続・ああ、熱戦

暑いグラウンドに納得を追い求める男

 アッチッチ。 選手も、観客も、応援団も、みんなアッチッチだ。しかしまあ、いざとなったら、日陰に避難できる。どうにもならないのが、審判員だ。以前、その一人に、話をうかがったことがある。

 「そりゃ、くたびれますね。肉体的疲労より、精神的疲れが、大きいです。首筋なんか、コチコチですよ。でも、 これをやることによって、ずいぶん、私という人間がつくられた気がするんですよ」と、彼は言った。

 「審判というのは、誰が見てもアウトというのを、アウトというだけであってね、審判がアウトにしてはいけないわけですよ。でも、きわどいボールがくれば、打者はボールと思い、投手はストライクと思う。それを、ぼくは、どちらかに言わなければいけない。観客にも、両軍の選手にも、つまり、利害の反する人たちみんなに、そして、私自身にも、納得できる判定をしなければいけないんですね」 納得とは何か。

 暑いグラウンドに、納得を追い求める男がいる、ということに感動した。