スキップフロアが広がりを生む 都会の住まい

スキップフロアが広がりを生む
都会の住まい
東京都心の私鉄沿線の駅から、徒歩5分ほど。
好立地に建つ田村さん夫妻の住まいは、
23坪という狭小地ながらスキップフロアを採用することで、
広がりのある空間を実現している。
東京都 注文住宅 四季工房 田村邸
設計=㈱アール・イー建築工房 施工=㈱四季工房 写真=西川公朗 文=上野裕子
- 都心の住宅地に建つ。
- 玄関。靴箱や建具などは造作。
3人のお子さんの独立を機に、家づくりを考えるようになったという田村さん夫妻。奥さんは「それまでは同じ区内の戸建て住宅に住んでいましたが、長男、次男、末娘が家を出たため広いスペースが不要になり、新たな場所に夫婦二人の住まいを建てようかということになったのです」と話す。
家づくりの依頼先を探すために、展示場などを見てまわったという夫妻。大手住宅メーカーを中心に探したものの、なかなかピンとくるところがなかったそうだ。そんな時に、ご主人が出張の際に、東北新幹線の車内誌で四季工房の広告を見たことから、同社に関心を持ったという。
- 1階ホールのニッチ。
- ホールからダイニング・キッチンへの階段を上がる。
「ゆいの郷」を訪ねて
木の家の真価にふれる
福島県郡山市に本社を構える四季工房は、東京から東北の東日本エリアを中心に、天然乾燥の国産材を使った家づくりを行う工務店だ。田村さん夫妻は、ご主人が出張から戻るとすぐに三鷹にある展示場を見学し、国産材や漆喰などの天然素材とデザイン性の高さにひかれたという。「二度目に展示場を訪れた際に、四季工房の野崎進社長とお話しする機会がありました。家づくりへの真摯な思いに共感するとともに、野崎社長と主人が同郷で接点もあったことからご縁を感じ、家づくりをお願いすることになりました」(奥さん)。
四季工房は、福島県平田村の広大な土地に、木材加工場や体験宿泊施設、農場などを備えた地域循環型の施設「四季 ゆいの郷」を運営している。田村さん夫妻は何度もゆいの郷を訪れたそうで、「大工さんが手刻みで家づくりをする姿を見て、しっかりと技が継承されていることに感銘を受けました。また、建ててから時を重ねるほどに味わいを増す建物を見て、自然素材の素晴らしさがわかりました」と話す。
- ビングでくつろぐ夫妻。
- 家具類はもともと持っていたものを使っ ている。
小さな土地でも
大きく暮らせる間取り
設計にあたって田村さん夫妻が希望したのは、駐車場を設けることと明るさ・暖かさを確保することだった。「以前ここに建っていた家は、昼間でも電気をつけないと暗かったので、明るく暖かな家がいいと思いました」(奥さん)。こうした希望を受けて四季工房は、平面ではなく立体的に間取りを計画することを提案。ビルトインガレージを設けることで生じる階高の差をうまく生かし、各室をスキップフロアに。玄関から階段を数段上がるとホール、寝室、ゲストルームがあり、そこから階段を上がるとダイニング・キッチンが、さらにその上にリビングと水まわりを設けた。
四季工房の野崎社長は「都内では珍しくない小さな土地ですが、何かを我慢したり諦めることなく暮らしてほしいと考えました」と話す。「階段の上り下りが視覚的な変化を生み出します。またレベル差は間仕切りや建具を減らすことにもつながり、連続した空間の広がりが感じられます」(野崎社長)。
- 1階の寝室には、デスクを設けた。
- 四季工房が採用する「エアパス工法」の操作スイッチ。床下換気口と小屋換気口を夏は開け、冬は閉じることで快適な室内環境を実現する。
田村さん夫妻がこの家に暮らして3カ月ほどだが、夫妻は「ダイニングやリビングを2階にしたことで、冬でも明るく暖かく過ごせます」と話す。年末年始には、独立したお子さんたちも泊まりがけで訪れ、賑やかに過ごしたという。今後はホールに薪ストーブを設置する予定もあり、この家での楽しみがますます増えそうだ。
所在地 | 東京都 |
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家族構成 | 夫婦 |
面積 | 敷地 78.85㎡ 住宅部分 87.72㎡(1階 33.24㎡ 2階 42.89㎡ ガレージ部分 11.59㎡) |
竣工 | 2022年10月(工期2022年5月〜10月) |
設計 | ㈱アール・イー建築工房 担当:北島誠人 |
施工 | ㈱四季工房 |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板 0.5㎜ 軒天井=ケイカル板 外壁=化粧サイディング 14.5㎜ |
主な内部仕上げ | 天井=漆喰仕上げ、スギ無垢板厚12㎜、プラスターボード厚9.5㎜ 壁=漆喰仕上げ、スギ無垢板厚12㎜、プラスターボード厚12.5㎜ 床=ヒノキ無垢板厚24mm |
株式会社 四季工房 東京支店
〒105-0004 東京都港区新橋2-6-5 外堀通り上一ビル 7F
私たちは、自然素材や国産材を使用し、
熟練した大工の手きざみ加工による日本の木の家づくりの伝統を受け継ぐ、
地域循環型の住まいづくりを実践しています。
住まいづくりを通して環境問題へ取り組んでおり、
地域主義工務店の枠にとらわれない事業経営、トータルな住まいづくりを行っています。
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