木の家と人の健康・快適性

2.木の家は疲労回復と睡眠効果にすぐれている?
人の生理応答実験として、健康な男子大学生10名を対象として、昼間のデスクワークを模した認知課題実験を実施した。
実験内容は、課題前に床に大の字に寝そべる安静状態(10分間)、作業課題(10分×3回、3種類の図形の中から1種類を選択してボタン押し)、課題後に再び安静状態(10分)を設定し、課題中は脳波6部位および心電図を計測した。各協力者とも、無垢材棟と新建材棟の両棟の計測に参加し、各実験棟での計測は別々の日に実施した。
実験結果では、脳波において明瞭な違いが認められた。モニターでの作業課題中に、新建材棟よりも無垢材棟において、アルファ波が低かった。作業課題中のアルファ波は疲労度合いや注意の大きさの指標として使われることがある。この実験では無垢材棟でのアルファ波が低かったことから、課題中の疲労
度が小さく、課題への注意が増していると考えている。
次に健康な男子大学生6名を対象として、夜間の睡眠ポリグラフ検査(脳波、心電図、眼球運動の測定)を行い、各実験棟での睡眠の質にどのような違いがあるか測定を試みた。睡眠に関する質問紙の結果から朝型傾向を示す1名を除外した5名において、睡眠段階を覚醒期、睡眠段階1~3、レム睡眠期に分類し、各段階の合計時間を算出した。結果から、レム睡眠期(体は眠っているが、脳は覚醒に近い状態)の合計時間は新建材棟のほうが長く、睡眠段階3(深い睡眠で、外からの呼びかけにも反応しにくい状態)の合計時間は無垢材棟のほうが長かった。無垢材棟の睡眠において、深い眠りの時間が長く、浅い眠りの時間が短いことから、無垢材棟のほうが睡眠の質は高いと考えている。
昼と夜の生理応答を調べる

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