大人数で囲む、キッチンの工夫

大人数で囲む、キッチンの工夫

大人数で囲む、キッチンの工夫

人が集まるきっかけや目的に欠かせない「一緒にごはんを食べる」時間。
大人数で食事を楽しみたい!
そのためのキッチンづくりのアイデアを紹介します。

監修=ソラマメ 設計=瀧内未来 イラスト=山本アカネ 写真=中嶋大助

みんなで楽しむ、理想のキッチン

大人数で食の時間を楽しむために、キッチンにどんな工夫が考えられるでしょうか? 

食のワークショップユニット「ソラマメ」のメンバーで建築家の瀧内未来さんに、もてなしのタイプ別に理想のキッチンを3パターン設計してもらいました。

3例とも、室内の間口は5メートルに揃えています。奥行きはパターンごとに異なりますが、3.5メートルあれば実現可能。

瀧内さんはこれまでに多くのキッチンを設計。調理器具や設備にも精通し、今回は寸法をはじめ、実際のキッチンを設計する精度での提案です。多忙な母親として、またワークショップの主催経験から、収納や動線も熟考してもらいました。

誰でもウェルカム! オープンキッチン

大勢でにぎやかに。誰でも自由に使えるスタジオ型キッチンは二つの冷蔵庫を備え、回遊できるアイランド型のカウンターが中心。見通しもいいオープンなつくりに。

誰でもウェルカム! オープンキッチン

①自宅用の冷蔵庫
②広い多機能カウンター
大人数で囲めるアイランド型カウンター。シンクに加え、下部には食洗機・ゴミ箱・ワゴン・収納を備えたワークステーションだ。
③みんなの冷蔵庫
ガラス扉で中が見える冷蔵庫は、気兼ねなく使える。皆が使う食材や持ち込みのものを入れる。その上の保存食も見えやすい位置に置いておく。
④側面収納
子どもの絵本や筆記用具などを収納する。
⑤ベンチにもなる収納
子どもたちがたくさん来たら、ベンチとして座れる収納。荷物置き場としても活用できる。
⑥オープンな食器棚
食器棚は、誰でも出し入れがしやすいようオープンに。後片付けもはかどる。
⑦子ども用の立ち台
両面から手伝いができる。調理が見やすくなる台。台の下には、子どもが自分で取り出せる食器やカトラリー、水筒などを収納。
⑧両面から引き出せるワゴン
移動できるワゴンをカウンター下に収納。料理や鍋を運ぶのはもちろん、天板を作業スペースとして使うことも。中にはカトラリーや皿を収納。

平面図

中央のシンク付きカウンターは、皆で料理をするのはもちろん、食事もできるよう作業スペースを大きくとった。ガスコンロは並んで調理しやすい横並びの3口。冷蔵庫は自宅用と共用に分ければ、訪れた人も気兼ねなく使える。回遊しやすいよう通路幅はゆったりと。
側面収納立面図・カウンター立面図

おもてなししたい人のための切り替えキッチン

自分の料理でじっくりもてなしたい人のための、配膳もしやすい対面式キッチン。おもてなしの時は、跳ね上げ式のカウンターが大活躍。

おもてなししたい人のための切り替えキッチン

①パントリー
パントリーを通って回遊できる。
②両面から使える戸棚
調味料やちょっとしたカトラリーなどを収納。
③おばんざいカウンター
カウンター上に調理した惣菜などを並べてもてなすこともできる。片付けの時にも重宝。
④折り畳み跳ね上げ式カウンター
ふだん使わない時は、折りたたんでおき、来客時など使用時に跳ね上げられるような仕組み。

平面図

平面図

もてなしたい人のためのキッチンは、客とコミュニケ ーションを楽しみながら料理できるように。カウンタ ー上に物が置けて配膳にも便利な場所とした。パントリーをクローズドにしているが、回遊できる設計に。
カウンター立面図

狭い空間を広く使う、変身するキッチン

ふだんは家族だけのキッチンが、来客時には大人数で囲める食卓に変身。デスクがレールで可動し、いつものダイニングテーブルと合体する。

狭い空間を広く使う、変身するキッチン

①小上がりの床座スペース
可動式デスクを備えた小上がりは、ふだんは書斎や勉強コーナー。来客時にデスクを動かし、座の空間として、あるいは腰を下ろすベンチにも。
②可動式デスク
ダイニングテーブルと同じ高さの可動デスク。来客時は、ダイニングテーブルと合体させて使う。
③収納引戸
収納引戸をつけて、来客がない時は、キッチンと小上がりのあるリビングスペースを分ける。

平面図

平面図
ふだんはキッチンとリビングが引戸で仕切られている部屋。来客時は引戸を引き込みオープンにし、可動デスクをスライドさせる。ダイニングテーブルも左に寄せて合体し、大きなテーブルとして使う。
立面図


 

ソラマメ
保育園で知り合った3人が意気投合し、一緒にごはんを食べる会を結成。そこから発生した食のワークショップユニット「ソラマメ」。クラシフォン代表の建築家・瀧内未来さん(中)、器の通信販売店「うつわ、ごはん、暮らしの倉庫」を営む荷福千明さん(左)、食品メーカーに勤務する料理家・唐澤美和さん(右)。それぞれの得意分野を集結し、瀧内さん宅で行われる食のワークショップはいつも大人気。ケータリングも行う。

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