木の家と人の健康・快適性

木の家と人の健康・快適性

木の家と人の健康・快適性

人が24時間健やかに暮らすためには、
温度・湿度のみならず、香りや睡眠に至る
さまざまな要因が求められます。
実験棟を建てて無垢の木の空間がもたらす効能を検証します。

九州大学・安成工務店・トライウッド共同プロジェクト 
文=清水邦義(九州大学農学研究院准教授)、藤本登留(九州大学農学研究院准教授)ほか九州大学ワーキンググループ

1.研究されてこなかった木の家の健康

日本人の歴史と文化は、木を利用してきた歴史と文化と言っても過言ではない。古代から現代に至るまで、木はさまざまなかたちで日本人の生活にかかわっており、日用品や工芸品など生活文化や生活様式を代表するものの多くが木でつくられてきた。特に、四季の変化が激しい日本では木造住宅が好まれており、温度・湿度の調整作用や木材の放つ香り成分(揮発性成分)が人々の健康や快適性に少なくとも一部は関与していたと考えられる。

昨今の健康志向の高まりにより、木材が人の心身に及ぼす効果・効能を期待する住まい手の潜在的ニーズが存在する。「木材は人と相性がよい」、「無垢材を用いた家ではよく眠れる」など経験的に語られてきたが、それらについて科学的に検証した例は少ない。

我々のプロジェクトでは、2012年の秋に無垢材である「津江杉」を内装に用いた建物(無垢材棟)、表面が塗装やクロスで覆われている新建材を用いた建物(新建材棟)の2棟の実験棟を、九州大学のキャンパス内に建設した。見た目の印象が同様になるように、新建材棟の壁紙には無垢材に近い木目調のものを用いた。これによって、空間での温度・湿度や揮発性成分といった物理・化学的条件を測定でき、さらに空間に滞在した際の人の生理心理応答を測定・分析することが可能になった。

実験棟について

実験棟について

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