続・タネ袋の絵師 ~ 冷えた Suica ~
園芸店の店先に並ぶ、タネ袋の絵を描いてきた゛タネ袋の絵師゛の話のつづきである。
「好きじゃなければできない仕事ですよ」
と、その人は言った。
「ぼくは、葉脈の一つひとつを描くのが楽しみだった。もっと突っ込んで、もっとこまかく、というところへいくのが面白かった。水彩で描くのだけれど、緑を描くのには、苦労した。浅い緑、深い緑 — 緑は光によって、色が変わる。花はそう難しくないけど、野菜モノは、だから難しかった。ぼくの絵は、写真のようであって、写真でない。うるおいをつけくわえたかった。うるおいと写実 —絵と写真の両方のいいところを、表現したかった。そうだ。なつかしさも、つけくわえたかったんです」
そう、絵師は語った。
ガーデニングの盛んな季節。そんなとき、昔、タネの袋にも、
情熱を傾けた人がいたことを、書いておきたかった。
もうひとつ。前回、スイカ と Suicaを間違えた一件を書いた。
それにオヒレがつき、私が Suica を冷蔵庫で冷やした
という噂になっていた。まだ、そんなにボケちゃいませんよ、
ということも、書いておきたかった。