マッチ擦る

いまだ知られざる寺山修司展

「いまだ知られざる寺山修司展』が、(~ 1月25日・早稲田大学125記念室)開かれている。かつて、話題になったテレビインタビュー番組『あなたは……』が流れていて、懐かしく楽しかった。


マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありやは、有名な寺山修司の歌だが、『チルチンびと』78号の「火と調理が脳を活性化する!」を読んでいると、現実に驚かされる。山下満智子さん(大阪ガスエネルギー・文化研究所)の話は、こうだ。


近ごろの子どもは「火が熱いことも知らない」という話を聞いて、子どもが火を扱う様子を観察することにしたのだ。それは、「七輪でじゅうじゅう焼いて秋刀魚を食べよう」という実験である。しかし、参加した多くの子どもがマッチを持って「シュッ、シュッ」と口では言いながらも、なかなか擦ることができない。マッチに火がついても、七輪の火をおこすためには、新聞紙に移さなければならない。それもまた、ままならない。そういう子どもたちに火を教える必要を思い「火育」と名づけるのである。「カイク⁈」という寺山修司の声が聞こえる。

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『チルチンびと』78号は、定価980円。特集・火のある暮らしの豊かさ。12月11日発売です。