蛍は大丈夫

 

雨が降っても絵になる京都。

 

 

雨に濡れて苔がいっそう青々と@高台寺

 

けれども、まだ雨の日は数えるほど。気温は35度を超え、いきなり真夏に突入したような今週でした。暑くなれば虫達も元気になる。ついに先日黒くて光るアイツ(通称:G)を室内に発見して恐れおののいた。なるべく殺生はしたくない(後片付けすら怖い)ので誘引タイプの餌などは最低限にして、Gが嫌うというペパーミントオイルをそこらじゅうに蒔いたのだが効果は薄かった(蚊には若干効果あり)。新たな策を探してみると、「ポマンダー」というオレンジやレモンにクローブを突き刺したものが効くらしい。中世のヨーロッパで流行った香りのお守りで、いまはクリスマスの飾りなどに使われているそうだ。但し夏につくるとカビやすい。今回はクローブだけを数か所に置いてみた。それっきり、いまのところ一度も姿を見ていない。

 

閑話休題。週末は下鴨神社の「蛍火の茶会」という催しに出かけた。糺の森(ただすのもり)を流れる御手洗川に、400匹余りの蛍を放つという。納涼市や茶会、十二単の舞や琴の演奏なども行われていて、すごい人出。

 

納涼市や出店の灯りも上品。さすがです

 

あたりが真っ暗になるにつれ、どんどん川のほとりに人が並び始め、少しずつ森の中を進みながら蛍を眺める。ふわり、ふわりと光っては消える蛍の姿はとても幻想的。川のほとりだけでなく結構高いところを飛んでいたのにも驚いた。イレギュラーな流れ星のような感じ。虫が苦手といいながら、蛍だったら近くに来てほしい、なんなら手にとまってほしい、と思うのだから不思議だ。Gのことも蛍だと思えばと言われたけれど・・・

静かで優美な舞や雅楽の間中、カシャカシャフラッシュが焚かれて記者会見みたいになっていたのは、どうも残念だった。蛍にいたってはまったく写らないので、初めからカメラなんて出さないほうが断然楽しめる。あの暗闇の中でシャッターを切ると、うっかり自動でフラッシュがオンになり周囲の大迷惑!私もやってしまいました、ごめんなさい。そんなことすると蛍の繊細な光を見失い、あの尊い幻想空間が一気に失われる。美しさを守るには欲望を抑えることも必要なのだと反省。だけど、蛍の光を求めて15分ほど森の中を散歩するだけで、こんなにも心洗われ充実した気持ちになれるなんて思ってもみなかった。なぜか元気が出た。この「糺の森」も荒廃がすすんでいるとのこと。虫が怖いとか、言ってる場合でない。虫も含めて、守るべきときなのだ。

 

森を守るといえば、新コラム  「森からの手紙 ~中津江村で林業やってます~」 も始まりました。 2月に日田へうかがったとき、林業素人にもわかりやすく面白く厳しい現実を話してくださった田島信太郎さんのコラムです。ぜひお読みください。