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タイルは、お好き?ー『チルチンびと』95号の予告篇。その2

タイルは、お好き ?ー『チルチンびと』95号の予告篇。その2

 

『チルチンびと』95号の特集は、三本立て。そのうちの1つが「タイルは、自由だ」。
「美しいタイル図鑑」あり、「インテリア実例集」あり。楽しめます。
その特集の中の一つ「大正昭和タイルの巨匠・池田泰山の乱貼りに見る  自由なタイルづかい」で、加藤郁美さんは、書いています。

〈古いタイルをのこす銭湯や映画館に取材に行くと、あるじの皆さんは穏やかで楽しい方ばかりという話題になりました。日本陶磁器意匠センターの桜井氏はにこやかに、「気に入った焼き物茶碗をひとつ手にいれて、毎日それに触れながらお茶を飲んだら、穏やかな心持ちになるでしょう。その焼き物で壁を覆うのがタイルなんですから、何十年もそこで暮らしたら心身ともに変わってくる。それが、焼き物と暮らすっていうことでしょう?」と。〉

そうですとも。ステキな生活スタイルをタイルから。ぜひぜひぜひ。


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『チルチンびと』95 春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


土間に吹く春風 ー『チルチンびと』95号 の予告篇。その1

土間に吹く春風  ー『チルチンびと』95号 の予告篇。その1

『チルチンびと』95号の特集は、3本立て。そのうちの1つが、「土間のある家」。
「土間がつないだ祖父母の生活風景」「土間も床もあたたか、全館暖房の家」「三和土をつくってみよう」などの記事が並びます。
その土間について、連載「塗り壁の四季」で  小林澄夫さんは、こう書いています。

〈  土間とかニワ(庭)とは、家の外であれ、内であれ、しかるべきところに地をならしてできた、硬く平らな場所のことである。この土間やニワをつくるとき、地べたの土をたたき締めることから、それは「たたき」といわれ、屋内の土間や軒下の犬走りのことを「たたき」と呼ぶようになった。〉
〈「たたき」のことを「三和」とか「三和土」と表記することがあるが、「三和」は、粘土と石灰と苦汁の三つを混和することで「たたき」を三和と書いたのであろう。〉

土間の “ ひんやりした暖かみ ” を、誌上でたっぷり味わっていただけます。


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『チルチンびと」95  春号は、3月10日発売です。お楽しみに !

 


続・太陽がイッパイです

太陽がイッパイ

 

『チルチンびと』94号の特集「太陽エネルギー住宅と薪ストーブ」にちなんで、ビブリオバトル「太陽」! のつづき。

Rさん。 わたしは、『短編少年』(集英社文庫)の中の一編。「僕の太陽」(小川 糸 作)を。亡き父の、夫の面影をたどって、ベルリンを旅する母と子。母は言う。
「マサキ(夫の名)はね、私にとって太陽そのものだったの。比喩とかそんなんじゃなくて、本当に太陽だった」 そしてまた「太陽がなくなったら、人は生きていけないでしょう? 動物も植物も、みんなすみやかに死んでしまうでしょう? 永遠の真っ暗闇に、命は輝けないの。」……〉
母にとっての夫は、太陽だった。しかし、僕にとっての母も、太陽そのものだった、と、母の再婚を聞いた息子は、語るんですね。

Cさん。 『ランポー詩集』(堀口大學  訳・新潮文庫)。この本のはじめのほうに、「太陽と肉体」という詩があります。いいですか、こんなふうにはじまります。
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生命と愛情の源泉、太陽は
歓喜する大地に烈火の愛を通わせる、
………
本の終わりに「鑑賞ノート」があり、それによると、この詩は、一八七〇年四月作。最初は「唯ひとりのみ女を信じる」という題だった、とありますね。それぞれの心に潜んでいる、それぞれの太陽。その眩ゆい日射し。今回は、熱い楽しいバトルでしたね。


太陽がイッパイです

太陽がイッパイ

 

『チルチンびと』94号の特集「太陽エネルギー住宅と薪ストーブ」にちなんで、ビブリオバトル「太陽」!

Sさん 。 『太陽のかがく』(監修  渡部潤一・旬報社)ですね。この本のはじめに、
〈…… 太陽の光と熱のエネルギーは、昼という時間をわたしたちに与えてくれるだけでなく、海や陸を温め、植物を育て、そして洗濯物を乾かし、太陽電池で電気を生み出してくれるありがたい存在です。〉とあります。また〈太陽は地球にもっともちかいじぶんで光る星だ。でも、光と熱が強すぎるため、肉眼はおろか、天体望遠鏡でちょくせつ見ることはできない。〉とあります。
この機会、太陽についてしっかり学ぶなら、子ども向けの本に限ります。写真で太陽の熱さもあらためて、実感できました。

Dさん。 ぼくは、『太陽の季節』(石原慎太郎・新潮文庫)です。そのなかの文章から。
〈…… やがて夏がやって来た。竜哉は兄の道久とヨットを塗り直した。これは彼等兄弟の年中行事の一つである。パテを詰め、ペーパーをかけ、丸みを帯びたシーホースの船体を、女が肌の手入れをするように丹念に仕上げながら、彼等は去年の夏を思い出し、今年の数々の出来事を想像してみるのだ。……〉
1956年、この作品が芥川賞を受けたとき、さまざまな波紋がおこり、“ 太陽族 ”という言葉も誕生した。作者自身にとっても、太陽の季節だったのだろうか。

(つづく)


永六輔さんと『広辞苑』

永六輔さんと『広辞苑』

 

『広辞苑』10年ぶりに改訂、というニュースが、新聞やテレビで、さかんに伝えられた。もっぱら、とりあげられているのは、安全神話、ブラック企業など、新しいことばが追加されるという話題。この追加される人名のなかに、永六輔さんを見つけた。うれしかった、といったらおかしいかな。永さんが、旅に出て1年半たった。

〈死に装束に手甲脚絆があるというのは、死は「旅」だからです。往生というのは、つまり、往って生きる、という意味。…… 向こうに往って生きている仲間が大勢います。遠くない将来、僕もそこに往って、みんなとまた再会できる日が来るでしょう。そう考えると今からちょっと楽しみです。〉と『大晩年』(中央公論新社)で、永さんは語っていた。

永さん、『広辞苑』に載りますよ、と言ったら、きっとアハハと笑うだろう。

 


『がきデカ』の孤独

『大阪弁の犬』(山上たつひこ著・フリースタイル刊)

 

発売になったばかりの『大阪弁の犬』(山上たつひこ著・フリースタイル刊)を読んだ。ご存じ、『がきデカ』などのヒットをとばした漫画家の自伝である。どのページにも、哀感が漂っているように思われた。おいしいものを食べても、旨い酒を飲んでも、人と交わっても、作品がヒットしても、どこか、哀しい。
「大月猫日の記」という最後の章に、自宅から仕事場まで、珍奇な自転車で通った話がある。前車輪が大きく、後車輪は小さい。“  ダルマ自転車 ”  のレプリカ。それを漕いで、深夜往く。その場面は、こう終わっている。
昼間に乗れば好奇の目を集める乗り物は真夜中にはいっそう珍奇であったろう。見る人はいなかった。ぼく一人が観客で、ぼく一人が演技者だった。〉
もしかしたら、これは、漫画家の孤独を語っているのかも知れない。セツナイ話だった。

 


武田百合子さんのカレー日和

カレー

 

カレーを食べたい気持になるとき。

○カラリと晴れた日。雨の日などはならない。
○体力のある日。(そうはいっても、こんにゃくを食べたくなるほどの体力まではない日)
○強気の日。
○反省していない日。
○気分のいい日。
○気分のふさぐ日にも。(ふさいでもお腹は空く。これを食べて元気を出しましょうと食べる。ふさいでいる日には、悪酔するからお酒類は飲まない。このての食べものは、カレーのほかにもう一つある。鰻重)

『日日雑記』(武田百合子・中公文庫)に、こういうカレーの話がでてくる。今日は、このほとんどが当てはまる気がして、昼にカレーを食べた。

 


澁澤龍彦展と文章修業

『澁澤龍彦   ドラコニアの地平』展


『私の文章修業』(朝日新聞社)という本の、何人もの方が書いているなかに「嘘の真実・澁澤龍彦」の章がある。
そこでは、高校から大学時代にかけて、熱心に読んだコクトーから、多くのことを教わった気がする、としたあとに、こうつづけている。
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〈たとえば「軽さのエレガンス」ということがある。文章は、あまり仰々しく重々しくなってはいけないのである。伊達の薄着のように、着ぶくれしないで、しゃんとしていなければならない。軽さもエレガンスも、怠惰や無気力を拒否する精神の特質であろう。〉
………
『澁澤龍彦ドラコニアの地平』展(世田谷文学館・12月17日まで)に行った。遺された原稿のコーナーがあった。原稿は、2B、3Bの鉛筆で書き、直しは、万年筆パーカー21で入れたという。それを見てこの「嘘の真実」を思い出した。文章修業では、軽さのエレガンスのほかに、スピード、スタイル、独創性についてもふれているが、それをここに書くと、重ね着になってしまう。

 


神保町の秋

ランチョン

 

昼に、ランチョンに行って、ハンバーグを注文して『神保町が好きだ!』という雑誌を読んでいたら、ランチョンの話がでてきたので、そのグーゼンに驚いた。
「神保町を世界遺産に!」というタイトルで、鹿島 茂・森まゆみ対談が、載っている。
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   ビアホールのランチョンの二階から見ると目の前に並んでいた丸窓の風景が楽しかったですよね。昼間に飲むビールがまた美味しい(笑)。あそこも古いですよね。
鹿島   明治四十二年からある。一九七二、三年にランチョンが火事になった時に、僕の友人がその前を通るとビールを持って逃げ出してきた吉田健一に遭遇したそうです(笑)。
   中央大学の先生でしょう。テストの採点をランチョンの人にやらせて自分はビールを飲んでいたとか(笑)。その話を書いて見せに行ったら、そこだけは書かないでくれと言われたことがありました。ランチョンから見える鞄屋さんも古いですよね。
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間もなく、神田古本まつりと神田カレーグランプリが、開かれる。そうすると、いつもとは少し違った賑わいが通りにあふれ、あ、秋も暮れるなと思うのだ。

 


パンダの名前

パンダ

 

上野のあちこちは、6月に生まれたパンダの赤ちゃんのおかげで、賑やかだ。名前を募集したら、32万件もの応募があったという。今月末、発表になったら、さらに盛り上がるだろう。
美術館の帰りに、レストランに行ったら、隣の席にパンダが2頭。

赤ちゃんは、なんという名前になるかね。カタカナを、重ねた名前になるのは、確かでしょうね。そういえば、雑誌『アンアン』というのは、モスクワの動物園にいたパンダの名前がアンアンというのがヒントだった、と『「アンアン」1970』(赤木洋一・平凡社新書)で読んだよ。

なんて、話していたような。