能登の春場所

『金沢の不思議』(村松友視著・中央公論新社)

 

『金沢の不思議』(村松友視著・中央公論新社)に、人気力士遠藤について、ふれた箇所があった。遠藤は、相撲場でのアナウンスでもおなじみだが、能登穴水町の出身である。金沢から少しはなれた能登へ、村松友視氏、ふと出かける。そして、途中、穴水で目にしたものは、この土地独特のボラ漁に使われる、ボラ待ち櫓だった。この櫓については、以前、このブログでもご紹介したことがある。それを眺め、村松氏、遠藤に、こんなふうに想いをめぐらせる。

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しかし、穴水湾にボラの大群が押し寄せ、網にボラの魚群が入ったとたん、ボラ待ち櫓の下にあたる漁の現場は、興奮と感喜と緊張感が合体する、神がかった躍動に突きうごかされる場に急変したにちがいない。日常が瞬時に非日常に変貌するそのような環境のDNAが、遠藤の体には刻みつづけられているはずなのだ。

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大相撲春場所初日は、3月8日 (日)。北陸新幹線金沢開通は、3月14日 (土)。 遠藤には、どんな春がくるのだろう。