はつなつのみほとけ

みほとけの
うつらまなこに いにしへの
やまとくにはら
かすみてあるらし

ワセダの會津八一記念博物館へ行った。『館仏三昧』展(六月十二日まで)。博物館蔵の仏 像と、會津八一の仏像を詠んだ歌と書のコラボレーション。冒頭の書には、香薬師を拝 してと題して収められた歌、と解説がある。
またつぎの仏像の前へ。そして、つぎの歌の書へ。こころが洗われる、とは、こういう ことか、と思う。見終えて、外へ出る。五月の休日。快晴。薫風。いやなことは、みな 忘れた。

はつなつの
かせとなりぬと
みほとけは
をゆひのうれに
ほのしらすらし

をゆひのうれ、は小指のこと。そよ吹く初夏の風を感じる清々しい作品と、解説にあっ た。

館仏三昧展