押さえておきたい ウッドデッキ豆知識

押さえておきたい ウッドデッキ豆知識

押さえておきたい ウッドデッキ豆知識

あると楽しいウッドデッキ。
我が家にも欲しいと思った時、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
ウッドデッキをつくる時の考え方や、素材、メンテナンスについてまとめました。

写真=垂見孔士 イラスト・鈴木 聡(TRON/OFFice)

①ウッドデッキとは何か?

家と庭をつなぎ、その上で家族が集う。春は花見、夏にはプールを出して遊んだり、夕涼みをしたり。ウッドデッキは、室内と庭の距離を縮めてくれるとともに、人と人のつながりも深めてくれます。

もともと「デッキ」とは、船などの甲板を指す言葉。室内よりもラフに使えることも甲板をイメージさせます。近年、デッキを「第2のリビング」と呼ぶ人が出てきました。バーベキューなど特別な時にだけ使うのではなく、そこで過ごす時間にくつろぎを見いだしているからでしょう。「デッキ・縁側 、外へと誘う空間」では、日本人が歴史的に縁側という形でデッキを楽しんできたという論考を紹介しますが、半屋外的な場所の心地よさは日本人のDNAに刻み込まれているのかもしれません。デッキは縁側に通じる心地よさと、より活動的に楽しむための広さをあわせ持っているのです。

②デッキの構造とは?

デッキの構造

風雨にさらされるデッキは、家本体よりも傷みが早く、10 年ほどで材の取り替えなどメンテナンスの必要が出てきます。ですから、家本体の構造に組み込むのではなく、釘ではなく、ビスなどを使ってラフにつくっておいた方が将来のためです。

建築家の加藤武志さんによると、1 階に設ける場合、地面からある程度(50㎝以上)の高さになるようにすれば、風がよく通り、湿気やシロアリなどの被害を防ぐことができます。上の基本的なデッキの構造のように、デッキの下にコンクリートを打つことで雑草などに対処できます。このとき、コンクリートに水がたまらないように、勾配をつけて排水できるようにしましょう。

次に、足に触れる板をどのように張るかです。木は必ず反るので、木表なり木裏なりを揃えて張ることが重要です(下イラスト)。それぞれにメリット、デメリットがありますので、施工者とよく相談しましょう。また、目透かし(板と板の隙間)や、板の幅も安全面や快適性に大きく影響します。目透かしが広すぎると、特に子どもは足の指を挟む危険が。9㎜〜12㎜ほどが水はけもよく、風も抜けやすい幅です。また板幅は、100 〜120㎜くらいが、反りも抑えられ、見た目にも大味な印象でなくなります。

そして張り方の向きは、室内がフローリングの場合、それに合わせた向きに張ると、視線が伸び、より広がりを感じるデッキになります。

木表を上に張る(右)と、足触りがよく、木目が綺麗にでる。
木表を上に張る(右)と、足触りがよく、木目が綺麗にでる。一方、木裏(左)を上にして張ると、水はけがよくなる。

③ウッドデッキの材質は?

ウッドデッキに使う材は、屋内とは違う観点で選ぶ必要があります。最も気になるのは、耐久性と足触りの2点でしょう。

屋外に木材を使う場合、水に強く、腐りにくい樹種を選ぶことが基本です。樹種によってその差は大きく、一般に国産材の中では、ヒバ、ケヤキ、檜、クリが腐朽に強いと言われています。ちなみに、清水寺の舞台は、巨大なケヤキの柱に檜の板を張ってつくられています。

また、耐久性には木のどの部分を使うかもかかわってきます。丸太の中心部「心材(赤身)」は、周辺の「辺材(白太)」よりも樹脂やタンニンを含み、耐蟻性にも富みます。

一方、足触りの良さを考えた場合、広葉樹よりも早く生長する針葉樹の方が密度が低いため、やわらかく、温かみがあります。他方、広葉樹は硬くて傷がつきにくいのが特徴。裸足で歩くデッキなら針葉樹、土足で使うデッキなら広葉樹がおすすめです。さらに硬さで言えば、外国産材のイペやウリンといった熱帯の広葉樹がずば抜けています。薬剤処理やメンテナンスフリーで20 年持つという説もあり、横浜の大さん橋など公共施設にも多く使われています。

このページにいくつか代表的な材の特徴を紹介しますので、使う場所を想定しながら比較してみてください。

やわらかく足触りがいい。耐久性は産地によって変わり宮崎・飫肥杉は造船材に使われるほど耐水性が高い。

杉

「檜風呂」として浴室に使われるほど耐久性と耐水性にすぐれている。

檜

ヒバ

防蟻・防虫効果が高いので、建築ではよく土台に使われる。また、浴室にも使われることが多い材。

ヒバ

クリ

耐久性、耐水性にすぐれ、虫害や腐食にも強い。育ちの遅い広葉樹なので、高価になりがち。

クリ
イペ

イペ

中南米原産の材。非常に硬質で摩耗に強く、公共施設や港などのデッキによく使われる。

ウエスタンレッドシーダー

北米西部に分布する、ヒノキ科の針葉樹。杉のようなやわらかさと、檜の耐久性を兼ね備えている。

セランガンバツ

セランガンバツ

東南アジアなどに分布する広葉樹。耐久性と強度にすぐれているので、デッキほか外装材などに使われている。

ベイマツ

ベイマツ

北中米の太平洋側が産地。硬くて耐久性があるため、橋などにも使われている。また、木目が美しいのも特徴。

④メンテナンスと塗装とは?

前述したように、ウッドデッキは注意してつくっても、腐りや割れなどの危険な傷みが出てきます。雨のあと、水がたまって乾きにくい部分などを見つけたら注意してください。DIYで板を部分的に取り替えることもできますが、施工会社にまず相談するのがおすすめです。

自分でできる比較的簡単なメンテナンスとしては、塗装があります。無垢材の場合、塗装せずに使っても、紫外線によってシルバーグレ―に色褪せた美しい経年変化を楽しむこともできます。もちろん、これは材自体の耐久性にはほとんど影響しません。

一方、塗装には紫外線や傷、腐朽菌などから木材を保護するメリットがあります。柿渋や亜麻仁油など自然素材の塗料であれば、健康面でも安心ですし、古色など自分好みの色合いに仕上げることで愛着もより深いものになるでしょう。ただし、多くの塗料は数年ごとに塗り直しが必要になるので、手間をいとわない人向けです。


塗り直しの要らない自然素材だけの保護塗料もある。「ウッドロング・エコ」(㈲小川耕太郎∞百合子社

チルチンびと 80号掲載

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