

『藤田嗣治 本のしごと』展が、始まった。(目黒区美術館、6月10日まで)。
「文字を装う絵の世界」というサブタイトルがついている。展覧会で観る画とは違う、出版物の小さな世界で出会う画には、また別のたのしさの発見がある。
横光利一の新聞連載小説『旅愁」の挿画がある。いろいろな単行本のしごとがある。雑誌のしごとがある。『婦人公論』の1947年新年号の表紙を、女の横顔が、飾っている。1947年 は、日本国憲法が施行された年である。当時の『婦人公論』編集長は、芦原英了氏だったという解説もついている。芦原氏は、バレエの評論家でもあった。
銅版画あり、木版画あり、フランスの出版物あり。うっかりしてサブタイトルを「文学を装う絵の世界」と、読み違えてしまった。
2018/04/17 morimori, イベント
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〈 先月末、小さいけれど、本好きにはたまらない文学館がひっそりと開館した。鈴木信太郎記念館(運営・東京都豊島区)。鈴木は東大で仏文学を講じ、渡辺一夫、小林秀雄、三好達治らを育てた。〉という書き出しの文章が、『東京新聞』4月9日夕刊「大波小波」欄に載った。それは、こんなふうに続いている。
〈 メインは昭和三(一九二八)年製アールデコ風鉄筋コンクリ造の書斎書庫。鈴木自らデザインしたステンドグラス、資料を四方八方に広げられる特製大机。飴色の本棚にひしめく革製金箔押しの洋書…。気絶するほど美しい書斎である。〉
「本好きの新たな聖地」というタイトルだった。これを読んで、行ってみたいと思わない人は、いないだろう。
行ってきました。
2018/04/15 morimori, イベント
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『ニッポン貝人列伝 時代をつくった貝コレクション』展(LIXILギャラリー。5月26日まで)に行く。地下鉄・京橋駅から少し歩いたところにあるが、このあたり、すっかり変わってしまったことに驚く。
貝は、貝殻を持つ軟体動物であること。そのすみかは、川、海、田、畑、山林…… と、高山から深海まで。適応能力のある生き物であることなどを識る。
貝人たちの中に、櫻井欽一さんとそのコレクションが、老舗の鳥すき屋の主人にして鉱物学博士で、貝類コレクター…… と、紹介されている。
この鳥料理屋は神田の「ぼたん」で、行ったことがある。おいしかった鳥鍋を思い出した。貝人は鳥人でもあったのだ。
2018/04/13 morimori, イベント
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『浮世絵 ねこの世界展』が、始まった。(八王子市夢美術館、5月13日まで)
国芳、広重、国貞、豊国、英泉…… といった浮世絵師たちが描いた猫たちが、会場のあちらこちらに顔をのぞかせている。
そういえば、静岡市美術館でも『いつだって猫展』(5月20日まで)が、始まった。いやいや、『猫たち 猪熊弦一郎展』も、いま、ひらかれている。(4月18日まで。Bunkamura ザ・ミュージアム)。
叱られて目をつぶる猫春隣 久保田万太郎
という句が、好きだ。
春は、猫の季節。猫好きの方の季節。
2018/04/09 morimori, イベント
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友人が定年を迎えた。3月最後の日。彼には不釣り合いの、後輩から贈られた大きな花束を抱えて電車に乗った。すると、前の席に座っていた若い男が、立ち上がり「お疲れさまでした」と言って、席を譲ってくれたという。
『ルドン』展(三菱一号館美術館で、5月20日まで)に行く。東京駅から美術館へ向かう途中、たくさんの、いかにも新入社員という感じの男女にすれ違った。
会場でルドンの大きな花束を見たときに、席を譲られた友人の話を思い出した。あれは、いい話だった。
2018/04/07 morimori, イベント
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エア花見、インドア花見が、流行っていると、ニュースで伝えていた。花は楽しみたい。しかし、騒々しさはゴメンというのだろうか。ならば、「トーハクで叶う贅沢な春のお花見」に行ってみよう。(『博物館でお花見を』東京国立博物館、4月8日まで)
屏風、襖、陶磁器、浮世絵、衣装……などに描かれた桜が、満開だ。日本人の桜好きが、よくわかる。なにしろ、いまも、4月8日は、桜花賞ですよ。なにを狙いますか? というメールがきてるんですから。
2018/04/03 morimori, イベント
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この“ 広場 ”のコラム、「私のセツ物語」が、好評なのは、卒業生の方々の文と絵の楽しさによるものだけれど、それに加えて、星信郎先生のコメントに負うところが大きい。よく 、あんなことを覚えているなあ、と書かれた本人が驚くくらい、生徒一人ひとりのエピソードを、愛情をこめてコメントする。
その星先生と角田侑右弐さんの2人展が、開かれる。星先生にうかがうと、やはりいつものように、やさしく控えめに、こう語るのだ。
「2人展は、角田くんがメインです。彼のアトリエは、いつも、外。廃校舎とか火の見やぐらなどに、直接向き合って描いています。モチーフと作家のやりとりが見えて、彼の絵は息を潜めた生き物のようです。角田くんは、長身。いつも、ゆったり、のんびり。そして、親切。毎年やっている藤野での写生会も、彼の企画とお世話によるものですよ」
………
角田侑右弐 / 星信郎 『山の暮らし 風の暮らし』展 は、4月3日-4月8日。成城学園 カフェ ギャラリー Quo vadis で。
「私のセツ物語」は、コチラからごらんいただけます。
2018/03/31 morimori, イベント
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神保町のちょっと路地を入ったところ。日本料理「きよし」に、貼り紙。
3月30日(金)にて
閉店します
長い間 ありがとう
ございました。
お客様へ 店主
この間、「いもや」の閉店をお知らせしたばかり、だというのに。3月は、別れの時だといっても、つづきすぎる。少し離れた通りは、花見の客で賑わっている、というのに。
ゆく春や箸ですくひし酒の塵 久保田万太郎
あの、ステーキのような、鮭の塩焼き、わすれませぬ。
2018/03/29 morimori, 食べ物
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