寒中冷麺
「地球温暖化というのは、疑問だという説があるんですね」と、お馴染み、小笠原からいらした安井隆弥先生が言った。「私も、そう思いますね。小笠原も、例年より2℃低く、16℃。みんな、寒い寒いと言ってます」
それから数日後、東京にも雪が降った。
雪の朝、シャーベット・ロードに滑り、『チルチンびと』を発行する風土社の2人の社員、T青年とA小町が、転倒したという。
「ツルツルびと」ですねと、私は、くだらない冗談を言った。
その日の夕方、友人がきて「冷やし中華を食べに行きませんか」と誘った。エッ、と私。
「ほら、寒中水泳とか、滝に打たれるとか、あるじゃないですか。われわれは、せめて食事で、身もこころも、鍛えましょうよ」
神田神保町には、「揚子江菜館」という1年中、冷やし中華を提供する店がある。私たちは、白い息を吐きながら、そこへ向かって歩いた。