せんべい師

綾部商店

 ゛広場゛千葉県版の、「オイシイおせんべいのヒミツ」の連載が完結した。お読みにな
りましたか。せんべい屋さんの情熱が、楽しめるページです。
 この記事の取材の前に、何冊かの関係する本を読んだ。そして、せんべいの発祥は中国であることを知った。また、804年に空海が長安を訪れたとき、これは日本人向きの味じゃ、といって日本に持ち帰ったことも知った。当時のものは、小麦粉と糖蜜でつくら
れた甘いものであったらしい。それが、文化、文政のころから、米を素材にした醤油味が誕生。江戸っ子の間で、流行したという。
 読んだ本の中に、古い文献からの引用があり画が添えてあった。それを見ると、せんべいを焼く暑さのせいか、もろ肌を脱いだ男が、左手にうちわ、右手にせんべいをはさむ道具を持ち、コンロに向かっている。その画についた説明が「せんべい師」。いいじゃない
ですか。この「せんべい師」の称号を、綾部商店のご主人にもささげたいと思った。
 空海が、せんべいを中国から持ち帰ってから1200年。せんべいの歴史は火と網の上で熱く焼きつがれてきたのである。そのことに感動した。