ハチメイワク

ハチメイワク

 

「私は、ハチと話ができるんです」 と、その人は言った。養蜂家である。そういえば今年は、あまり聞かなかったけれど、ホラ、よく、何万匹のハチがドコドコに出現したとか、あるでしょう。養蜂家は、そういうときに、始末に出かけるのだ。
 「パトカーが、迎えにくるんです。パトカーに乗せられると、なにか、悪いことをしたみたいでカッコワルイけど、まあ、しょうがない。早く行ってやらないと、ハチがかわいそうですからね」
 さて、現場では、野次馬も報道陣も遠巻きにしている。でも、ミツバチはいじめなければ、刺さない。体にとまっても、あれは、ハネを休めているだけですから。ただ、いったん怒って刺すときは、決死の覚悟で刺しますからね。刺せば、自分はケンを置いて死ぬんですから。
 刺されてしまったら、血行を止めることです。刺された箇所をギューッとつまむ。そして、つまみながら、冷やすんです。こうして、体に毒を回らせないように、するのが、一番。 —- そんな話をしてくれた。      

< この項つづく >