生きる力を育む庭

大暴れの台風18号。川が氾濫したり浸水の話をあちこちで聞いた。信楽の方からは線路が流された!!とも。テレビに映る場面以外にも、もっと被害が甚大なところはもたくさんあるのだと知る。この連休中も後片付けに追われ心休まらない方々も多いと思う。一日も早く日常が取り戻せますように。

同時に、台風一過の秋晴れは、まんまると大きく綺麗な月を観せてくれた。次に「中秋の満月」が見られるのは8年後だそう。自然は脅威にもなれば、安らぎと華やかさを与えてくれもする。

 

今月出たばかりの『チルチンびと 2013年秋号』を眺めていると、怖さや美しさやあらゆるものを含んだ力強い自然の息吹が聞こえてくるような、生き生きとワイルドな庭がたくさん登場している。人間都合の庭造りではなく、自然との共存がつくる庭の面白さ。「人間と同じ。いとおしいと思うこともあれば、あまりの逞しさに憎たらしい時も(p23)」という奈良の辻田さんの言葉に納得。

福島から避難されているお母さんたちを訪ねて、ここ京都にもいらしていたという境野米子さんのエッセイ(p186~)には、手入れすることをやめても、元気にあおあおと育ち続ける植物の写真があった。避難、除染、農作物や漏れ続ける放射能。まだ何も問題は解決していないけれど、環境がどうあろうと逃げることのできない植物は、凛として、その美しさが変わることはない。

 

我が家の、庭ということもないほどの小さな土のスペースにも、ドクダミやシダがわらわらと繁殖して、なんかうっそうとした場所になってるなーと思っていたら、その中から突然すっくと背の高い茎が伸びて小さな花がさいていたり、ドクダミも白い花をつけて可愛らしくなっていたり、せっかく愛着がわいてきたと思ったらいつのまにか猫におしっこをかけられて枯れてしまったり。こんな短い間でもちいさなさまざまな生命の営みがある。