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『建築の日本展』でお勉強

建築の日本展

 

夏休みの六本木ヒルズは、いつもと違った賑わい方をみせる。ドラえもんショーに沸き、展望台は満員だ。それらをすり抜けて、森美術館『建築の日本展』(9月17日まで)へ行く。その遺伝子のもたらすもの ー のサブタイトル。

会場のタイトルは「可能性としての木造」から始まって「超越する美学」「安らかなる屋根」「建築としての工芸」「連なる空間」へ……とつづく 。丹下健三自邸の模型。利休の「待庵」。会津さざえ堂。出雲大社。…… その他、たくさん。
たっぷり勉強した、と日記には書いておこう。

 


クレヨン+パステル=クレパス展

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『巨匠たちのクレパス画展』(損保ジャパン日本興亜美術館、9月9日まで)に行く。

クレパスの誕生は、1925年。クレヨンとパステルのよさを備えたものをと、考えられた。そして、伸びがよくなり、色を混ぜることも可能になった、と会場の発明物語にある。クレパスを使った画家の作品が展示されている。
熊谷守一、猪熊弦一郎、岡本太郎、鈴木信太郎、梅原龍三郎、三岸節子ほか、たくさんの画家。
そのなかから、帰りにショップで、山下清さんの花火のハガキを買う。これもいいけど、山下清さんは、ヤッパリ、貼り絵だな。

 


『ルーヴル美術館展』 満員 !

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ルーヴル美術館展

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『ルーヴル美術館展』(国立新美術館、9月3日まで)に行く。肖像芸術  ー  人は人をどう表現してきたか、というのである。展覧会の5つのテーマが、こんなふうに書かれている。
プロローグ  マスク  ー  肖像の起源 /  記憶のための肖像  /  権力の顔  /  コードとモード  /  エピローグ  アルチンボルド  ー  肖像の遊びと変容。

美術館についた。さて、オヤ、コレは ? 
長蛇の列。「最後尾」の立て札を持ったひとが、「50分待ちです」という。「お盆休みに入ってから、ずっとこんなふうです」
今日は、あきらめた。外に出て、ナポレオンと美しきナーニに、また、来ますよといって、帰って来た。

 


鬼才浮世絵師、芳年

『芳年』展

『芳年』展

 

『芳年』展(練馬区立美術館、9月24日まで)に行く。激動の時代を生きた  鬼才浮世絵師  ー  のサブタイトル。

〈……  明治維新のきな臭い時代背景を通して、武者絵からリアルな戦闘画へと変化を見せます。この頃の作品をして“ 血みどろ絵 ” 、 “ 無惨絵 ”の芳年としたイメージが後世まで強く持たれてきました。…… しかし、それは一時のこと。…… 晩年の10年間に描いた錦絵は芳年画を印象付ける名作・代表作揃いで、最期まで武者絵や物語絵の可能性にこだわり続けた、まさに  “  最後の浮世絵師 ”  と呼ぶにふさわしい画業を展開しました。……〉と、展覧会のパンフレットにある。

最終兵器。浮世絵の鬼才。人気浮世絵師。最後の浮世絵師。そのパンフレットだけでも、こんな絢爛たる言葉が、名前を飾っている。

 


『藤田嗣治展』も、アツイ !

藤田嗣治展

藤田嗣治展

 

『藤田嗣治 展』 ー 没後50年 (東京都美術館。10月8日まで)に行く。

どこそこでは、気温が40℃を超えた。用のない人は、出かけないように。などと言われている日。1歩でも、ムダに歩きたくない日。東京都美術館は、上野駅からだいぶ奥のほうにあるのが、うらめしい。

史上最大級の大回顧展であり、「乳白色の裸婦」10点以上が一堂に会するということが、うたわれている。だから、大勢の方たちが夏ノ暑サニモ負ケズ訪れている。

カフェで、インク瓶とペンと手紙とワインを前に置いて、頬杖をついているひとが、出口の記念撮影のところにも、ショップで買ったチョコレートのケースにも、駅近くのお店の柱にも、顔を出す。暑くて、たいへんねえ、とでも言っているように見える。

 


『縄文』展 始末

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縄文  ー  1万年の美の鼓動

 

『縄文 ー 1万年の美の鼓動』(東京国立博物館平成館、9月2日まで)に行く。
混んでいるんじゃないか、コドモたちは夏休みだし。と思ったとおり混んではいたが、ほとんどのオトナの客が、土器や土偶をためつすがめつ動かない。

出版界でも、縄文で大賑わいだという。『東京人』8月号も、特集は「縄文散歩」。そこに「縄文の思考で、未来を切り拓く。」という座談会があり、「土偶女子  代表」という譽田亜紀子さんが、こう語っている。
〈ファッション界も縄文ブームです。「イッセイ  ミヤケ」が縄文土器や土偶の装飾、文様から着想を得たコレクションを展開したり、「吉田カバン」が現代版の縄文ポシェットを作ったりしています。縄文時代に注目する人が増えている気がします。〉

さまざまな土器を見ていると、浮かんでくるのは大相撲の千秋楽の表彰式である。どっしりと大きな賜杯。海外から贈られる、小ぶりだけれどしゃれたトロフィー。たくさんの国宝を見ての帰り、ショップで、みやげのクッキーを買い、記念にと、ベンチで写真を撮り、そのまま忘れてきてしまった。


ワセダ「 三朝庵」最後の日

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7月31日。早稲田 馬場下の蕎麦屋「三朝庵」が、店を閉めると聞いて、でかけた。満員のお客さん。「いやぁ、閉店すると昨日聞いて、今日は会社を休んで来ましたよ」という男の声がする。「もう、私もカラダはボロボロでね。今日は最後だと思って、ここにいるの」と、おかみさん。

のれんに、「早稲田最老舗」の文字。右の壁には「元 大隈家御用  元近衛騎兵連隊御用」とも。會津八一も “ 御用 ”  であったと聞いたことがある。カレーうどん発祥の店とも、かつ丼の元祖とも、聞いたことがある。長い歴史。おつかれさまでした。

年末年始、穴八幡にお詣りし、その帰りにここで、柚子の入った「融通そば」を注文した人も多いだろう。いろいろなことを思い出しているうちに、天ぷら蕎麦が運ばれた。それを口にしていると、胸がつまってきた。

 


おべんとうは、遠くなりにけり

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『BENTO おべんとう展』(東京都美術館。10月8日まで)へ行った。

……  この展覧会は、日本独自の食文化であり、人と人とをつなぐお弁当をコミュニケーションデザインの視点からとらえ、その魅力を体験しながら、新たな視点を得られる空間になっています。……(展覧会のパンフレットから)

お弁当箱と遊び心、イロイロ  。イーティング・デザイナーの作品。父が子に贈った弁当の日々。おすそわけ見本市、などなど。

見終わったところで、「いかがでしたか?」と係りの人に声をかけられる。「この美術館の地階ですから、駅弁大会のようにはならないとは思ってきましたが」「その期待には、お応えできましたか?」「ハイ、まあ」

今日の昼飯は、Dのチキンカレーだった。昨日は、Pのスープカレーだった。BENTOは、遠くなりにけり。

 


「いわさきちひろ」伝

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生誕100年ということで、ちひろ美術館と同時に、東京ステーションギャラリーでも「ちひろ展」が、始まった。『いわさきちひろ、絵描きです。」(9月9日まで)というタイトル。
このタイトルは、のちの伴侶と出会ったときに、自己紹介をした、彼女の言葉であるという。

「私の娘時代はずっと戦争のなかでした」から始まって「働いている人たちに共感してもらえる絵を描きたい」「私は、豹変しながらいろいろとあくせくします」「童画は、けしてただの文の説明であってはならない」…… とつづいていく。
見る自伝、でしょうか。

 


浜田知明さん 逝く

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浜田知明さんの訃報が伝えられた。

〈旧日本軍に入隊し、戦地に赴いた体験を基に、戦争の不条理などを表現した作品で知られる版画・彫刻家の浜田知明さんが十七日、老衰のため死去した。百歳。……〉(『東京新聞 』7月17日夕刊)

今年の春、町田市立国際版画美術館で「 浜田知明  100年のまなざし展  ー  戦争を経て、人間を見つめる」がひらかれた。そのとき、この “ 広場 ” でも ご紹介した。ポスターの「月夜」という作品が忘れられない。