2016年5月28 の記事一覧

サヨナラ若冲展

若冲展

若冲展

 

上野駅の公園口を出て、都美術館へ向かって行くと、前を歩く夫婦の会話が聞こえた。「沖じゃなくてニスイなのね」。冲の字の話らしい。盛り上がっている。タイヘンな予感がする。赤いプラカードが見えた。「現在入室まで 160分待ちです」。そのまた先に、人の列というより、人の束が見える。その束は、淀んで動く気配がない。そこにもう一つのプラカードがあり「入場待ち最後尾」の文字。アキラメタ。結局、知り合いで、「若冲展」を見た人は1人だけ。「初日は夜8時まで開館だと調べて、6時半に行ったら並ばずに入れました」と作戦勝ちを語る。


「千載具眼の徒を竢つ」と、若冲は言ったという。自分の画を理解する人が現れるのを1000年でも待つ、という意味だという。160分待ちなんか、なんだ。と言われるかもしれないが、情けなくも精養軒で食事をし、帰宅。手許に入場券だけが残った、というお話。