パンの耳学問
…… ま、おれはおかわいそうな皿洗いじゃない。ウェイターだ。それでも、五日間食うものがなかったことがあるんだよ。パンの耳さえ食わずに、五日間だ。ー いやはや! …… (『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル著・ 小野寺 健 訳・岩波文庫)
ジョージ・オーウェルの作品には、パンの耳が、出てくるよ、と教えてもらった。
…… 彼は長い午後の時間を費して男の子たちとごみ箱や掃き溜を漁って歩いたことを忘れていない、キャベツの葉の芯やジャガイモの皮を拾い集めたり、時には黴臭いパンの固い皮膚さえ拾って、注意深く黒焦げになった部分を削り落としたものだ。 …… ( 『1984 年』ジョージ・オーウェル著 ・ 新庄哲夫訳・ハヤカワ文庫)
パンの固い皮膚 ? この原文は、…… sometimes evenscraps of stale breadcrust…… であるという。crust は、パンの耳さ、とも教わった。私は、これを 、耳学問とよびたい。