ギャラリー

魯山人の醤油注ぎ

魯山人の醤油注ぎ

 

『北大路魯山人』展の案内をいただいた。(7月2日 –  8月25日まで、千葉市美術館で)。魯山人といえば、ついつい思い出すのは、山口瞳さんのエッセイである。たとえば、「魯山人の醤油注ぎ」(文藝別冊『山口瞳』 河出書房新社)。山口さん、子供のときから、魯山人があまり好きではなかった、といいながら、こんなふうに書くのだ。

〈  しかし、私は、だんだんに、実に三十年以上もかかって、この巨人、この大天才(  私はピカソよりも才能があると思っている)を理解するようになった。たとえば、この写真にある醤油注ぎである。日本の巨匠連中は、絶対に、こういうものを造らない( 造れない )。私には陶器はわからないが、醤油注ぎを造る魯山人の心を理解するようになった。愛するようになった。第一に、魯山人の陶器は使いやすいのである。  〉……

展覧会に、醤油注ぎがあるといいな。

 


クリスチャン・ボルタンスキーという男

『クリスチャン・ボルタンスキー』展

 

『クリスチャン・ボルタンスキー』展(国立新美術館、9月2日まで)に行く。〈50年の軌跡  ー  待望の大回顧展 〉のサブタイトル。


その作品は ……………… 咳をする男。なめる男。1951年にクリスチャン・ボルタンスキーが所有していた一組の長靴の粘土による復元の試み。……………… と、つづいていくのである。………………

 


モローと宿命の女

ギュスターヴ・モロー展

ギュスターヴ・モロー展

 

『ギュスターヴ・モロー展』(パナソニック 汐留美術館、6月23日まで)に行く。
〈  サロメと宿命の女たち 〉  のサブタイトル。そして、「パリの宝石箱からこぼれ出た、幻想世界。」「モローが描いた女性、一堂に会する。」というコピー。そして、パンフレットに、こういう文章。

〈……  神話や聖書に登場する、男性を死へと導くファム・ファタル(宿命の女)としての女性、誘惑され破滅へと導かれる危うい存在としての女性、そしてモローが実生活において愛した母や恋人。展覧会では、彼女たちそれぞれの物語やモローとの関係を紐解いていき、新たな切り口でモロー芸術の創造の原点に迫ります。〉

 


ゆかた、今昔物語

ゆかた 浴衣 YUKATA ー すずしさのデザイン、いまむかし

ゆかた 浴衣 YUKATA ー すずしさのデザイン、いまむかし

 

『ゆかた 浴衣 YUKATA ー すずしさのデザイン、いまむかし』(泉屋博古館、7月7日まで)に行く。

〈 ……  ゆかたは、江戸時代に入浴後のくつろぎ着として着られるようになり、やがて夏の気軽な外出着として定着しました。素材も麻から木綿へと変化する中で、「型染」や「絞り」など染めの技法が発達し、ゆかた独自の「いき」な図案が誕生します。…… 〉という解説がある。
ゆかた美人、江戸時代のゆかた、町方女性のゆかた、人間国宝のゆかた、画家がデザインしたゆかた…… たくさんのテーマのゆかたを見て、思い出すのはこの一句。

浴衣着て少女の乳房高からず   虚子


こんな時代もあった

時代 立木義浩写真展

時代 立木義浩写真展

 

『時代 立木義浩写真展』(上野の森美術館、6月9日まで)に行く。

勝新太郎がいる。夏目雅子がいる。黒澤明がいる。大原麗子がいる。あれは、山口百恵かな。……  
「人間は割り切れない。写真は、割り切れない人間を、四捨五入する」
「写真のために存在しているものは、ない」
という、言葉が添えてある。
熱い時代。暑い日。館内のカフェで、アイスコーヒーを飲んで、帰る。中島みゆきの『時代』が、聞こえてくる。

 


竹久夢二式

竹久夢二式

 

『竹久夢二という生き方   明治・大正・昭和を駆け抜けたロマンチスト』が、竹久夢二美術館( ~ 6月30日)で開かれている。夢二美術館は、弥生美術館と棟つづきというのか、お隣どうしというのか。
展覧会のパンフレットに、「二つの肉体の一つが死んでも愛は残る。」という夢二の言葉が、ひいてある。
以前、画家であり友人である有島生馬が「何をみてもかいても所謂夢二式になって終ふのである。」と書いているのを、読んだことがある。そういう展覧会である。

 


女子学生服 昔々

『ニッポン制服百年史』展

『ニッポン制服百年史』展

『ニッポン制服百年史』展

 

『ニッポン制服百年史』展( 弥生美術館、6月30日まで)に行く。
「女子学生服が ポップカルチャーになった !」というサブタイトル。そして、こういう解説が……。
〈 今から一〇〇年前に欧米からもたらされた洋装女学制服。日本の学生文化にすっかり定着しました。長いスカートがカッコよかった八〇年代。チェック柄スカートの登場で一気にミニ化が進んだ九〇年代。二〇〇〇年代には色・柄・デザインに驚くほどのバリエーションが誕生しました。……〉

江口寿史「Kawaii」の絵葉書を買い、隣の「港や」で、カレーとアイスコーヒー。カレーとアイスコーヒーは、女子学生には似合わない、と思いながら。

 


美を紡ぐ人たち

美を紡ぐ  日本美術の名品

美を紡ぐ  日本美術の名品

 

『美を紡ぐ  日本美術の名品』(東京国立博物館、6月2日まで)に行く。
「絶対に見逃せない !」というキャッチフレーズの作品展示マップを見ると、「浜松図屏風」からはじまって、与謝蕪村、伊藤若冲、横山大観、葛飾北斎、雪舟、狩野永徳らの作品が並んでいる。「ぜいたくな展覧会だった」という、帰りにすれ違ったひとの声が聞こえた。

ショップで、榮太棲飴を買い、外の植え込みで記念撮影。ツツジも見ごろ。

 


ブブノワさんと絵とワセダ

ブブノワさんの絵画展

ブブノワさんの絵画展

 

「ブブノワさんの絵画展』( 早稲田大学 會津八一記念博物館、6月16日まで)に行く。休日のキャンパスは、閑散としている。
えっ ?  ブブノワさん ? という方も多いだろう。展覧会の図録に、こうある。
〈   ワルワーラ・ブブノワさんは一九二ニ年六月に来日した。 …… 来日後間もなく二科展などに油彩や版画を出品し、構成主義の理論と実作によって村山知義ら大正期新興美術運動に大きな影響を与えた。   来日より二年後の一九二四年からブブノワさんは早稲田大学や東京外国語学校などで、ロシア語とロシア文学を教えだした。…… 〉(  ブブノワさんと早稲田・安井亮平)

1886年5月、サンクト・ペテルブルグの生まれ。ポスターの絵には「人間が扉を開けた」というタイトルが付いている。

 


『ストリート ミュージアム』の初夏

ストリート ミュージアム

 

日比谷線の六本木駅から、新美術館へ向かって歩いていたら、壁面に派手めの文字が現れた。Street  Museum  (5月26日まで )とある。その周囲に、いくつかの作品が並んでいる。このあたり、美術館への行きや帰りの客、あるいは、アートの関係の仕事の方が多いだろうから、絶好の場所ではないだろうか。


眺めているうち、作品の展示とは無関係に、山頭火の句が浮かんでくる。
草のそよげば何となく人を待つ