三和土をつくってみよう

三和土をつくってみよう

三和土をつくってみよう

三和土は数種類の土と消石灰、苦汁(にがり)の3種類の素材を混ぜ合わせ、叩き締めてつくります。
美味しいごはんを炊くとき水加減が決め手であるように、たたき土をつくるときにも水加減が重要です。施工する際には一度に仕上げるのではなく、バームクーヘンのように何層かに重ねるように施工することが美しく仕上げるコツです。
三和土は他の仕上げ方と比べて、専門的な技術を特に必要としません。必要なのは愛情と根気とていねいさ、そして大粒の汗を拭く大きめのタオルでしょうか。
思い出の貝殻や石、ビー玉などを入れても素敵です。いつまでも家族を温かく迎えてくれる、思い出を込めた三和土づくりに挑戦しませんか。

取材協力=㈲勇建工業 イラスト=越井 隆 写真=畑 耕

用意するもの

今回使用した材料……1平米あたりの必要量(厚み60mm仕上げの場合)

深草砂利(京都産)名古屋砂(山砂)消石灰 苦汁 粘土質系の土 塩化マグネシウム水溶水

※材料は1㎡に対する使用量で、70mmほどの厚みに敷きならし、叩くと60mmほどに仕上がる量です。施工する面積(㎡)や、仕上げの厚みに合わせて用意してください。

道具(左官専用の道具でなくとも、園芸用のシャベルや鍬もご利用ください)

じょうろ レンガ鏝 万能柄杓 左官用鍬 舟・ねりぶね

「たたき土をつくろう」

舟に深草砂利と山砂を1対1で必要量入れ、鍬で畑を耕すようにかき混ぜる。

舟に深草砂利と山砂を1対1で必要量入れ、鍬で畑を耕すようにかき混ぜる。素材の乾き具合により重さが変わるので、バケツで量を計る方が間違いは少ない。塊があるなら押しつぶして混ぜる。

ここでは名古屋中塗り土と着色目的で京都産赤土を入れたが、他の粘土質系の土でもよい。

1⃣の3割ほどの量の粘土質系の土を加える。ここでは名古屋中塗り土と着色目的で京都産赤土を入れたが、他の粘土質系の土でもよい。全体に同じ色になるまで、まんべんなく混ぜ合わせる。

加えた粘土質系の土の5割強の量の消石灰を柄杓で測りながら加え、再度根気よくかき混ぜる。

2⃣で加えた粘土質系の土の5割強の量の消石灰を柄杓で測りながら加え、再度根気よくかき混ぜる。混ざり方にムラがあると固まりにくい場合もあるので要注意。

3⃣で十分に混ぜた材料を舟全体に広げ、まず苦汁を必要量の8割程度を全体に撒き、かき混ぜる。さらに、少しずつ苦汁を加え、水分量の確認をしながらかき混ぜて調整をする。水分量はとても重要。たたき土を両で強く握りしめ、ようやく固まるくらいが目安。水分が浮いてくるようだと苦汁の入れ過ぎ。再度、砂利や砂、土を入れて練り直す。

3⃣で十分に混ぜた材料を舟全体に広げ、まず苦汁を必要量の8割程度を全体に撒き、かき混ぜる。さらに、少しずつ苦汁を加え、水分量の確認をしながらかき混ぜて調整をする。水分量はとても重要。たたき土を両で強く握りしめ、ようやく固まるくらいが目安。水分が浮いてくるようだと苦汁の入れ過ぎ。再度、砂利や砂、土を入れて練り直す。

今回は、京都産の深草砂利を使いましたが、国内では各地で産出される花崗岩や、安山岩が風化した小石混じりの砂利が古くから使われてきました。もし身近でこのような土を入手できるようなら、土選びから始めて「オリジナル三和土」をつくるのも楽しみではないでしょうか。また、セメントなどを混ぜ、薄く仕上げることができる三和土のセットも販売されているので、参考にしてください。
 
三和土セット
 
重吉たたき「三和土」用各種材料あり
近畿壁材工業㈱
兵庫県淡路市多賀2150
☎︎0799-85-1147
 
家傳・三和土セット
中内建材店
京都府京都市上京区浄福寺通中立売上ル東西俵町157
☎︎075-441-0949
 
フッコーたたき
東京福幸㈱
山梨県南巨摩郡富士川町最勝寺1442
☎︎0556-22-3121

「三和土を施工しよう」

三和土の下地

三和土を施工する下地によって、三和土の仕上げ厚みが異なり、用意する材料の量も変わります。

コンクリート下地 砕石下地

左/コンクリート下地 コンクリートに直接三和土を施工することはできません。少なくとも砕石を60mmほど敷く必要があります。その場合も、たたき土は70mm 程度敷いて、60mmほどに叩き仕上げます。
右/砕石下地 下地が砕石の場合には、70mmほどのたたき土を敷き、叩くと60mmほどになります。仕上がり高さの調整は、下地の段階で砕石を敷きならし、タコなどで締め固めた上で三和土の施工をしてください。

道具

木づち 垂木 スポンジ 鏝 レンガ鏝 園芸用シャベル たたき棒 タコ 鍬 刷毛

道具のつくり方

「タコ」や「たたき棒」など、三和土用の道具はDIYショップでも見かけることは少ないです。
特殊な道具に見えますが、よく見ると意外と簡単なつくりなので、
一般的に木造住宅で使用する木材とコーチスクリューを使って自作することもできます。

タコ たたき棒

垂木(45×45×長さ1,200mm2本、360mm 1本)
梁・桁材(300×120×300〜450mm 1本)
柱材(90×120×200mm 1本)
コーチスクリュー(長さ90mm 6本)

テープ付き養生シート養生テープは太めのものがおすすめ

たたき土はアルカリ性が強い消石灰が含まれるため、木に触れると後々アクが出ることもある。念のため、施工する前に木部を養生しておくと安心。

まず、土間と壁などの際や隅にたたき土を三角状に盛り、木づちで十分に叩き締めておく。

まず、土間と壁などの際や隅にたたき土を三角状に盛り、木づちで十分に叩き締めておく。

三和土は3層ほどに分けて施工する。つくったたたき土の1/3程度を目安に、土間全体に小分けに盛る。

三和土は3層ほどに分けて施工する。つくったたたき土の1/3程度を目安に、土間全体に小分けに盛る。

小分けに配したたたき土を鍬な どで土間全体に敷きならす。

小分けに配したたたき土を鍬などで土間全体に敷きならす。

全体を足で強く踏み締める。

全体を足で強く踏み締める。

木の棒で、全体が水平になるよう均等に敷きならす。施工面積が広ければトンボなどを使う。

木の棒で、全体が水平になるよう均等に敷きならす。施工面積が広ければトンボなどを使う。3⃣から6⃣の作業を3回繰り返す。3回目は仕上げ高さより、おおよそ1㎝ほど高くなるように敷きならす。一度叩き上げると高さの補修ができないので、特に3回目は慎重に。

タコを使い、水分が上がってくるまで土間全体を均等に突き固める。

タコを使い、水分が上がってくるまで土間全体を均等に突き固める。タコを使い、水分が上がってくるまで土間全体を均等に突き固める。

たたき棒で細かな段差がなくなるように、均等に土間を叩いて仕上げる。

たたき棒で細かな段差がなくなるように、均等に土間を叩いて仕上げる。

たたき棒で仕上げたままでもよいが、水を含ませた刷毛やスポンジを使って表面の土を洗うと、三和土は10年ほど経過したような趣のある仕上がりとなる。

たたき棒で仕上げたままでもよいが、水を含ませた刷毛やスポンジを使って表面の土を洗うと、三和土は10年ほど経過したような趣のある仕上がりとなる。

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