秋の太鼓

秋の太鼓

地下鉄・大手町駅の改札口を出て、いざ、目的地へ行こうとしても、いつも、迷ってしまう。この日も、そうだった。「C‐5」の出口ですよ、といわれていたのに、あっちへ行きこっちへ行き。疲れてドトールでアイスコーヒー200円。それでもやっとC‐5出口を抜けると、外は青空だった。台風一過。道を左へ。将門塚の標識。「将門公は、承平天慶年間に活躍され、武士の先駆けとして関東地方の政治改革を行ないました」と、立札にあった。今日は、その将門例祭。amedioが、仲間たちと太鼓を披露する。「小学生のときに、池上本門寺のお会式に参加して以来だから、もう20年やっています」と太鼓歴を話したあとで、ひとりごとのように「太鼓、好きだなあ」と言った。ドンドンドドン、エーイッ、カッカッカッ、ヤァー、トンツクトンツク—- いつもと同じカオで、叩く、動く、叫ぶ。気負いも衒いもなく。

女のからだは お城です
なかに一人の少女がかくれている
と、寺山修司は、書いていた。