建築

1通のメール……洋館の保存のために

。『チルチンびと』76号〈特集・昔家を、愉しむ〉に載った「潮風とステンドグラスと古民家を愛して」

 

この記事をご記憶の方は、多いだろう。『チルチンびと』76号〈特集・昔家を、愉しむ〉に載った「潮風とステンドグラスと古民家を愛して」である。ー  デュルト・森本康代さんのアトリエと住まい、そして旧グッゲンハイム邸 ー  というサブタイトル。その記事でもふれているが、「旧・ジョネス邸を次代に引き継ぐ会」として、神戸を象徴する洋館の保存活動が行われている。その関係者の方から、つぎのようなメールが届いたので、ご紹介する。

 


 

こんにちは

お世話になります

じつは、今日はちょっとしたお願いがあってお便りいたしました

雑誌チルチンびとの最新にも載っている森本一家(グッゲンハイム邸)が合同会社を立ち上げられてジョネス邸保存のために尽力なさっているのをご存知ですか?

買取り期限が今月までと限られております

もし以下のサイトをご覧になって、感銘を受けられましたらどうか「チルチンびと広場」で取り上げていただけないでしょうか

http://shioya100.co.jp/

マンションはいつでも建てられます、きっと、ジョネス邸は二度と建てられないと思いますし、住民にこんなに愛されている建物は少ないと思います

お忙しいなか、申し訳ないです、どうかよろしくお願いします

 

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日本の民家

日本の民家 一九五五年  二川幸夫・建築写真の原点

 

国際的に活躍した建築写真家・二川幸夫さん(80歳)が、3月5日午後9時59分、腎盂がんのため、都内の病院で亡くなった。葬儀は、親族で営んだ。

朝、新聞の訃報の記事を見て、びっくりした。その日、見に行くつもりの展覧会の写真家が、亡くなったという偶然。『日本の民家 一九五五年  二川幸夫・建築写真の原点』。 汐留ミュージアムの会場は、かなりの人だった。写真に添えられた解説をメモする人が多い。

……  今ふりかえって考えてみても、写真を技術的に上手に撮影しようとは思ってみたこともなかった。自分が何を撮りたいか、ただそれだけであった。技術は私の場合は後からついてきた。10年 も同じことをやっていると上手になるものである。…… と、二川さんは、『展覧会鑑賞ガイド』に、書いている。

その帰り、新橋駅へ歩きながら、今日は、白黒の写真を楽しみ、たくさんの屋根を見た、と思った。屋根の下に庶民の暮らしはあり、庶民の暮らしはモノクロームである、と思った。いまでいうと、ワセダの西門の、マージャン屋が並んでいたあたりに、一軒の写真屋があり、二川さんのスタートは、そこだったと聞いたことがある。

 


第1回 チルチンびと住宅建築賞 授賞式

第1回チルチンびと住宅建築賞の授賞式が、主催者の風土社で行われた。

まずは風土社代表・山下武秀氏の挨拶。「この賞は日本の住まいをより豊かにするため、そして地域からの住まいのデザイン、すなわち地域工務店のデザイン力が向上し、職人の仕事の活性化や林業の再生を目指し、競合に負けず、家づくりに関わることをもっと楽しむため、今年度から創設した賞です」とのお話。

続いて審査委員長の建築家・泉幸甫氏より「20軒ちかくの家を地域工務店とつくってきた、その経験からしても、やはりデザインができないとこれからは厳しい。とにかく図面を描くことが大切。今回3つも受賞した安成工務店にはいろいろな理由があるだろうが、社長に聞くと設計が非常に好きで、とても時間をかけている・・・・設計者に対する賞というのがこれまであまりなかったけれど、こんな風に人の目に触れていくことで励みになる。設計者の育成は今後の家づくりにおいて非常に大切、そして設計者のプライドを育てるためにも賞の創設にはとても意義がある」とのお話。

審査委員の建築家・田中敏溥氏の「安成工務店設計者・三浦和さんの言葉 “ 家族の暮らしがまちにこぼれるような家 ” という表現がいい。家族間はもちろん、隣近所や街や道路とも仲の良い家ということが表れており、とてもいい家」という講評。同じく審査員の建築家・松本直子氏の「私は昔は手描きで図面を引いていて途中からCADになったのだけれど、手描きだと一本の線に根拠がないと引けない。その一本の線の意味をCADを最初から使うようになった今の設計者にも大切にしてもらいたい」という言葉。印象的だった。

泉審査委員長は「家のデザインというのは、設計だけでなく家族のありかたのデザイン、また個々人の人生のデザイン、景観が周囲に馴染んでいるか、人が出入りし集まる活動拠点として地域に溶け込んでいるか、などなどさまざまな事柄を含んでいる、そういう統合力が必要。今回、第1回にしてはレベルが高いけれども、まだまだこれから。回を重ねて一層素晴らしい家が出てくることを期待している」とお話されていた。受賞された設計者の方々の言葉からも、それぞれの住まいが家族の理想を汲みながらも流されず、子や孫の代、環境や地域との関係性をていねいに考え、非常に苦労しながら完成されたことを感じた。

 

こちらの受賞住宅事例と受賞者及び審査員の言葉、次回の応募要項など、詳しくは3月11日(月)発売の75号チルチンびとp158~173に掲載されています。これからの家づくりや暮らしについて、何かしらのヒントが得られると思います。どうぞご覧ください。

 

 


東京駅プロジェクションマッピングと奇跡の瓦 

先日、東京駅丸の内駅舎保存・復元工事の完成しました。

それを記念して、大正時代創建当時の姿によみがえった駅舎を

スクリーンに最先端の技術を用いて

CG映像を投影する“プロジェクションマッピング” という

イベントが開催されたため、行ってきました!!

 

建物にうまく画像が入り込み、窓に映る人影もすごくリアル!!
メディアの告知もあったので、見に来た人の数が

想定より多かったらしく、初日は中止になってしまった回もありましたが

運良く見ることができました!!


人が多くて映像は録画できなかったのでYouTubeよりお借りします

↓(1分30秒くらいからスタートします)↓

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ロンドンオリンピックでも使われたという“プロジェクションマッピング”。

建物が生きているように見えます。

柱がクルクル回ったり、高さが変わったり、色が一気に変わったり…。

次にどうなるか予想もつかない映像のオンパレードで

あっという間の時間でした☆

 

思わず、そのライトアップされたり、リニューアルされたという

駅舎そのものに目が行ってしまいがちですが

この東京駅の屋根部分の瓦は奇跡の瓦として

メディアに取り上げられました。

 

この瓦は宮城県の会社で作られたそうです。

ところが、出荷前に25,000枚が東日本大震災の津波により

流されてしまいました。

社員の皆さんはそれを一枚一枚拾い集め、仕分けし、

きれいに磨きあげ出荷したとのこと。

復興のシンボルとして今、東京駅の屋根となりました。

 

今度、東京駅に来ることがあれば

是非、瓦もじっくりと見てください。

 

なお、奇跡の瓦の詳細こちらはより見られます。

 

amedio!(^^)!

 


かわいい教会

かわいい教会 吉田桂二ちいさな木の教会誕生のイキサツが、『チルチンびと・別冊41号・東海版』(7月

28日発売)のトップを飾っている。場所は名古屋市西区。


その設計を依頼された吉田桂二さんは、「かわいい教会をつくろう」と言ったという。「むしろ、町の集会所だよ」とも、言ったという。それは、「木造ゴシック建築」であり、「手仕事の想いを託した建築」である、という。隣接する保育園の園児たちが、礼拝堂のステンドグラスをつくった。

吉田さんは『チルチンびと』71号に「木の家の精神性」という文章を書いている。そのなかで、イギリスの詩人、サー・ウッソンのこんな言葉をひいている。


— よい建築は゛三つの条件゛を必要とする。「便利さ」「堅固さ」そして「喜び」である。

この教会は、きっとこの゛三つの条件゛に、あふれていることだろう。また、これらの条件を、実用的、スキがない、楽しみいっぱい、と置きかえれば、雑誌にもウエブにも、そのまま通用することのように思われる。