千葉へ小旅行

千葉市美術館瀧口修三とマルセル・デュシャン展を観に行ってきました。55歳にして人生最初で最後のヨーロッパ旅行に出た瀧口修三。 奥様へのハガキには要約すると「ちょっとダリんち、行ってきたよ。 そしたらデュシャンにあったよ。ミロには会えなくて、残念だったよ」 とさらっと気軽な旅報告のようなことが書かれているが、 じつはものすごいことなのでは?スケールが違います。。。そのたった一度の出会いから、 瀧口修三の人生=デュシャンを探す旅のような活動、それは自分を探す旅よりも根気や知力体力のいる作業だったのではないだろうか。その軌跡が展示されていたのだけれど、実際に会えなくても手紙や、印刷物や、作品を通じて信頼関係は築けるものなのだとわかった。デュシャンへの果てしない興味と尊敬はどこから湧いてくるのか不思議で、かえって瀧口修三とはいったいどんな人なのだろうと興味が湧いてくる。

 

この時代の人たちは、会いたい人や会いたい才能を見つければすぐに 手紙を出したり、電話をして会いに行って、気が合うと有名無名問わず 繋がっていったみたいだけれど、たしかにその人の言葉から信頼や尊敬が汲み取れればなんの問題もない。そして行動力の源は、 行動すれば何かが生まれるという希望とか夢があって、実際にそれを 実現している前例がたくさんあったからとも思う。今は昔より見知らぬ人を知ってつながる手段は豊富だけれど、 すごいことはみんなもう起きてしまった。という醒めた空気もあると思うし、 個人情報保護なんていって誰に対しても「私怪しくないですよ。」ってことを まず証明しなくてはいけないムードが必要以上にある気がする。 あきらめや疑いなんかが前提だったら、開かれる扉も開かれない。 生まれるべき関係も生まれない。でも勇気を出してそのラインを 飛び越えている人たちも全国には沢山いて、たとえば小さなお店が集まって イベントをやることもその一つだと思う。そういう人たちは確実に変化していってるし、 絶対にいつか、というか思ったよりも早く、実になっている気がします。

 

夜は川村美術館に移動して、PLAY ! MUSEUMという美術館コンサートの試みに参加。 夜の美術館に入れるのも楽しかったし、3組すべてが期待以上の素晴らしく幻想的で 美術館にぴったりな音空間を演出してくれてゾクゾクしっぱなしでした。 もっとあってもいいのにあまりない、こういうのも企画者の方たちの陰ながらの 努力あっての賜物だと思います。本当に素晴らしい企画をしていただいて感謝!またこんな風に、美術館コンサート目当てに小旅行してみたい。

 

途中、インドへの旅もあり。