時を経て味わいを増す木の家に暮らす

千葉県 注文住宅 持井工務店
千葉県

時を経て味わいを増す
木の家に暮らす

千葉県郊外の静かな地区に建つA邸。
坂道にある変形敷地に生まれたのは、
立派な木組に守られ、
どこにいても庭の緑を楽しめる空間だ。

千葉県 注文住宅 持井工務店 A邸
設計・施工=㈱持井工務店 文=太田花奈

13年前に完成した
住まいを訪ねる

JR船橋駅から車で十数分。周囲に畑も多いのどかな住宅街で、デザインされた小さな庭が際立つ一角がA邸だ。路地に対する目隠しとして植えられた緑は、町の風景にも彩りを添える。

築13年を迎えたという住まいは、夫妻と高校2年生の長女、中学校3年生の長男の4人家族の生活を見守ってきた。室内に入ると広がるのは、廊下や間仕切りがない開放的な生活空間。時が経ち、飴色に変化した無垢の木の床や天井、立派な木組が、一家の居場所をよりいっそう温かに見せる。中でも目を引くのは、玄関の正面に立つ天竜杉の大黒柱。下部は、木の根の部分の曲がりをあえて残してあり、まるで床から生えた大樹が住まいを支えているようだ。A邸を手がけた持井工務店の四代目社長で大工棟梁の持井大輔さんは「この柱には、僕がはじめて山で選んだ丸太を使いました。目通り(目の高さ)の円周が1メートルくらいかな。森の中ではもっと細く見えて、いつも扱っているものよりも少し大きくなってしまいました」と笑う。

住みやすく飽きのこない
木の空間と庭の眺め

Aさん夫妻が持井工務店に依頼したのは、もともと同社の家の住み心地のよさを知っていたからだ。奥さんは「以前住んでいたマンションも持井工務店が建てたものだったんです。先代社長の考えで廊下が広く、確か青森ヒバだったと思うのですが、天井に本物の木が使われていたり。今思うと、普通のマンションではあり得ないくらい過ごしやすい設計だったと思います」。一方ご主人は「今の家の設計も、現場で打ち合わせてすぐに変更や調整を加えてくれ、どんどんよくなりました。それは大工が手でつくるスタイルだからなせることだと思います」と家づくりの当時を振り返る。

北欧スタイルの雑誌を見せながら、持井工務店に理想のイメージを伝えたという奥さん。これによって実現したのが、前面道路側の壁を天然唐松の板張りとしたダイニングだ。「落ち着きのある空間になればと思いました。よかったら座ってみてください、窓から外を眺める時間は本当に安らぐんですよ。庭のアロニアがつけた実や鳥が来るのを観察したり。家に居ながら季節の移ろいを感じられます」(奥さん)。ご主人のお気に入りの場所はダイニングやキッチンからも視線が通るリビングに面したデッキ。「家の外と中がつながる感覚が気持ちいいです。テーブルを出したり、シートを敷いたり、いろいろな使い方で楽しんでいます」(ご主人)。

庭は坂道に面した立地に合わせ、リビング側を高く、ダイニング側を低くつくられている。食卓を囲んでいる時には、外に干した洗濯物や道ゆく人が目に入らないようにするための絶妙な設計の工夫だ。

「実生活ではわざわざ考えないけれど、本当にていねいにつくってもらったなと。木にできた傷ですら味になって気に入っています」と奥さん。経年で味わいを増すことは、木の家の醍醐味だと持井さんは応える。「大量生産で消費されていく家よりも、経年美化して引き継がれる家を建てたいんです。だから、地元の業者と連携する、良材をトラック満載で仕入れて輸送コストを削減する、大工の手で組む。お客さん本位で、手間を惜しまずに家をつくっています」。

千葉県 注文住宅 持井工務店 平面図

所在地 千葉県
家族構成 夫婦+子ども2人
面積 敷地 195.72㎡
延床 128.06㎡(1階 74.36㎡ 2階 53.70㎡)
竣工 2010年6月(工期 2009年11月~2010年6月)
設計・施工 ㈱持井工務店
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板天然石化粧屋根(ストーンウェイブ)
外壁=スギ板厚30mm 外部塗装 オスモカラー
軒天井=杉板12t 化粧現し
主な内部仕上げ 天井=スギ板厚12mm、スギ敷目板張り
壁=ラスボード下地漆喰仕上げ、青森ヒバ12mm
床=チーク厚15mm(1階)、クルミ15mm(2階)

株式会社 持井工務店
〒274-0817 千葉県船橋市高根町1488-1

持井工務店は、地元・千葉県船橋市で4世代にわたり活動する「船橋の職人集団」です。
現代の主流となったプレカットに頼ることなく、すべて自社大工による手刻みで家を建てています。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

Optionally add an image (JPEG only)