2018年3月 の記事一覧

隈研吾とささやく物質、かたる物質

隈研吾とささやく物質、かたる物質

 

「くまのもの ー 隈研吾とささやく物質、かたる物質」展が、始まった。(東京ステーションギャラリー。5月6日まで)

竹。木。紙。土。石。瓦。金属。樹脂。ガラス。膜・繊維 …… と、展示は進んでいく。この展覧会にちなんだカタログにある、隈研吾さんの「物質にかえろう」という文章に、こうあった。

〈コンクリートの大洪水の結果、20世紀の建築は、かつてないほどに、退屈で貧しいものになった。建築をもう一度、楽しくてやりがいのある仕事に変えようというのが、今回の趣旨である。コンクリートを一旦忘れれば、否が応でも考えなければならず、さぼっているわけにはいかなくなる。〉

 

 


「チルチンびと住宅建築賞」授賞式

「チルチンびと住宅建築賞」授賞式

「チルチンびと住宅建築賞」授賞式

 

3月8日。冷たい雨。しかし、ここには、熱く賑やかな時間があった。風土社で、第6回「チルチンびと住宅建築賞」の授賞式が行われた。すべての受賞作品に、いつものように、審査委員の親切な選評が添えられる。

審査委員長・泉 幸甫さんは、『チルチンびと』95号に、書いている。
ー  「チルチンびと住宅建築賞」も、もう6回目です。2017年度はたくさんの応募があり、審査委員としてはうれしい限りです。特に若手建築家部門の応募が目立ちました。審査委員はそれなりに歳を重ねていますが、応募作品の中に若手の建築家が育ちつつあることを見ることができたのは、うれしいことです。………

『チルチンびと』95号(3月10日発売)に、全受賞作品と受賞の言葉、選評が掲載されています。ごらんください。惜しくも選考にもれた方、来年もお待ちしています。(写真は、会場風景と若手建築家部門最優秀賞の半田俊哉さん・平田智子さん。左は、泉幸甫さん)

 


大江健三郎の生家を訪ねる ー 兄・大江昭太郎邸 ー『チルチンびと』95号の予告篇 。その4

大江健三郎の生家を訪ねる ー 兄・大江昭太郎邸 ー『チルチンびと』95号の予告篇 。その4

 

〈大江健三郎のノーペル文学賞受賞をきっかけに、大江文学の里として一躍脚光を浴びることとなった愛媛県内子町大瀬。内子の町並み保存を30年以上手がける、建築家・永見進夫さんがつくりあげた、健三郎の兄、故・大江昭太郎さんの家を訪れた。〉

という前書きで始まる、このページ。

〈内子町の中心から国道379号線を東へ約10キロ。山々が連なる小田川沿いの平地に、大江健三郎が「谷間の村」として小説に描いた、内子町大瀬〈旧大瀬村)がある。江戸時代に和紙産業で栄えたこの町は、内子から久万高原へと向かう遍路道でもあったことから、かつては多くの人びとが行き交い、賑わいを見せていたという。〉

落ちついた佇まいの家。大江文学ファンには、見逃せない。


………
『チルチンびと』95  春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


福島、男女11人春物語 ー『チルチンびと』95号の予告篇。その3

福島、男女11人春物語 ー『チルチンびと』95号の予告篇。その3


『チルチンびと』95号の特集は、3本立て。そのうちの1つが「風土に生きる ― 福島の人びと」。
たとえば、そのうちの1人「食堂 つきとおひさま」の五十嵐加奈子さんの場合。こうです。

〈「何もない町から出たかった」。喜多方市の隣、磐梯山をいただく北塩原村出身の五十嵐加奈子さん。一度は故郷を離れ、東京で調理師学校に通いながら飲食業に就いた。都内の人気カフェで店長を務めていたが、「自分の店を持ちたい」という夢を携え、東京で知り合ったご主人とともに故郷へ戻ることを決意した。…… 「何もない町。だったら自分たちでやってしまおうと思ったんです」と、店ではこれまで映画の上映会や古本市など、数々のイペントを開催してきた。〉

「人とひと、人とものが出会う蔵の町の食堂」とタイトルがついている。このほかに、ティールームあり、カフェあり、ギャラリーあり、電力会社あり。男女11人の春物語が、展開されます。


………
『チルチンびと』95  春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


タイルは、お好き?ー『チルチンびと』95号の予告篇。その2

タイルは、お好き ?ー『チルチンびと』95号の予告篇。その2

 

『チルチンびと』95号の特集は、三本立て。そのうちの1つが「タイルは、自由だ」。
「美しいタイル図鑑」あり、「インテリア実例集」あり。楽しめます。
その特集の中の一つ「大正昭和タイルの巨匠・池田泰山の乱貼りに見る  自由なタイルづかい」で、加藤郁美さんは、書いています。

〈古いタイルをのこす銭湯や映画館に取材に行くと、あるじの皆さんは穏やかで楽しい方ばかりという話題になりました。日本陶磁器意匠センターの桜井氏はにこやかに、「気に入った焼き物茶碗をひとつ手にいれて、毎日それに触れながらお茶を飲んだら、穏やかな心持ちになるでしょう。その焼き物で壁を覆うのがタイルなんですから、何十年もそこで暮らしたら心身ともに変わってくる。それが、焼き物と暮らすっていうことでしょう?」と。〉

そうですとも。ステキな生活スタイルをタイルから。ぜひぜひぜひ。


………
『チルチンびと』95 春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


土間に吹く春風 ー『チルチンびと』95号 の予告篇。その1

土間に吹く春風  ー『チルチンびと』95号 の予告篇。その1

『チルチンびと』95号の特集は、3本立て。そのうちの1つが、「土間のある家」。
「土間がつないだ祖父母の生活風景」「土間も床もあたたか、全館暖房の家」「三和土をつくってみよう」などの記事が並びます。
その土間について、連載「塗り壁の四季」で  小林澄夫さんは、こう書いています。

〈  土間とかニワ(庭)とは、家の外であれ、内であれ、しかるべきところに地をならしてできた、硬く平らな場所のことである。この土間やニワをつくるとき、地べたの土をたたき締めることから、それは「たたき」といわれ、屋内の土間や軒下の犬走りのことを「たたき」と呼ぶようになった。〉
〈「たたき」のことを「三和」とか「三和土」と表記することがあるが、「三和」は、粘土と石灰と苦汁の三つを混和することで「たたき」を三和と書いたのであろう。〉

土間の “ ひんやりした暖かみ ” を、誌上でたっぷり味わっていただけます。


………
『チルチンびと」95  春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


サヴィニャックの魔法

サヴィニャック ー パリにかけたポスターの魔法

サヴィニャック ー パリにかけたポスターの魔法

サヴィニャック ー パリにかけたポスターの魔法

サヴィニャック ー パリにかけたポスターの魔

 

『サヴィニャック ー パリにかけたポスターの魔法』(練馬区立美術館、4月15日まで)が、始まった。

……  偉大な芸術家はどのように現われるのだろうか。自分の時代が来たことを彼らはどうやって知るのだろうか。それは分からない。才気は気の向いた場所に湧き出る。まるで石油のようなもの。サヴィニャックはモンサヴォンの牝牛とマギーの牛を引き連れて、ポスター芸術の歴史の中に、ひいては私たちの文明の中に、ノックもせずに入ってきた。……(「サヴィニャック、パリの魔術師」ティエリー・ドゥヴァンク  。展覧会にちなんだカタログから)

おなじみ。「ひとりでに編める ウット毛糸」のポスターと原画がある。見ているうちに、暖かくなる。これも、魔法。