2013年10月9 の記事一覧

雨の中でもダンスを ― 映画『ベニシアさんと四季の庭』

 公開中(※全国順次公開)の『ベニシアさんと四季の庭』を観に行った。元々多くのファンを持つベニシアさん、地元が舞台というのもあってか、平日のお昼というのにかなりの人でした。

『チルチンびと』で連載中のコラム「京都大原の山里に暮らし始めて」で、ご主人の山岳写真家・梶山正さんが紹介してくださる豊かな庭と周辺の風景や、TV番組「猫のしっぽ カエルの手」でも拝見していたけれど、映画ではさらにベニシアさんの「心の庭」ともいえるような風景が映し出される。

貴族出身のベニシアさんが、その暮らしに満たされず心の声に従ってインドへ、そして日本へ。偶然か必然か辿り着いた京都に恋をした。やがて梶山さんと出会い、大原の家と出会って“一生モノ”の自分の居場所をみつける。けれど平穏な日々ばかりではなく・・・。

庭に四季があるのと同じように、人生にも優しい春の日もあれば、厳しい冬の嵐の日もある。どんな日でも、自然の流れに任せながらもただ流されるのではなく、本当に自分がいいな、こうしたいな、と思う場所へ真摯に向かう彼女の姿は、一生懸命で可愛くて、潔い。夫の梶山さんも、息子の悠仁君も、娘のジュリーさん、孫の浄君、友人たち、皆真っ直ぐでチャーミングな人ばかり。人は、出会うべき人や場所やできごとに出会うようになっているんだな、と思う。

川上ミネさんが奏でる美しい調べとともに、ベニシアさんの庭と心の四季が綴られていく。宝物のような言葉もたくさんちりばめられていて、秋にぴったりの、心豊かになる映画でした。

 

“生き方、暮し方は、ひとりひとりが創りだす芸術作品です。(中略)古いものは私たちの家に美を添え、やがて地球の土へと還っていきます。古いものを、かっこよく!” (映画より)

 

“人生は常に教訓を与えてくれます。日々の生活の中にこそ、答えがあるというのがポイントです。さあ、生きているという奇跡を楽しみましょう。人生とは、嵐が過ぎるのを待つのではなく、雨の中でもダンスをすることなのだと忘れずに。” (映画パンフレットより)