
「エリック・カール展」に行った。(世田谷美術館、7月2日まで)
展覧会のパンフレットに「すべての子どもたちと、かつて子どもだったおとなたちに」とある。
フシギな色に彩られた、動物、虫、草、花、宇宙…… 遙か昔、子どもだった私は、楽しくみた。
会場で、子どもたちの声がひびく。泣き声がする。それが、少しもうるさくない。やがて、みんな、おとなになる。その幸せを祈らずにいられない。
2017/06/21 morimori, イベント
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1948年6月19日。太宰治と山崎富栄の遺体が、発見された。
明星学園高等学校の近く、万助橋の下を流れる玉川上水。
明星学園の案内板には、「入水した太宰を発見したのは、本校の若き教員で……」と書かれている。
当時は梅雨どきで、水量も豊富で、流れも早かった。川の両岸の下がえぐれていて、ここに入ってしまって、なかなか見つからなかったのだと、噂された。「人喰い川」という名もついていた。
それから69年。いま、橋も新しく、鬱蒼とした木々に覆われて、川面をのぞくこともできない。
2017/06/19 morimori, その他
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4月に「茶の湯」展へ来たときは、上野公園あたり、外国人観光客が多いという印象だったけれど、6月は、修学旅行の生徒が目立つ。みんな、きまって、白い半袖シャツ、リュックサック、手に紙片。元気で!
美術館に入ってすぐ、係の人に「バベルの塔は、どこですか?」と、言っている客がいた。「この階の上の上です」という答えを聞いて、すぐ、上りのエスカレーターに向かって行く。下の階から順々に見て、上がってみると、その人たちが、まだ、バベルの塔の前にいた。「NHKの日曜美術館を、わたし、二度見たのよ」なんて、言っている。「絵の中の働いている人の数、1,300人以上だって」なんて、言っている。
しばらくして外へ出ると、その人たちの動物園に歩いて行く後ろ姿が見えた。「怠け者の天国」か。
(「バベルの塔」展は、東京都美術館で、7月2日まで)
2017/06/14 morimori, イベント
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将棋好きの友人に強く誘われて、「みろく庵」へ行った。千駄ヶ谷駅を出て、能楽堂手前の店。ここで、若鳥唐揚げ定食を食べよう、というのである。いま、連戦連勝の藤井聡太さんの対局の様子をテレビで見たとき、その定食をとっていた。将棋に強くなるために、あやかりたい、というのである。
運ばれてきた定食。唐揚げ3つ。冷や奴。漬け物。ご飯。みそ汁。750円。どれも、素朴な味。これで、あやかることができれば、安いものだ。なんだか、つきあったこちらも、運が巡ってくるような気がするから、妙なものだ。
とそこに、テレビのクルーが、取材に入ってきた。店のひとに「やっぱり、影響ありますか?」と聞いている。当たり前だろ。こっちを見ろよ。
2017/06/11 morimori
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『チルチンびと』夏号の特集「草編みびと」にちなんで、「草の本」のビブリオバトル、または、読書会。
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Uさん。私はオーソドックスに『柳宗民の雑草ノオト』(柳宗民 文、三品隆司 画・ちくま学芸文庫)。あとがきに、こうあります。〈雑草という言葉は、差別的ではあるが、半面、庶民的な親近感がある。題名を『雑草ノオト』としたのも、美人も不美人も差別なく、私たちの身近に普通に見られる草、と解釈していただきたいと思うからである。〉
そして、たとえば、夏の章のドクダミについて、書きます。〈わが国では、花は美しくともやたらにはびこって嫌われ者の雑草だが、西洋では、東洋のエキゾチックな花として庭に植えて鑑賞する。こんなものを植えたら、はびこって始末に悪くなるのではないかと余計な心配をしたくなる。〉 私はひところ、寝る前に「一草」ずつ、読んで知識を得ましたよ。
Sさん。私は、ちょっと変化球で『無限の網 草間彌生自伝』(草間彌生・新潮文庫)。「スミレの声を聞いて」という章に、こうあります。〈生家は格式高い旧家で、百年くらい前から広大な土地で種苗業及び採種場を営んでいた。〉
そして、こういう文章があります。〈幼い頃から、私は採種場へスケッチブックを持ってよく遊びにいった。そこにはスミレ畑が群をなしていて、私はその中でもの思いにふけって座っていた。すると突然、スミレの一つ一つがまるで人間のようにそれぞれの個性をした顔つきをして、私に話しかけてくるではないか。そしてそれがどんどん増殖していって、耳が痛くなるほどに語りかけてくる。〉 ひとの才能は、こういうふうに育ち、花開くということが、少しわかったような気がした。
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『チルチンびと』92号の特集は「草編みびと」と「買う家と、つくる家の違い」の2本立て。6月9日(土)発売。お楽しみに。
2017/06/05 morimori, 書籍
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