2022年9月15 の記事一覧

竹は厄介者ではない

『チルチンびと』113号「竹を厄介者にしてはいけない」

山口瞳


『チルチンびと』113号「竹を厄介者にしてはいけない」(鳥居厚志)という記事を読んだ。その部分を抜粋させていただく。……

モウソウチクは、江戸時代以降に株分けによって各地に植え拡げられたと考えられますが、その多くは明治以降、さらに言えば食糧増産のために昭和時代に多く植栽されたようです。ところが、1970年代に外国から安価な筍が輸入されるようになり、筍の生産竹林は次第に放置されるようになりました。生産を放置しても竹自体は消滅するわけではありません。しかも、果樹など他の作物と違い、竹は地下茎を四方八方に伸ばして節から筍を出して分布を拡げるという雑草のようだ性質があります。……このように、放置された竹が勝手に分布を拡大し周囲の植物を枯らす現象が観察される……というのである。

竹が厄介者になる仕組みを読んでいるうちに、『萬葉集』大伴家持の歌か浮かんできた。この歌は、山口瞳さんの作品にも登場。そうしたご縁でか、山口さんは色紙にも書かれている。

わが宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも

竹が、厄介者であるはずがない。

 

『チルチンびと』秋  113号

『チルチンびと』秋113号は、好評発売中です。お早めに書店へ !