あなたをプレス

プレミアムドラマ『伊丹十三と宮本信子』を見た。伊丹さんは、懐かしい人である。

お宅へ電話をする。「ハイ、イタミです。遊びに、いらっしゃいませんか」。行く。「ちょっと、出ましょう」と、そばやへ。もりそばと酒。そして、ビリヤードへ。そして、本屋へ。そして、珈琲屋へ。それは、ステキに退屈な午後だった。

その番組は、宮本さんが伊丹さんを語り、夫婦の再現ドラマが挿入される。ドラマのなかで、うつ伏せに寝ている伊丹さんの足に、宮本さんがアイロンをかけるシーンがあった。私は驚いた。いかにも、気持ちよさそうに見えた。何人かの友人に話した。そのうちの1人が、こう、言った。

「あ、それ、この間ハワイでやったホット・ストーン・マッサージだ。温かくしたコブシ大のすべすべした平らな石を、おねえさんが、絶妙の力加減で、からだの上を滑らせたり、一か所を押したりする。あまりの気持ちよさに、いつの間にか、寝ちゃった。それのアイロン版ね。健康雑誌なんかで、アイロン健康法とかすると、流行るかも。命の洗濯という言葉もあるし、さ」

アイロン