地球にも人にも優しく エコロジー&エコノミーに暮らせる家

香川県高松市 注文住宅 菅組
香川県

地球にも人にも優しく
エコロジー&エコノミーに暮らせる家

高松市のシンボルのひとつ、屋島を背にした高台にあるT邸。
自然の力を上手に活かし、
季節の移り変わりを肌で感じられる空間の心地よさは、
身体だけではなく心の健康にもつながっている。

香川県高松市 注文住宅 菅組 T邸
設計・施工=㈱菅組 文=竹添友美

四季の移ろいを肌で感じられる
木の家で暮らしたい

25年ほど前、子育てしながらのマンション生活に終止符を打ち、一戸建ての家を建てようといくつかの住宅展示場に足を運んだTさんご夫妻。「土の上に木の家を建て、四季を感じながら人間らしく健やかに暮らすこと」を家づくりのテーマに探していたが、なかなかイメージする家に巡り合えなかったという。そんなある日、小学校の同級生だった菅社長のことを思い出して相談したところ、木をふんだんに使い、自然の力を利用して暮らすOMソーラーの家(※1)を提案された。それはまさにご夫婦の求めていた住まいだった。

化学系物質と人工的なにおいが苦手だというご夫妻の希望で、木のぬくもりをダイレクトに感じられ、調湿効果もある真壁づくり(※2)に。外壁は焼杉と漆喰、内壁には和紙を使用した。無垢の国産ヒノキを使用した手すりの親柱の彫刻は、大工さんの手刻みで仕上げた。「信頼していたので基本的にお任せしていましたが、設計面、機能性でもさまざまな提案で納得させてくれました。気づかないところも手直ししてくれたり、ずっと見ていてくれていたのがありがたかった」と語るTさん。医師という仕事柄日ごろから健康には気を遣っており、先日はフルマラソンで賞をもらったという。「怠けていたらいけないという気持ちになるんです」。前向きでいられるのは、自然体で暮らせるこの家だから。「冬はほんのりと暖かいし、夏はひんやりした涼しさが得られるのがいい。ファンヒーターやエアコンを使わず夏も扇風機だけですみます」。快適な室内空間がもたらす効果が、身体だけでなく心の健康にもつながっている。

「りんご型の家」が
家族をつなぐ

この家のもうひとつの特徴は、設計士がこだわった「りんご型の家」(※3)。家全体を一つのりんごに見立て、部屋を廊下で仕切らず間仕切壁を最小限にし、家族の距離を近くに感じたいというTさんご夫婦の希望を叶えた。玄関を入ると、木目の美しい太く立派な梁と、ダイナミックな吹き抜け空間が迎える。広々としたLDKには、高台にあることを生かして見晴らしのよい大きな窓とサンデッキを設置し、芝生の庭と、高松の市街地、広い空が見渡せる贅沢な生活空間になった。

「子どもが小さかった頃、2階で遊んでいても声が聞こえ、何をしているのかわかりました。出かける時も帰ってきた時もリビングを通るので、常に子どもに目が行き届く。それもあってか、親子の距離は今でも近いです」。

二人目のお子さんが小さいころに増築し、子どもたちが巣立った昨夏には改築工事を行った。これから先のことも考えて、ベッドルームを2階から1階に下ろし、庭側に移設したお風呂は明るく開放的に。2階の子供部屋は3人の子どもたちがいつでも帰省し、心地よく泊まれるようにとベッドが整えられている。リビングの真ん中には薪ストーブを設置し、火入れ式の日には、Tさんと社長が二人で着火した。揺らめく炎をみんなで囲みながら、思い出話に花が咲いたという。「これからも、みんなが集える家というのがいい」とご主人。「子育てが終わって次のステージへの準備ですね」と奥さま。「近い将来孫ができると思うので、この芝生の上でバーベキューをしたいですね。私たちも元気でいるために、日々努力です」と語る。

自然に感謝しながら、
幸せな暮らしを叶える家づくり

地域に根差す工務店として菅組が大事にしているのは、自然と寄り添い風景に溶け込む住まい。移りゆく季節を感じながら、自然に感謝し、その力を上手に活かしながら、地域・人々・その風土とともに「木の家」をつくること。そして、単なる夢を叶える注文住宅ではなく、お客様の幸せな暮らしのために共に歩む家づくりだ。四半世紀にわたって見守り、家族との関係を育ててきたT邸には、そんな菅組の理念が体現されている。これからもお互いの記憶の1ページに残り、何十年経っても一緒に振り返ることができるような住宅を建て続けたいという。

※1 OMソーラー
自然の力を利用して1年中温度のストレスを感じにくい住環境を作るパッシブデザインの考え方から生まれた。冬には屋根で集熱して空気を暖め、ファンとダクトを介して、床下に運び家全体を暖める。夏の昼間には屋根の熱を排出して換気し、夜には放射冷却で冷えた屋根の空気を室内に取り込む。
※2 真壁づくり
木造住宅の壁には、大別すると柱が室内に露出している真壁(しんかべ)づくりと、壁が柱をおおい隠す大壁(おおかべ)づくりがある。真壁づくりは木材が露出しているので、木目の美しさ、色の経年変化を楽しめ、木の持つ調湿機能で快適な室内環境が生まれる。
※3 りんご型の家
「りんご型の家」に対するのは「ぶどう型の家」です。個室をたくさんつくり、各部屋を廊下でつなげた間取りで、部屋を「実」とし廊下を「枝」、家全体を「房」と見立てた、まさに「ぶどう型」。核家族化の進む日本では「ぶどう型の家」が一般的に広がった。

香川県高松市 注文住宅 菅組 平面図

所在地 香川県高松市
家族構成 夫婦
面積 敷地 458.11㎡
延床 284.94㎡(1階 223.67㎡ 2階 61.27㎡)
竣工 新築(155.37㎡)1999年1月/増築(90.96㎡)2011年10月/板塀2020年6月/改修2022年9月
設計・施工 ㈱菅組 一級建築士事務所
構造形式 木造伝統工法・木造軸組工法・丸太組工法・その他
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板0.4 タテハゼ葺き
外壁=焼杉板15mm・ラスモルタル下地漆喰仕立て
軒天井=杉板12t 化粧現し
主な内部仕上げ 天井=床板30mm 素地現し杉板12mm 素地仕上
壁=PB12mm下地月桃紙張り
床=松無垢板15mmワックス仕上げ

株式会社 菅組
〒769-1406 香川県三豊市仁尾町仁尾辛15-1
 
私たち菅組は、明治42年の創業以来、住宅から公共施設までさまざまな建造物を手掛け、
地域の人々の暮らしを見つめてきました。
自社大工による「職人の目」を持った施工にもこだわりつつ、
充実した設計部とともに組織としての企画力、技術力、独創性を発揮して、
ひとつひとつ丁寧に実績を積み重ねてきました。
ベースにあるのは「地域で愛される総合建設会社」でありたいという思いです。

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