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チルチンびと住宅建築賞授賞式

3月11日、午後3時から、西神田の風土社で「第4回2015年度チルチンびと住宅建築賞」授賞式が行われた。
「…… 最近、だんだんと若手の建築家で、ちゃんと木造を設計できない人が増えていることを危惧しております。それを、なんとかしていきたい、若手の木造の設計者を育てたい、という趣旨もあって、この賞を……」という、審査委員長・泉幸甫氏の話から始まった。そして、受賞者の発表。

 

審査委員長・泉幸甫氏

審査委員長・泉幸甫さん

若手建築家部門最優秀賞・奥野崇さんと審査委員・横内敏人さん(左)

若手建築家部門最優秀賞・奥野崇さんと審査委員・横内敏人さん(左)

 工務店設計者部門最優秀賞・野路敏之さんと審査委員・横内敏人さん(左)

工務店設計者部門最優秀賞・野路敏之さんと審査委員・横内敏人さん(左)

工務店伝統型技能部門伝統技能賞・原淳さんと審査委員・大野正博さん(左)

工務店伝統型技能部門伝統技能賞・原淳さんと審査委員・大野正博さん(左)

若手建築家部門最優秀賞・奥野崇さん・奥野崇建築設計事務所。
工務店設計者部門最優秀賞・野路敏之さん・(株)住まい工房。
工務店伝統型技能部門伝統技能賞・原淳さん・原建築。
を始め、16名の方々に賞が贈られた。そのつど、作品についての審査員の講評と、受賞者の言葉が語られた。いろいろ授賞式はあるけれど、佳作にまで丹念に講評されるのは、珍しいのではないか。
続いて、懇親会。春のはじめの冷たい夜だったが、あたたかい会になった。
……


第4回 チルチンびと住宅建築賞の作品、受賞の言葉、審査員の講評などは、発売中の『チルチンびと』87号に掲載されています。

 


『チルチンびと』の 3.11

 『チルチンびと』の 3.11

あの日から、5年。
……
2011年3月11日、私はドバイからナイロビに行く飛行機の中にいた。これからナイロビのスラムの調査をやろうというところであった。今思えば、サウジアラビアの砂漠の上を飛んでいた頃が、あの地震の起きた時だった。日本で大変なことが起きたらしいことは、空港からホテルに向かうタクシーのラジオで知った。(「孤独死を防げ。仮設からコミュニティデザインを問う」大月敏雄)
……
悲劇は、ここから始まった。
『チルチンびと』87号では、〈東日本大震災・木造仮設住宅の記録〉という、独特の視点からの特集を組んでいる。ほかに、その内容は、「フクシマからの便り 2016・境野米子」。「震災で問われた木の家づくりのネットワーク・安藤邦廣」。「届け、国にこの声が。大工力で国を動かし、つくった仮設・増子則雄」。「東北の力・地域工務店のつくる木の家・増子建築工業、坂元植林の家」。
……

『チルチンびと』87号
『チルチンびと』87号は、〈特集・この家具と、暮らす〉。3・11 発売です。

 


追悼・奥村まことさん

奥村まことさん

写真:輿水 進

 

85歳の女性建築家、奥村まことさんが亡くなられて、一カ月。『チルチンびと』87号に、追悼のページがあり、田中敏溥さんも、こんな想い出をよせている。


……
ウェブ「チルチンびと広場」に連載の「奥村まことの方丈記」を楽しみにしていました。第1回〈新国立競技場・私案〉の最後の一文「常に建築家は護りの姿勢ではなく、前進しなければいけない。」は、強く心に残ります。まことさんは、強くてやさしい、大らかにして繊細な人でした。
……


「奥村まことの方丈記」は、コチラからごらんいただけます。

 

『チルチンびと』87号


『チルチンびと』87号は、〈特集・この家具と、暮らす〉。山裾の家具工房から / この家にこの家具 / 子育てから考える 木の家具、木の家、木の道具 / 家具と一生つきあう方法 / 美しい木の家具カタログ / 東日本大震災・木造仮設住宅の記録- フクシマからのたより 2016 -孤独死を防げ。仮設からコミュニティデザインを問う-震災で問われた 木の家づくりのネットワーク - 届け、国にこの声が。大工力で国を動かし、つくった仮設 / 追悼・吉田桂二さん - 奥村まことさん / 第4回2015年度 チルチンびと住宅建築賞受賞者発表 ほか、充実の 256 ページ。定価 [本体917円 + 税]。3月11日発売です。

 


机は語る

編集部 某氏の机

 

長田弘さんが、「机」について書いた文章が好きだ。(『感受性の領分』岩波書店)それは、こんなふうである。


……
机というのは、どんな家具とも、道具ともちがう。机はその机にむかう一人の日々のありようを黙って語っていて、ただ雑多としか見えないような机であれ、およそ整然としている机であれ、机上にあるすべてには、その机とともに暮らす一人の痕跡がのこっている。

そして、その最後は、こんなふうに終わっている。

机は、とどのつまり板子一枚だ。その板子一枚のうえには、一個の人生という、ごくありふれたものが載っている。
……


『チルチンびと』87号 の 〈特集・この家具と、暮らす〉の校正刷りを読んでいて、この文章を思い出した。写真は、編集部 某氏の机。校了の「痕跡」がのこっている。

 


オノ・ヨーコさん の DREAM

オノ・ヨーコさん の DREAM

 

先週土曜日の午後。ラジオを聞いていたら、「オノ・ヨーコさんが自宅で倒れ、救急搬送された。意識がないようだ」というニュースが流れて、びっくりした。つい何カ月か前、東京都現代美術館の「オノ・ヨーコ    私の窓から」展を見ていたからだ。会場のどの部屋からも、彼女のたくさんのメッセージが語りかけていた。


いま手元に、その展覧会のチケットがある。名刺の1・5倍ほどの大きさの白いカードの中央に、単語が印刷されている。それには、いくつもの種類があるようだが、いま手元にあるものには、DREAM  とあった。今日、新聞は、その病状を、インフルエンザからくる脱水症状で、すぐに回復したと伝えている。よかった。

 

オノ・ヨーコさん の DREAM

 


食べられないご馳走

食べられないご馳走

 

昼はなににしようか、と考えて、ナポリタンとピザにした。

というのは、ウソで、浅草合羽橋商店街を歩いた。そこに、元祖食品サンプル屋、という看板のお店を見つけた。店内には、外国人観光客が何人もいて、さかんにサンプルめがけて、シャッターを切っている。いやすごい。ソフトクリームがある。クリームソーダがある。エビフライがある。ハンバーグステーキがある。ラーメンがある。冷やし中華がある。冷やし中華のキュウリといい、細切り卵焼きといい、まあ、手がこんでいる。ホンモノよりホンモノらしい。あの外国人男性は、握り寿司がよほど気に入ったのか、その前から離れない。

虚実皮膜。サンプルづくりにかけるご苦労は、いかばかりか。どんな眼が必要なのか。うかがってみたくなった。早速、お願い。幸いOKということなので、いずれご紹介いたします。で、今日の昼飯は、なににしたか、実はまだ思案中なんです。

 


85歳女性建築士 奥村まことさんの遺した言葉

奥村まことさん
 
 
リチ・キタイという詩を70年前に読んだ。すごい!  詩人になりたいと思った。その後、材質と寸法と色の世界に入ったので言葉と決別した。感性は言葉では表せないと思ったからだ。病を得て、感性の世界から言葉の世界にちょいと飛び移ってみた。1回で終わるか、2回で終わるかわかりませんがよろしく。チャペックのようなコラムニストになりたい。なんちゃッて。
85歳女性建築士 奥村まこと
 
“ 広場 ”の連載コラム「奥村まことの方丈記」の始めに 、こんな言葉が寄せられた。なにかを、予感されていたかのように、連載の2回目がアップされた翌日、残念ながら、まことさんの訃報に接することになった。お付き合いいただき、ありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
 
※「奥村まことの方丈記」の連載は、こちらから、ご覧いただけます。
※写真・輿水 進
  

私のセツ物語

セツモードセミナー

この「広場」のコラム欄で、「私のセツ物語」が始まった。セツ・モードセミナーという、ユニークでフシギな学び舎を描くことで、教育とは何、学ぶとは何、ということが浮かび上がってくるだろう。コラムの反響は、読んでいるうちに涙が出ましたなどと、懐かしさにあふれているものが、多い。自分は、その学校に行っていたわけではないけれど、風景の描き方など教わるところが、いいですね、という感想もある。

なにを隠そう、「広場」のスタッフのMも、通っていたひとりである。当時の仕事先から、夜、セツに向かうときの楽しさについて、話していたことがある。授業が終わると、みんなお金がないから、四谷から新宿まで歩いて帰ったと、話していたことがある。それは、ステキな貧乏だった。貧乏はステキだった。みんな、夢みる生徒だった。いまも、イラストの仕事を続けるひと、ふるさとに帰ったひと…… みんなに、若者たちの昔を、描いていただくつもりである。

※「私のセツ物語」は、コチラからご覧いただけます。

 


神保町はネコとパズル

木の玩具などでおなじみ、キッコロが、“ 神保町いちのいち” でお店を出している。行ってみた。お客さんに対応する合間に、うかがった話。………

ここでは、ネコのモノが動きますね。前にやらせていただいた時、お客さまとお話ししていると、ネコのモノを探している方が多いんですね。今回は、事前にカッティング・ボードや一輪挿しに、ネコをあしらってみましたが、やはり好評です。そんなふうに、土地土地で売れるモノが、ちがいます。雑司ヶ谷の手創り市では、動物の形をしたブローチが、人気。色味にも土地柄があって、長野方面ですとナチュラルな木の感じ。名古屋方面ですとグリーン、横浜ですと赤の入ったモノが売れました。こういうのがウケるだろうと、つくっていくと反応がなかったり、少ない品物がよく出たり、ヨミのはずれること、しょっちゅうです。材料の木は、ブナが主で、ブナは木目があまり主張しないし、色をつけてもキレイにでるんですね。……  そうそう、ここでは、キューブ・パズルも動きますね。立方体をつくるパズルですが、本屋さんの中のお店だからか、パズルのお好きな方が、よくいらっしゃいますね。神保町は、ネコとパズル !

この催しは、1月25日(月)まで。三省堂書店、神保町いちのいち  で開かれています。ぜひ、お立ち寄りください。


「チルチンびとマーケット」は花ざかり

チルチンびとマーケット

 

1月13日、14日の両日、「チルチンびと地域主義工務店の会  東京定例会」が、風土社でひらかれた。そのなかで、昨年「チルチンびとマーケット」を開催したうち、二社の報告があった。ご紹介したい。

まず、住まい工房 堀川哲人さんの話。「古道具、ステンドグラス、薪ストーブなど17の出店があり、売り上げは20万を超えた店もありました。来場者は、悪天候にもかかわらず600名を上まわり。みなさん、興味を示すのは、やはり、食ですね。ベーグルパンは大人気。開店早々なくなりましたよ。このイベントで飛躍的に増えたのが、うちのホームページへのアクセス数。通常の4~5倍になりましたね」

つぎに、家造 加藤組 / ノモトホームズ  野本建設が合同でひらいたマーケットの報告を、加藤組 加藤善典さん。「おみやげをいれたエコバッグを500用意したが、午前中で全部なくなりました。午後にも出足は途切れなかったから、1000人は超えていたでしょう。出店した方も、こんなに人が集まるイベントは初めてだ。ふだん出会えないお店や作家のひとと、一緒にできてうれしい、など大好評。やっぱり人気は、お菓子でしたね」。

今年も、各地で「チルチンびとマーケット」がひらかれます。みなさま、お楽しみに。