木の家と人の健康・快適性

4.男と女は木の家をどう感じるのか〜心理応答の違い
前述した作業課題実験や睡眠実験では、大学キャンパス内で協力を得やすい男子大学生を対象として調査を実施した。しかし、住宅購買層は若年層よりも中高年層が多く、購入時に女性の意見が反映されることも多い。そこで、対象者の性別・世代を拡大して、各世代の男女(男性32名、女性51名、22~80
歳)を対象にして、20~30分程度の短時間の滞在中の心理応答(室内の印象評価)を調査した。
結果から、室内の印象評価において、それぞれの実験棟間の違いが認められた。また性別ごとに検討すると、女性において無垢材棟と新建材棟の違いを鋭敏に区別していることが判明した。さらに全調査終了後に「どちらの部屋に住みたいか」という質問を実施したところ、女性の34名(全女性被験者の67%)が、無垢材棟に住みたいと回答した。これらの回答の要因としては、無垢材棟の質感(見た目や触り心地の印象)や香りといった側面が影響していると考えている。このような心理応答の違いを受けて、2014年度には若年女性と中高年女性を対象とした生理応答実験や滞在時の肌質の評価実験を実施しており、データ解析を進めている。
一方で、最近の我々の研究結果では、性別の違い以外で、木材を用いた空間への好みや嗜好性といった個人特性が、滞在時の気分や印象評価へ大きく影響しているという結果も出ている。現状の我々の見解としては、性別や年代については一概には言えず、これからのデータを蓄積していくことが重要だと認識している。
性別による人の心理応答を調べる

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