続・続・ぜいたくな過去

『チルチンびと』72号「古き美を愛おしむ暮らし」-西洋骨董家具との暮らし方

 

「そもそもアンティーク家具に対して、僕らは、積み重ねられた「歴史」を求めているわけですから、本物・偽物もないですよね」(『チルチンびと』72号「古き美を愛おしむ暮らし」-西洋骨董家具との暮らし方)

塩見和彦さんは、こう語っている。その塩見さんが、八王子で古道具の店を開いていたとき、黒い小犬を飼っていた。前の飼い主から虐待されていたから、引きとってきたといった。「あ、彼には、こういう一面もあったのだ」と思った、と当時の客のひとりはいった。名前はジェームズ。かわいい、ひかえめな犬だった。

塩見さんは、私の家の近くのCという高校の卒業生である。バイク通学だった、という。「校則では、バイクは禁じられていましたけどね。」その程度の“不良”だったのだろう。

黒い小犬。バイク通学。アンティークディーラー。“ぜいたくな過去”を修復する日々。これらの“点”は、1本の“線”の上に、ごく自然に並ぶように思われ、私は納得するのである。

塩見氏は『チルチンびと』72号では「アンティークから始まった、終わりのない家づくり」にも登場。この『広場』でも「古道具屋の西洋見聞録を連載中」