

米国音楽の偉大な伝統のなかに、新たな詩的表現を創造した、として、ボブ・ディランが、ノーベル文学賞に決まった。つぎの日。神田神保町の書店では、書泉グランデでも、三省堂でも、さっそく、コーナーができた。しかし、ボブ・ディランからは、なんの音沙汰もないという。それなのに、祝 ? 『ボブ・ディラン ー ロックの精霊』(湯浅 学、岩波新書)を求め、ミロンガへ行って、なんとなく開いたら、252ページだった。そこに……
〈他人に対して、勝手にレッテルを貼り分類し、その人物のありようを決めつける人間をボブはつねに嫌悪してきた。理解するための判定を自分の物差しだけでやって納得してしまう人物も同様に拒絶するよう努めてきた。〉
とあった。