好きなミニシアターが次々に姿を消すのがさみしい昨今、地元愛に満ち、新しい文化を生み出すこんな映画館が、もっともっと増えてほしいなあと心から思う。

 

そろそろ帰ろうかと時計をみるとまだ14時過ぎ。これから帰ってもまだ一日はたっぷり残っている。なんて有意義な一日の過ごし方だろう。嬉しい再会もあり。早起きの甲斐がありました。朝市巡り、ハマりそう。そんな市の魅力をたっぷり教えてくれる、柴山ミカさんのコラムは、来月スタートです。どうぞお楽しみに。

 


「いわてんど」に行ってきました

渋谷ヒカリエShinQs クラフトビューローで3月20日(水)まで開催中の、Holzさん&raumさんの期間限定ショップ「いわてんど」に行ってきました。「てんど」とは方言で「手作業、手際」というような意味だそう。岩手を中心とした東北地方の手仕事がぎゅぎゅっと集まる空間を、店主の平山貴士さんが案内してくれました。

まずはHolzさんオリジナルの家型ペーパーウエイト。

 

南部鉄器や真鍮、漆、木工などの作家さんと共につくられています。形はシンプルですが、かなりの手間と技術が必要で、ひとつひとつ神経を使う製造工程なのだそう。手にしてみるとどれも見た目よりずっしりと重いです。そして気になったのが、入口にあるこの馬。

 

「忍び駒」といって、花巻地方で古くから縁結びや子孫繁栄、五穀豊穣などの祈願の使い駒として円万寺観音に伝えられている藁の馬人形だそうで、本当は赤、黒、黄色のドイツカラーを纏わせたり鈴をつけたりして飾り付けるのだそうですが、こちらは、布と紐のシンプル衣装のHolzさんバージョン。また、福島の郷土玩具「赤べこ」も、Antique Showさんの手でちょっとモダンな「グレベコ」に。

 

緻密で繊細な藤澤康さんの木箱、美しい縞と軽さが使いやすそうな関口憲孝さんの器、思わず手に取って握ってしまう高橋大益さんの南部鉄器のクルミ型ペーパーウエイトや、柔らかい曲線を生かした田代淳さんの漆の器とブローチ、伊香英恵さんのシックで春らしいストール…など、伝統と新しさがセンス良く組み合わさった「てんどのいいもの」が並びます。

 

 

 

 

 

 

『てくり』も発見。眺めるだけで、ほんわかのんびりしてくる地元愛溢れるミニコミ誌。

 各地方に訪ねるたびにこういういい本を発見する機会が増えている気がします。創る側もとても楽しんでいて、取材や撮影をされる側も写真の笑顔がすごくリラックスしていて。その土地に生まれ育って(または移り住んで)毎日のように目にする出来事や風景でも、ちゃんと伝えたい残しておきたいと思う、自慢のモノ・コト・ヒト。そういう作り手の熱が入っていて、本から鼓動や体温が伝わってくるようで、いいなぁと思う。地元の方のレシピや、作家さんを集めた本など、てくりさんによるbookletもイイのです。

そして、この日なんと偶然、平山さんのお兄様であるヒマラヤデザインさんがいらしてました。DMのよさが光っていた今回の「いわてんど」。

こちらのDMデザインをはじめ、宮古名物いかせんべいのはかたやさんのパッケージデザインも手がけられています。このジャケ買い必至!の可愛いパッケージを囲んで、貴重な兄弟ツーショットしていただきました。

 

後半は奥様であるraumさんとお店番をバトンタッチされるそう。お店をされながらの長丁場の出店、大変です。この日は残念ながらなかったのですが、大人気の宮古のソウルフード「相馬屋」さんのパンの入荷もあるそう。気になります。ぜひ、自分だけの「いわてんど」を見つけに行かれてみてください。 今後も各地で開催されるそうなので、どうぞイベント情報をお見逃しなく♪