花と緑の照明計画 光がつくる庭の夜景

花と緑の照明計画光がつくる庭の夜景

光がつくる庭の夜景
花と緑の照明計画

リビングやテラスから夜の庭を眺める幸せな時間――。
空間を光で演出し、昼間とは違った美しい庭の夜景を
楽しむために必要なポイントを解説します。

監修・協力=㈱YAMAGIWA クリエイティブ事業部 佐々木泰和

引き算でつくる光空間

庭の照明プランを考えるとき、まずは、いちばんきれいに見せたい樹木や場所を決めましょう。大切なのは、照明を当てるものと当てないものの選別。どれも同じように光を当ててしまうと、表情に乏しく、特徴のない庭になってしまいます。光を足すのではなく、「引き算」で考えるのが重要です。シンボルツリーやフォーカルポイント(視点の中心となる部分)を常に美しく見せることを念頭に、プランを進めましょう。

樹木の魅力を引き出す

立木への光は、樹木の種類によって照射の方向や角度を変える必要があります。たとえば椿のように葉肉が厚いものは、やや離れた場所から樹木全体をやさしく照らしましょう。近くから照らすと、葉の影がたくさんできてしまい、美しくありません。

逆に、カエデのような薄い葉は、木の根元からライトアップするのがよいです。葉が光を通すので、樹木の上部まできれいに照らされ、葉色自体も美しく引き立ててくれます。

樹木を照らす位置も重要です。正面から当てれば、木を部分的にはっきりと見せることはできますが、奥行きは感じられません。少し横から照射すれば、木の幹や枝、葉など、木の個性が浮かび上がります。葉ぶりを見ながら、その木のよさがいちばんよくわかる光の当て方を探ってみましょう。

照射位置による見え方の比較。右/正面からの照射では、表情が乏しく美しさに欠ける。左/少し横から照射すると、樹木の魅力的なフォルムが浮かび上がる。
照射位置による見え方の比較。右/正面からの照射では、表情が乏しく美しさに欠ける。左/少し横から照射すると、樹木の魅力的なフォルムが浮かび上がる。

光の「面」と「点」が
奥行きを生む

庭の照明というと、まずは下からライトアップする方法が浮かびます。それだけでも樹木を美しく見せることは可能ですが、庭全体の演出と考えると、実は少し物足りなさを感じてしまいます。

光の空間を考えるときには、「面」と「点」を意識することが大切です。広い範囲をふんわりと照らしながら、ポイントに光を足すことで、空間に表情と奥行きが生まれるのです。

光の面をつくるには、上からの照射がおすすめです。軒や外壁にライトを付けて、庭全体をやわらかく照らし、ポイントで樹木をライトアップしていきましょう。

また、庭の手前側は低い位置で弱めに照らし、壁や塀など奥のフォーカルポイントに光を集めることでも、奥行きが生まれます。

手前は低い位置を、奥は広めの範囲を照らすと空間に奥行きが出る。
手前は低い位置を、奥は広めの範囲を照らすと空間に奥行きが出る。

室内から夜の庭を愛でる

夜にリビングから庭を眺めるなら、光の明るさのバランスを考える必要があります。室内と外が同じか、もしくは外のほうが明るくなるように計画しましょう。そのためには、室内を調光できるような設備を前もって考えておくことが大事です。また、室内と庭を一体の空間と考えて、照明の色調も合わせるのがベターです。

室内から夜の庭を楽しむ時は、明るさを庭と同等にする。
室内から夜の庭を楽しむ時は、明るさを庭と同等にする。

器具選びと電気配線

屋外に設置する照明器具は、堅牢性が重要です。雨ざらしに耐える素材を選びましょう。最初にコストはかかりますが、長く使うことを考えれば経済的です。ガラスや金属の器具は、アクリルやプラスチック素材の廉価な器具に比べ、光の量や質に圧倒的な差が出る上、見た目にも高級感があります。美しい庭のためには、素材感にもこだわりたいところです。

庭に照明を設置するには、屋外に電気配線が必要です。工事をしっかりすることで、漏電による火災など、思わぬ事故を防ぐことにもつながります。信頼できる業者に依頼しましょう。

光を拡散せず、足元だけを照らす器具は誘導灯に最適。
光を拡散せず、足元だけを照らす器具は誘導灯に最適。

近隣への配慮と省エネ

隣の家に光を漏らしたり、影をつくったりしないように配慮しましょう。どんなにすてきに庭を飾っても、ご近所に迷惑をかけたり、街並みになじまない照明であってはいけません。

ライトを消し忘れて深夜に煌々と庭を照らす、といったことを防ぐためには、オンオフの時間を設定できるタイマーをおすすめします。省エネにもつながりますし、帰宅前に点灯する設定にしておけば、光が帰りを迎えてくれる喜びも得られます。人感センサーや明るさに反応するセンサーなども、生活シーンに合わせて有効に活用していきたいものです。

庭づくりは楽しい!

テラスやウッドデッキはリビングの延長と考え、快適な空間づくりをめざしましょう。そして、昼間とは違う表情を見せる庭の夜景を楽しんでください。「庭は難しそう」「照明のことはよくわからない」と悩まず、室内を考えるのと同様に発想してみましょう。

照明プランに迷ったときは、実際にいろいろな角度から樹木を照らしてみて、いちばんきれいに見える光の当て方を探ってみてください。その地道な作業こそが、庭づくりの重要なポイントであり、またいちばんの醍醐味でもあるのです。

おすすめ照明器具4選

照明器具は主役を照らす陰の立役者。
庭や外壁に違和感なくなじむものをおすすめします。

スパイクボラードライト CO5[H-259B]

スパイクボラードライト CO5[H-259B]

特徴:直径わずか50㎜の差し込み型。天面斜めカットで、狙った方向を照射できる。/材質:アルミ、ガラス/サイズ(㎜):φ50×H291( 全長)536 /消費電力(W):3.8 /価格(税別):44,000円

スパイクスポットライト CO5[T1116B]

スパイクスポットライト CO5[T1116B]

特徴:直径60㎜。存在感を感じさせないシンプルなデザインで、庭を引き立てる。/材質:アルミ、前面強化ガラス/サイズ(㎜):φ60×H342(全長587)/消費電力(W):9.5/価格(税別):49,000円

ボラードライト
MO-series
[H-304]

ボラードライトMO-series[H-304]

特徴:天然木のやさしい風合いが庭に自然となじむ。/材質:アルミ、人工再生木、アクリル/サイズ(㎜):W88×D88×H350(全長750)/消費電力(W):13/価格(税別):98,000円

ポータブルグローブライト BEGA[H4285]

特徴:球形の柔らかな光が庭のアクセントに。/材質:ステンレス、樹脂白色/サイズ(㎜):φ450×H445/消費電力(W):7.4/価格(税別):130,000円


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㈱YAMAGIWA

1923年創業。光源開発から照明計画を中心とした快適な建築・住空間の提案、オリジナル照明器具や輸入照明の企画・販売、インテリアのコーディネートまでを行っています。

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写真提供=㈱YAMAGIWA

 

チルチンびと 97号掲載

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