続・楊枝

さるやの楊枝

—- 黒文字は、ヤナギ科の木じゃないかな。匂いがいいんですよ。こうやって、噛んでいると、味があるんですよ。一本の木から、二尺ずつ切って、それを四つ割りにして、それを、ほら、こういう皮がついているところを残して、小刀で削る。大変なんですよ。
 全部、手づくりなんだ。こういうふうに一本一本、先をそろえて、削ってつくれるまでに、十年はかかる。一日、一人で二千本はつくります。安い楊枝がありますね。あれは、機械でつくる。材料は白樺とか。以前は、竹なんかも使ったことがありますが、竹はダメだね。ささくれ立っちゃう。
 楊枝は、江戸時代からあります。うちも、創業三百余年。昔のひとは、よく言ったもので、老舗(しにせ)は、新店(しんみせ)。古くても、感覚は新しく、という気持ちで、細く長くですな —-。
 このブログの a-van の「楊枝」を見て、かつて、「さるや」で聞いた話を思い出し
た。