ギャラリー

新政府展へ

久しぶりにワタリウム美術館にvigoと行ってきた。

展示中の「坂口恭平 新政府展」は、平日にもかかわらず、若者たちで混雑していた。

襖に無数の建築物を連続的に描いた作品、彼が観察した数々の路上生活者の描写を、見つめるていると、気の遠くなるような時間を重ねただろう、その作品たちが、じりじりと迫ってくるようだ。

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なぜ人間だけがお金がないと

生きのびることができないのか。

そしてそれは本当なのか。

 

車のバッテリーで

ほとんどの電化製品が動くのに、

なぜ原発をつくるまで

大量な電気が必要なのか。

坂口恭平『独立国家のつくりかた』(2012年)より

 

展示会は2月3日(日)まで。

 


根津の冬

やぶさいそうすけ

 

地下鉄千代田線・根津駅を降りてギャラリー「やぶさいそうすけ」へ。路地から吹いてくる風が冷たい。大雪の日から1週間もたつのに、積み上げられた雪は、溶けることを知らない。やぶさい店主・吉川知江さんは、いま、この゛広場゛の「話の名店街」で、「ハイ、帽子屋です」を連載中。その原稿チェックの用事でうかがうのである。

今年はじめてのご挨拶。どんな大晦日でした?『紅白』を見ました。よかったのは? 森進一。あの『冬のリヴィエラ』はいいですねえ。松本隆が好い。大滝詠一が好き。「はっぴいえんど」が好き。初詣は? ここから歩いて6、7分の根津神社へ。おみくじを引いたら、中吉でした。なにやら、今年は、努力しだいのようで。—-

部屋の真ん中に、囲炉裏ふうの火鉢。赤赤と炭火が燃え、やわらかく暖かい。「冬のリヴィエラ」「中吉」「火鉢」。根津の冬ってやつは、わるくない。

 


オフィス街のオアシス

先週は、古めかしい建物や雑居ビルの多いオフィス街にあるギャラリー2軒へ。

ひとつめはアールブリュットのインディペンデント・キュレーター、小出由紀子さんの事務所兼ギャラリー 。こちらでの展示はいつも何処かしら超越した作品が多く、想像を超える世界へ連れていってくれるので、今度はどんなのが出てくるかと毎回楽しみなのだ。今回のジーン・マン展「言葉の彼方」はDMの裏にある言葉につられて観に行った。

・・・ジーン・マンの描く顏には、反復されるひとつの顔が、そして無数の別々の顔が産みだされる以前の秘密を、それとなくあるいは力ずくで明かしているようなところがある。

(鈴木創士 「顔は一個の天体である―ジーン・マン展に寄せて」より)

 

粘土の壁からぬうっと出てきたような凸凹の顔がいくつも並ぶ。人間が、誰しも持っているがあまり人前では見せないし、自分でも意識せずに出た表情のような。ほんとにこんなだったら怖いけど。最初はわざわざ顔をつくろうと思ってたのではなくて、うわーっと盛り上げて積み重ねて、はっと気づいたら顔になってた・・・みたいな衝動的なコトだったような気もします。雲とか車の前面とか鯉の模様なんかが、どんどん人間の顔に見えてくる。そんなのにも似た、怖面白さがありました。12月21日(金)まで。

 

ふたつめは、アムコ カルチャー&ジャーニーさん。3Fのギャラリーアムコで開催されている伊賀の陶芸家・井崎智子さんの「びん展」が気になったのだ。びんというからにはガラスだろうと思いきや、イベント紹介文を見ると「ガラス瓶を集めて型を取り、山から掘り出した土を使って、薪窯でびんを焼き続ける・・・」とある。水虫の薬瓶や香水瓶、、ランプのカバーやラムネの瓶・・・などかつての生活用品だった瓶が、焼き物になると全然違った雰囲気になって不思議。形や、模様を再発見できる。

 

空気や灰に触れて、自然におきた反応で出た色は、なんとも神秘的で、びんの口とか曲線とか、くびれとかのところでまたさらに変化する様を見ているといつまで見ていても飽きない。井崎さんはもう、びんにはまってしまい、びんばっかり焼いているんだそうだ。作家さんのびんへの愛を感じる、面白くて可愛い展示です。12月25日(火)まで。

 

アムコさんの1Fでは「伊賀への旅」というテーマで月替わりで伊賀の作家さんを紹介する企画展を来年3月まで開催中。展示中の地域を特集した冊子『輪土』も制作・発行されています。

休日の馬喰町はとても静か。素敵なカフェやギャラリーもぽつぽつと点在していて、人ごみが苦手な方には穴場のくつろぎスポットです。

 

 


ハコがすき

どうにも、私は箱が好きなようです。

友人がいつも送ってくれるプレゼント箱、小さな蓋物陶器、ビーズ入れ、桑原弘明氏のスコープ作品、ジョセフ・コーネル氏の箱オブジェ…

 

2cm程度の小さな陶器の人形を入れて...

2cm程度の小さな陶器の人形を入れて...

 

本日12月5日(水)~ 12月23日(日)「LIBRAIRIE6/シス書店」さんでは大月雄二郎「Moi et Mon Cœur/私と私のこころ」展が開催されます。新作オブジェ、版画等25点程展示。今回、私が箱で使用した陶器の人形、カメラのフィルター、写真など展示のほかにも気になる小物を見つけることができます。

 


凧よ、揚がれ

今年の六月。高円寺の喫茶店で「凧」の作品展が開かれた。

作者は『チルチンびと』誌上でおなじみの建築家・大野正博さんの次男、研介さん。住宅街の喫茶店は、大勢のお客さんで賑わい、入っていくと「凧のお仲間ですか?」と声をかけられた。凧の人気の広く深いことを知った。

壁に飾られた凧。そこに描かれた絵。書かれた文字。丹念に張られた糸。「全部、実際に揚げたものだそうですよ」と、店の方が説明してくれた。「いい風、揚がるよ!  今日は」 という研介さんの声が聞こえるようだった。なにかの機会に、これをご紹介したいと思った。

研介さんは、幼いときから空中でヒラヒラする旗や凧が好きだったという。学校から帰ってこないので迎えに行くと、道端ではためく旗を、ずっと眺めていたという。

私は、どうかたくさんのひとに、このギャラリーの「凧名人展」を訪ねていただきたいと思う。研介さんを取りまくやさしさが風となって、凧を舞い上がらせているのが見えるだろう。

 

Chilchinbito  Gallery  凧名人-大野研介作品集

「Chilchinbito Gallery  凧名人-大野研介作品集」をご覧になる方はこちらから、どうぞ

 


相乗効果

 

「枯白のある風景」を観にpoooLさんへ。webからでも伝わる、雰囲気のある作品の様子に惹かれて一度お会いしたかったので、在廊日を狙っていってきました。

お会いしてはじめてお二人で制作されていると知った。二人は沖縄の芸術大学で同級生として知り合い、意気投合して卒業後、故郷に戻って二人でアトリエ兼ギャラリーを開いたそう。もちろん沖縄で出会うまでは、お互い同郷だとは知らず。人生って縁とタイミングですね。

お父様が木工をされていた乾喬彰さんは木、大学で彫刻専攻で様々な金属を扱っていた松岡直実さんは鉄、と元は役割が分かれていたけれど、今ではその境目はないそう。喧嘩になりませんか? と思わずありきたりな質問をしてしまったのだが、制作のことで喧嘩したことはないと。それよりも相手の中の、自分にはない発想に驚いたり刺激を受けたりするらしい。理想的! どちらがどちらを作ったか一見全くわからないくらい統一感があるけれど、紙にイメージを起こすところから始める発想力豊かな乾さん、直感的でいきなり制作を始める松岡さん、それぞれのエネルギーが交わって作品に厚みが増すのだろう。使い手の想像力も試されるような、置いてあるだけで空間にストーリーが生まれてくるような作品を見ていると、つくづくこういうのが似合う家に住みたくなる。

 

 

お隣gallery re:tailさんでは4人展「コランダム」を開催していた。同じ学校の卒業生という点では「枯白」さんと同じだけれど、こちらはそれぞれ全く個性が違う。小さな箱やハットピンなどをジュエリー制作の手法で制作する塚本聖広さん、真鍮に文字や模様を美しく彫り上げていく芳田慎平さん、緑をテーマにグリーンを持ち歩くガラス管のネックレス、カトラリーや多肉職分の入ったガラス鉢に小さなガラスの動物たちで独特の世界をつくっていた有澤 香予さん、テキスタイルのような気持ちいい曲線と色の組み合わせの絵を描く山本梓さん…4人4様だが同じ空間に展示してあっても違和感がない。

和気藹藹として楽しい展示でした。同じアトリエで「cha箱」として制作をしている4人、来年も同じくre:tailさんで展示をされるとのこと、今度はどんなテーマで四つの世界が広がるのだろう。


学びの時間を共有した仲間と、ずっと一緒に何かができて、お互いの刺激になっているって、とても幸せな関係だなと、思いました。

 

 


秋色の展示

flowers primitiveの西別府さんのリース展を見にvigoとアートサロンARKへ。

西別府さんの作品は花の美しさだけでなく面白さ、強さ、脆さ・・・今まで気づかなかったようなさまざまな花の性質を発見することができて、見るほどに惹きつけられる。ハッとするような派手さや華やかさではなく、他の何をも邪魔しないのだけれども、静かに深く存在感を放っていて、花の生命力を感じられる。置いてあるだけで確実にその場の空気が変わって、じわじわと西別府さんワールドに染まっていく。先日教わった「花と遊ぶ」ことを思い出した。西別府さんご自身が花と遊ぶことが大好きで、それを存分に楽しんでいることを感じられる、とても素敵な展示でした。

 

照れつつも枝からちょこんと笑顔を覗かせてくれた西別府さん。

 

アートサロンARKのオーナーは羊毛フェルトの造形作家のYOSHiNOBUさん。リアルなのにほのぼのとした、独特の世界感を持つ動物たちを制作している。初めての動物を制作するときには動物園に行って観察し、専門家に話を聴き、針金で骨格を作り、筋肉などの位置も正確にとる。こういった造形の基本は、元々やっていた粘土の時と変わらないけれど、フェルトと出会ってからは毛並みの方向までリアルに再現でき、固まることもない自由度の高さを得たという。フェルト素材の持つ温かさや柔軟性、軽さのせいか、動物の持つ表情自体がユーモラスで可愛いためか、ことさらにキャラクター化しなくても自然と可愛らしくほのぼのとした表情を持つ作品になるのだそうだ。たしかに、動物ってなんかずるいぐらい面白可愛い表情をするときがありますね。その特徴を作品に映し出す表現力がすごいのだ。

 

オーナーのYOSHiNOBUさん。本物そっくりのロバくんは、温かくて、軽いのです。

 

こちらでは定期的に羊毛フェルトのワークショップも開催している。「ここまで教えちゃっていいの?」というぐらい惜しみのない懇切丁寧な指導なのだと来場者の方が教えてくれた。カップルで来た男性の方が夢中になってしまったりもする、なかなか硬派なワークショップのよう。11月は「ヒツジ」と「オカメインコ」。可愛い・・・。もう受付は始まっていますので、モノづくり欲の高まっている貴方!ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 

夕方、「古道具屋の西洋見聞録」の塩見さんを訪ねて青山へ。毎週土曜日、全国から素敵なお店が集まってくるアンティークマーケット。ふと出展ショップカードの中にさきほどのflowers premitiveさんのお名刺を発見。繋がっている~今展示に行ってきたばかりですよ~! などとあれこれよもやま話をしているうちに日も暮れて、だいぶ気温も低くなってきたのに客足は途絶えない。

塩見さん、今日はちょうど”古道具店主コスプレ”だったそうです♪

みなさんも、秋風に誘われて、自分だけの宝物を見つけに出かけてみてはいかがでしょう。

 

 

 


志鎌猛さん「時の箱庭」展へ

 

 

絵なのか、写真なのか?昔なのか、今なのか?日本なのか、海外なのか?

その境目がわからなくなるような、深くて温かく、幻想的な光景が広がる。意外にも被写体は井の頭公園であったり、北海道であったり。えええー!?見たことがあるあの光景が、こんな風に?


志鎌さんは一日で一回しかシャッターを押さない時が多いそうだ。とシス書店エビス顔、佐々木さんが教えてくれた。プラチナ・パラジウムプリントという、手間のかかる印画法を用いて、雁皮紙という、薄くて美しい手漉き和紙に焼き付けるそう。シャッターを押す瞬間から、作品に仕上がるまでの気の遠くなるような非常に非常に繊細な作業の積み重ねが、この作品の奥行きの秘密なのだった。

あまりにも優美な作品の数々に、しばし言葉を失って見惚れてしまった。こちらの展示は、残念ながら9月いっぱいでもう終わり。ご本人に会ってみたかった。

 

店内も、時代や場所を忘れてしまうような、宝箱みたいな場所。あちこちに発見がある。引出しをあければ、いままでにこの場所で繰り広げられた、いろんな世界がとびだしてくるのです。

 

次回 巌谷國士 / 桑原弘明 「窓からの眺め」展は10月6日(土)から。旅の写真と、スコープオブジェ。今度はどんな世界を見せてくれるのだろう。楽しみです。

 

 


夏の思い出 -おまけ-

秋田の太鼓演奏の翌日は、東京へまっすぐ帰るのが

毎年の流れだったのですが

今年は、朝、酒蔵見学をさせてもらいました。

 

秋田美酒福禄寿酒造株式会社という

秋田県五城目町では有名な酒蔵です!!

外観

300年前の江戸・元禄元年(1688年)創業とのことで

当時の絵も飾られていました。

江戸時代

入口から想像できないほど奥行がある蔵で、

社屋(上酒蔵・下酒蔵・事務室・住宅)は

国の登録有形文化財に登録されているそうです。

 

まず最初に案内されたのは下酒蔵。

この1つの樽で、なんと1升瓶1500本できるとのこと!!

蔵

1年間に3回仕込みをするというお話だったので、

とても人気のあるお酒だということもわかります♪

 

これが麹室(こうじむろ)。

麹造りが行われている場所で、神聖な雰囲気が

入口からも漂っています。

 

麹室

 

そして、お酒の命ともいえる水!!

これは300年前から使われている地下水だそうで

今は、酒蔵見学とともに、この水を求め

来社するお客さんも増えているとのこと。

地下水

 

私たちも一口飲ませていただきました!!

うーん♪おいしい!!

硬水とのことでしたが、とても柔らかい感じがしました。

 

昔から、この酒蔵があることを物語るのは「阿弥陀車」

蔵の上の高い位置に今でも残っています。

阿弥陀車

この阿弥陀車を使って、冬季仕込み期間中は

手入れを済ませた貯蔵桶を2階へ引き上げたりしていたそうです。

阿弥陀仏の光背にいていることから「阿弥陀車」。

今のような電気を使う機会がない時代

江戸の人たちの知恵はすごいなぁ…と感心してしまいます。

 

最後に、できあがった福禄寿の試飲をさせていただきました!

酒

それも朝9時から(笑)

 

お酒の造る過程を初めて見学させてもらい

めったに見ることができない光景に(また、歴史ある建物に)

とても感動しつつ…

まさかのアルコールが弱くてほぼ呑めないという

…amedioでした(;^_^A アセアセ・・・

 

P・S

それでも、ほーんのちょっとは飲めます…。

試飲は美味しかったですよ!!

あぁ。お酒に強ければパラダイスだったのになぁ~。

 

機会があれば是非一度、ご賞味あれ♪


写真展

先月の話になりますが

短大時代の友達が、独学で写真を勉強し

初の個展を開くというので

遊びに行ってきました。

 

場所は渋谷のカフェ&barだったのですが

海や花などの自然を切り取った作品が多く

そんな写真たちに囲まれていると

ここが、渋谷だということを

忘れてしまうほどの

まったりした温かさがありました。

 

個展

 

彼女は、被災地の写真を洗浄する

ボランティアもやっていて、

その話もしてくれましたが

湿気が多くなる梅雨から夏の時期が

一番写真が傷みやすく作業が

大変だと話していました。

 

なんとか、1枚でも多く思い出の詰まった

写真を元に戻したいけれど

数がとても多く、また、作業がとても

細かいもので、たくさんやりたくても、なかなか進まず

時間がかかると言っていました。

 

私も何かできることがないかと探していたので

時間があえば一度は参加してみようと思います!!

(未経験者でもOKとのことだそうです)

 

今後も、写真展を開きたいな♪と話していたので

また遊びに行こうと思うamedio(^.^)でした。