建築

『建築家の心象風景 ③ 大野正博』の出版を祝う会

『建築家の心象風景 ③ 大野正博』の出版を祝う会

 

1月18日、神田の學士会館で、「大野正博さんの出版を祝う会」 がひらかれた。
この本の中で、夫人のめぐみさんは、大野さんの衣装哲学について、こう書いている。
………
建築以外のことは何度言っても頭に染み込まず通り過ぎていくだけだね、とは家族の共通の見解だ。身につける物には頓着ないのに、若い頃から黒のタートルネックが作業着と思い込んでいたふしがあり、派手な物は一切身につけず模様は問題外。
………
この日。大野さんのネクタイ姿を初めてみた。「あれ、タートルネックではありませんね」というと、「まさかあ」と笑った。式が始まり、大野さんは「こういう高い晴れがましいところにのぼったのは、43年ぶりです。その43年前というのは、結婚式でした」とあいさつをした。ついで、大野さんのご一家が、紹介された。こうして、明るく楽しい会はつづいた。

 


「木の駅舎」を見に行く

戸越銀座 木造駅舎

戸越銀座 木造駅舎

 

「戸越銀座 木造駅舎 多摩産スギ ヒノキで美しく改築」という見出しを、見つけた。(『東京新聞』12月7日夕刊)

築後九十年近くがたち、老朽化した東急池上線戸越銀座駅(東京都品川区)の木造駅舎が、東京産のヒノキとスギを使って美しく生まれ変わった。…… という書き出しである。そして、こうつづく。
〈新しい駅舎の特徴は、プラットホームを弓状に覆う屋根にある。幅四十五センチ、長さ三・五 ~ 一メートルの木材を約千枚、格子状に組み合わせた。…… 職人たちが一年四カ月かけて造った。〉とある。総事業費は七億円、という。

戸越銀座駅へ、行ってみた。ホームのベンチに坐っていると、木の香りがする。なんとも、落ちついて、親戚の家にでもきているような気がした。

 


続・人の集まる家のメニュー

山口瞳家

 

『チルチンびと』88号 ― 特集・人の集まる家にしたかった ― のタイトルから、かつての山口瞳家(つまり、変奇館)の新年会を思い出した。100人も元日の客のある家のご馳走は、こうなる。山口瞳さんは、『男性自身』に書いている。

〈正月の料理というものは、大皿に盛っておけば、なんとなく足りてしまうものである。もっとも、マグロのトロのところとタコは夕方に売り切れてしまった。私が本日の目玉商品だといって推奨したせいもあるけれど、うまいものは皆がよく知っている。キントンは深夜になくなった。

そして、この宴の盛りあがりについても、山口さんは、やはり、エッセイで、こう書く。

〈近くに住む人で、元日でも夜中にマラソンをする人がいるが、その人の話によると、私の家に近づくと、家自体が一箇の巨大な楽器のように思われたという。〉

人が集まるということは、楽しさを奏でるということだろう。


……
『チルチンびと』88号、特集・人の集まる家にしたかった ー は、 6月11日発売です。
また、“ チルチンびと広場 ” 連載 「変奇館、その後 (山口正介)」は、コチラからごらんいただけます。

 


人の集まる家のメニュー

変奇館

 

『チルチンびと』 88号の「人の集まる家にしたかった」という特集タイトルを見て、かつての山口瞳家(つまり、変奇館です)の元日の賑わいを思い出した。この新年会は、競馬の騎手、棋士、漫画家、芸能関係者、編集者などマスコミ関係者 …… と、100人近い人が訪れた。山口瞳さんは、エッセイ「暮、正月」で、接客の心得を書いている。これは、人を招くときに役に立つのではないか。

〈……そこで、私は、客室の壁にメニューを書きだしておく。これは具合がいい。大勢の客のあるときは、こちらで気を使うよりも、私も女房も使用人だと思ってもらって、どんどん命令したり注文したりされたほうが動きやすいものである。……〉

例えばある正月。貼り出されたメニューは、山口さんの筆で、こう書いてあった。
生がきのカクテル フランス風 / カレーライス / かにの味噌汁 / ニシン漬  北海風 / 花咲がに / シュウマイ / チャアシユウ / まぐろ / たこ / かずのこ / 珈琲 コーヒー / アイスクリーム / 葛きり / 雑煮 / シチュー / 右ご遠慮なくお申しつけ下さい。

元日にいただくカレーライスは、とてもおいしかった。


…………
『チルチンびと』 88号 「特集・人の集まる家にしたかった」は、6月11日発売です。お楽しみに。また  “ 広場 ”連載中の「変奇館その後 (山口正介)」は、コチラからごらんになれます。

 


追悼・奥村まことさん

奥村まことさん

写真:輿水 進

 

85歳の女性建築家、奥村まことさんが亡くなられて、一カ月。『チルチンびと』87号に、追悼のページがあり、田中敏溥さんも、こんな想い出をよせている。


……
ウェブ「チルチンびと広場」に連載の「奥村まことの方丈記」を楽しみにしていました。第1回〈新国立競技場・私案〉の最後の一文「常に建築家は護りの姿勢ではなく、前進しなければいけない。」は、強く心に残ります。まことさんは、強くてやさしい、大らかにして繊細な人でした。
……


「奥村まことの方丈記」は、コチラからごらんいただけます。

 

『チルチンびと』87号


『チルチンびと』87号は、〈特集・この家具と、暮らす〉。山裾の家具工房から / この家にこの家具 / 子育てから考える 木の家具、木の家、木の道具 / 家具と一生つきあう方法 / 美しい木の家具カタログ / 東日本大震災・木造仮設住宅の記録- フクシマからのたより 2016 -孤独死を防げ。仮設からコミュニティデザインを問う-震災で問われた 木の家づくりのネットワーク - 届け、国にこの声が。大工力で国を動かし、つくった仮設 / 追悼・吉田桂二さん - 奥村まことさん / 第4回2015年度 チルチンびと住宅建築賞受賞者発表 ほか、充実の 256 ページ。定価 [本体917円 + 税]。3月11日発売です。

 


85歳女性建築士 奥村まことさんの遺した言葉

奥村まことさん
 
 
リチ・キタイという詩を70年前に読んだ。すごい!  詩人になりたいと思った。その後、材質と寸法と色の世界に入ったので言葉と決別した。感性は言葉では表せないと思ったからだ。病を得て、感性の世界から言葉の世界にちょいと飛び移ってみた。1回で終わるか、2回で終わるかわかりませんがよろしく。チャペックのようなコラムニストになりたい。なんちゃッて。
85歳女性建築士 奥村まこと
 
“ 広場 ”の連載コラム「奥村まことの方丈記」の始めに 、こんな言葉が寄せられた。なにかを、予感されていたかのように、連載の2回目がアップされた翌日、残念ながら、まことさんの訃報に接することになった。お付き合いいただき、ありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
 
※「奥村まことの方丈記」の連載は、こちらから、ご覧いただけます。
※写真・輿水 進
  

久しぶり、京橋・明治屋

京橋・明治屋

「京橋・明治屋ビル再開」のニュースを新聞で見つけた。
このビルは、1938年に誕生した。2009年に中央区の文化財に指定。大型再開発地区に入ったが、ビルの外観を保存して耐震補強工事を終え、再開されるという。9月16日からは、地階のカフェテリアも始まる、と書いてある。勤め先が近かったこともあり、以前の地階のレストランには、1000 回以上、通っている。ハンバーグステーキ、チキンライス、ワカサギのフライ、チキンカレー。チキンカレーは、大きいままの鶏肉で、おいしかった。ちょっとクラシックな、大人びた雰囲気の店で、なかなかよかった。……  などと思い出しながら、地下鉄・京橋駅から地上に上がると、薄茶色の外観はそのままだ。久しぶり。お変わりなく。

 


写真家としてのル・コルビュジエ

「写真家としてのル・コルビュジエ」展

 

まだ、大学は夏休み前。学生で混み合う道をかきわけて、早稲田大学會津八一記念博物館へ。「写真家としてのル・コルビュジエ」展( 8月2日まで)を見にいく。ル・コルビュジエは、16ミリのカメラで、画像を撮っていたという。1936年ころの作品だ。

ブラジルでパリでスイスで船の上で街で港で浜辺で林で自宅アパートで母親の住む小さな家で ……  とまあ、こんなふうに、壁面ぎっしり350点。

16ミリフィルム独特のボケ味と、セピアと黒の昔なつかしい色調。眺めていて、厭きるということがない。これで入場無料とは、ヤスイ。帰りに、高田牧舎でカレーライスを食べながら、購入したパンフレットを読む。〈 ああ、写真という奇跡 ! 正直なレンズ、なんと貴重なもう一つの目だろう。〉というル・コルビュジエの言葉があった。

 


吉田桂ニ賞と芥川賞

吉田桂ニ賞

あれは、どなたでしたか。吉田桂ニ賞は.、文学でいうと、芥川賞ですかね、といった方が、いたのである。昨年7月4日。第一回吉田桂ニ賞の授賞式がおこなわれた。その会場で、だった。それから、やがて一年になる。

……
そういえば、芥川龍之介は、生まれて最初の記憶は、大工仕事だと、書いている。
〈僕の記憶の始まりは数え年の四つの時のことである。と言っても大した記憶ではない。唯広さんと言う大工が一人、梯子か何かに乗ったまま玄能で天井を叩いている。天井からはぱっぱっと埃が出る  ー  そんな光景を覚えているのである。〉(『芥川龍之介随筆集』岩波文庫)
……

4月27日。第二回吉田桂ニ賞の選考委員会が風土社で、ひらかれた。吉田桂ニ、平良敬一、内田祥哉、三井所清典、益子義広、横内敏人と6氏の選考委員 。議論は熱く進み、第一次審査を終了。受賞作は、第二次審査を経て、後日、発表される。

吉田桂ニ賞と芥川賞


「チルチンびと住宅建築賞」授賞式

「チルチンびと住宅建築賞」授賞式

3月12日。風土社で、第3回 2014年度「チルチンびと住宅建築賞」の授賞式が行われた。

まず、審査委員長・泉幸甫氏の挨拶から。……「設計の上手な工務店、そうでない工務店とありますが、全体的には上がってきていて、うまいところは、本当にうまいです。でも、なぜ、工務店の設計が、なかなか上達しないかと考えると、やっぱり個人の名前を出さないから、工務店の中に埋没しているんです。ぼくは、工務店に勤める設計者に光を当てたいと思うんですね。野球だってそうでしょう。新聞に誰がホームランを打ったとか、書いてあるからおもしろいので、巨人と阪神どっち勝った、というだけでは、おもしろくない。個人の名前が出てくると、そこに花が開くんですよ。建築だって、そういうことがあるから、個人の名前を大いに表に出してあげたい。工務店は、それを大事にする。そういう仕組みをぜひつくってもらいたいなと、ぼくは思っているのです……」

優秀賞 渡部要介さん(左)と審査員・藤井章さん

優秀賞 渡部要介さん(左)と審査員・藤井章さん

優秀賞 西浦敬雅さん(左)と審査員・大野正博さん

優秀賞 西浦敬雅さん(左)と審査員・大野正博さん


今回は、優秀作が、家工房/渡辺要介氏と建築工房en/西浦敬雅氏 の2作だった。なお、受賞作品、審査員の講評は、発売中の『チルチンびと』83号に掲載されています。ぜひ、ご覧ください。