承前・西荻窪散歩

 『チルチンびと』夏号の取材に同行して、西荻窪を歩いている。同行ったって、ナニ、道案内みたいなものだ。
 このあたりに暮らしている方なら、おわかりだろうけど、店として目立つのは、喫茶店、カレー屋、アンティークショップである。
 カフェなんていう軽いものでなく、木造の築何年というカンジの喫茶店が、いくつもある。インド風だったり、欧風だったり、店の横を通ると、プンとカレーライスの香りの漂う道があちこちにある。アンティーク関係は、古本屋さんを加えれば、70軒はあるだろう。こういう店模様は、神田神保町と、なぜかよく似ている。
 植物学者のY先生の話によると、忽然と海のなかに島が誕生したあと、そのハダカの島を緑にそめていくための種子は、鳥と波と風が運んでくるのだという。西荻窪の町を歩いていると、古くからのどっしりした店、開店したばかりのウイウイしい店といろいろで、それぞれの貌を持つ。店というのも、ひょっとしたら、鳥や波や風が、あちこちから運んできた種子から、生まれるのかもしれない。

西荻窪 MAP