ギャラリー

『話しているのは 誰?』6人の作家に潜む文学

『話しているのは  誰?』6人の作家に潜む文学 『話しているのは  誰?』6人の作家に潜む文学

 

『話して  いるのは  誰?  現代美術に潜む文学』(国立新美術館、11月11日まで)に行く。
作家と作品についてパンフレットの紹介から。
〈…… 本展に参加する6名の作家は1960年代から1980年代生まれまでと幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたります。これら作家に共通するのは、作品のうちに何らかの仕方で文学の要素が色濃く反映されていることです。……〉

その6名の作家の方々は、北島敬三、小林エリカ、ミヤギフトシ、田村友一郎、豊嶋康子、山城知佳子。

 


エドワード・ゴーリーの不安

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展

 

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展(練馬区立美術館、11月24日まで)に行く。
〈  アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーは、アイロニカルで少し不気味な独特の雰囲気と繊細なモノクロームの線描で、世界中の人々を魅了してきました。〉……と、案内の文章に書かれている。
そして、この展覧会のための図録の最初のページにある最初の文章は、こんなふうだ。
〈 どういうわけか、人生におけるわたしの使命は人をできるだけ不安にさせることなんですよ。人はみんなできるだけ不安になるべきだと思うんです。世界というのは不安なものだから。…… エドワード・ゴーリー。〉

いやもう、十分に不安です。

 


マリアノ・フォルチュニ 織りなすため息

マリアノ・フォルチュニ  織りなすデザイン展

 

『マリアノ・フォルチュニ  織りなすデザイン展』(三菱一号館美術館、10月6日まで)へ行く。行く前に読んだ雑誌に書いてあった紹介の記事は、こんなふうだった。

〈……   愛妻を描いた《アンリエット・フォルチュ二、芸術家の妻》を見てもわかるように、フォルチュ二は元来画家である。父も19世紀スペイン画壇の中心的な人物で、この父と祖父が2代にわたってプラド美術館の館長をつとめた。生まれた時から美のエリートであったフォルチュ二が、いかにしてあの革新的なドレスをつくり、自らのブランドを大成功に導いたのか? 彼の華麗なる人生に、ため息が出ることだろう。〉(『婦人公論』7月23日号・artページ・木谷節子)

たしかに。見とれるお客さんで、賑わう。

 


長襦袢とは何か?

アンティーク着物万華鏡

 

『アンティーク着物万華鏡 ー  大正 – 昭和の乙女に学ぶ着こなし』(弥生美術館、9月29日まで)に行く。

一階、二階の展示は、着こなし、小説に描かれた着物など。三階へいくと、おや、「長襦袢の魅力」である。「着物の下の遊び心、女心」というサブタイトル。長襦袢には、ながじゅばん  とルビが付いている。そして、長襦袢とは何か? として〈  長襦袢とは着物の下に着る、ほぼ着物と同じ形の衣類である。着る目的は一般的に着物の汚れ除けと、すべりを良くする為と、防寒となっている。………〉などという解説。これらを眺めて、隣のカフェ・港やへ。
限定メニュー・ニューファッション、というのを注文する。カルピスをベースに、素肌に効果のあるお茶を加え、パラソルをさした爽やかドリンク、であるという。
ちょっとツンとしたひと、という味であった。

 


岸田劉生 大回顧展

『岸田劉生』展

『岸田劉生』展

『岸田劉生』展

 

『岸田劉生』展(東京ステーションギャラリー、10月20日まで)に行く。

〈   画家・岸田劉生(1891~1929)は、日本の近代美術の歴史において最も独創的な絵画の道を歩んだ孤高の存在です。明治に始まるその歴史は、フランスの近代美術の追随であったとされます。しかし、岸田劉生はただひとり、初期から晩年に至るまで、自己の価値判断によって、自己の歩む道を選択し、自己の絵画を展開しました。…… 〉というのが、展覧会案内の書き出し。
そして、〈 …… 日本近代絵画史上欠かせない「天才」「非凡人」画家の大回顧展です。〉という言葉も。
帰りに、ショップで、お菓子をふたつ。東京駅は、夏の賑わいも去った。


篠山紀信さんの写真力

篠山紀信展  写真力

 

『篠山紀信展  写真力』(東京ドーム  Gallery  AaMo 、10月27日まで)に行く。
でっかい。とにかくでっかい。「きんさんぎんさん」も「美空ひばり」も「夏目雅子」も「三島由紀夫」も「山口百恵」も「歌舞伎役者」も「プール」も「大相撲」も…… みんな、でっかい。でっかいことは、いいことである。
出口近くに、篠山さんの言葉がある。
……   よりすぐりの顔、顔、顔 ……
          写真って、スゴイぜ !

会場の外、あちこちに、ジョン・レノンとオノ・ヨーコさん。


今森光彦さんの里山

今森光彦展  写真と切り絵の里山物語

今森光彦展  写真と切り絵の里山物語

『今森光彦展  写真と切り絵の里山物語』(松屋銀座、9月4日まで)に行く。


〈 人と自然がともに生きる “里山 ” 。その中で生み出される豊かな営みを見つめつづけてきた写真家・今森光彦さん。琵琶湖を望む田園風景の中にアトリエを構え、四季折々に移り変わる田んぼや里山に集まる生き物を撮り続けてきました。今森さんはまた、蝶や鳥、植物をモチーフに、精緻で生き生きとした作品をつくる切り絵作家としても知られています。……〉
と、会場の紹介にある。

写真と切り絵で見る、里山の四季。切り絵のカードを3枚、買う。なぜか、これで、夏の終わりのような。


木に呼ばれて

小畠廣志 木に呼ばれる

小畠廣志 木に呼ばれる

 

『小畠廣志 木に呼ばれる』(武蔵野市立吉祥寺美術館、9月8日まで)に行く

〈  …… 廣志の作品の多くは人間の姿をあらわしていますが、それは形体美を具体化したものではありません。作品を前にした者の深層へ呼びかけるための、廣志のフォルムなのです。「材を見て、じかにその素材にフォルムを見付け、その中に自分の形体を入れていくとき、確かに木に呼ばれていく自分があることを感じます」と彼はいいます。 …… 」〉
と、解説にある。

「木に呼ばれる」とは、ひとごとでないような。


原田治 かわいいが イッパイ

『原田治「かわいい」の発見』展

『原田治「かわいい」の発見』展 ( 世田谷文学館、9月23日まで )に行く。
〈1970年代後半から90年代にかけて、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「OSAMU  GOODS  (オサムグッズ)」の生みの親、原田治(1946 ~ 2016)〉……  の展覧会。

『 OSAMU’S  A to Z 』という、この展覧会の公式図録に、原田治さんの「イラストレーターとは」の答えが載っている。こんなふうに。
「イラストレーターは芸術家ではなくてお客さんを喜ばせる芸人。イラストレーションの面白さはエンターテインメント性にある。僕は人の喜ぶ顔を見たくてイラストを描いています」。

 


スイミーの夏休み

みんなの レオ・レオーニ展

みんなの レオ・レオーニ展

 

『みんなの レオ・レオーニ展』(損保ジャパン日本興亜美術館、9月29日まで)に行く。READING  LEO  LIONNI  , AGAIN. 

〈  赤い色をしたきょうだいたちの中で、唯一黒い魚の物語 『 スイミー』。小学校の教科書に掲載され、日本全国で親しまれています。作者のレオ・レオーニは、イタリアやアメリカでグラフィック・デザイナーとして活躍した後、『あおくんときいろちゃん』で、初めて絵本の世界に足を踏み入れました。…… 〉と、パンフレットにある。
「スイミーが、日本にやってくる !  」というフレーズも。若いひとたちが、多い。ここにも、夏休みの名残り。絵葉書を3枚買って、近くのカフェで、涼しい気分で、眺めた。