毎日使うモノ選び

 

今月のプレゼント でもお世話になっているロク さんで、昨年の暮れに買ったLAMYの万年筆がとても使いやすい。いままで何度か万年筆を使おうと試み、たぶん筆圧が高いせいかインクが玉のように染みたりペン先が引っかかったりするのが気になって挫折していた。これはドイツで小学生がペン筆を覚えるために入門用として使う物らしい。おかげさまで私みたいな遅れてきた入門者にもぴったり。無駄な力が入らず指も疲れない。

普段、ロクさんにはお気に入り見つけに!と気合入れて行く感じではなくて「あれあるかなー?」と寄ったついでに、茶漉しやクリップ、ファイルなど何かしら「ちょうどいいモノ」が見つかり知らず知らず愛用して、生活の一部になってしまう。

ご実家の金物問屋にあったという年季の入った棚や机がとても空間にしっくり馴染んでいて、古道具も合いそうですね、というと「古い物はすぐに馴染むし、大事に使うという意味でも好きなのですが、作り手さんも含めて今生まれている物をご紹介していきたい。それが次の世代にも繋がるといいなと思って」。その棚に並ぶモノたちに添えられた手書きメモには、作られた場所と簡単な紹介文が書かれていて、不定期に書き変えられる。モノ自体は変わらなくても、使っていくうちに発見があったりするからという。変えないでいると気持が悪いらしい。自ら使い込んでよく理解したものだけをお店に置くのも、「そのほうが楽」だから。にわか勉強をしてよく理解していない情報を詰めこんだりしなくてもすむからだそうだ。その誠実さは、人とモノとのいい出会いにも繋がり、大好きなモノを作ってくれる人たちがずっと作り続けられるようにという応援と願いの表れでもある。

「いま使ってるものが壊れたらあそこで買おう、みたいな感じで思い出してもらえたら嬉しいです」と店長の橋本さん。まさに、いま使っているのが壊れたら「ステンレスピンチハンガー」 を買いに行くつもり。紹介文からも、お店で話をしてくれたときと同じくらいの思い入れが伝わってくる。