家族をつなぐのびやかなLDK

京都府京都市 注文住宅 ㈱彩工房
京都府

家族をつなぐ
のびやかなLDK

共働きをしながら
2歳の双子と5歳の兄、3人の男子を育てる冨田さん夫妻。
多忙な日々を乗り越える機能性と自然の心地よさを備えた
「世界に㆒つの空間」が家族の大切な時間を支える。

京都府京都市 注文住宅 彩工房 冨田邸
設計=松本直子 施工=㈱彩工房 写真=酒谷 薫

 

大きな窓がテラスへ、目の前の公園へと視線をつなぐ、開放感溢れるリビング。キッチン+ダイニングとのびやかにつながる楢材の床。無垢の木のぬくもりが足の裏に心地よい。天窓から注ぐやわらかな光が時間や季節によって変化する。この家の2階に上がると、家の中にいても屋外にいるように自然の美しさを身近に感じられる。

「冬でも窓からの光が差し込んで夕方までリビングの暖かさが保たれていますし、夏も山からの風が入って、冷房なしで涼しく過ごせました。在宅勤務が中心になって街中を出歩くこともあまりなくなりましたが、家の中で仕事に集中できて、気分転換に公園にも行けるし、子どもたちものびのびと過ごせています」という妻の冨田利香さん。「窓はこの家の中でもいちばん大切にしていて、木製の建具にすることにはかなりこだわりました。窓枠は幅広の杉材で、ベンチ代わりにもなります。ハイサイドライトは建築家の松本直子さんの提案。暗くないかなと心配しましたが、自然な明かりが心地よくて、結局こうしてもらってよかったです」という夫の芳夫さん。ともに新聞記者として忙しく働きながら、5歳の長男朔太郎君と、2歳の双子の君と周君と暮らす。

双子が生まれて、それまで住んでいた街中のマンションが手狭になり夫婦にとって家づくりは喫緊の課題になった。もともと、新聞記者になりたての頃に京都南部で林業の取材にあたっていた芳夫さんは、大雨による土砂災害を毎年のように経験して、山の保全に少しでも貢献できる地元産材で家をつくりたいと思っていた。また、農業を営む実家の風景を思い、子どもを育てるならもう少し自然豊かな場所に住みたいとも考えていた。そんな中で一昨年、北山と宝ヶ池、目の前が公園という自然に囲まれた理想的な土地に出会い、地元の木をふんだんに使った家づくりをしている彩工房の住宅見学会に参加したのをきっかけに本格的な家づくりが始まった。

「『チルチンびと』のバックナンバーを読んでいて目に留まる家はいつも建築家の松本直子さんの設計だったんです。細部に至るまでこだわった美しいデザインと、機能的な家づくりをされているところに惹かれて、この方にお願いしたいと思いました」。「お子さんが3人いるのも一緒で、共働きでも狭くても、使い勝手のよい家をつくられているのが心強かったです」と彩工房の紹介もあり松本さんに設計を依頼した。

キッチンの周りをぐるぐると全速力で追いかけっこする双子たちを見ながら、「毎日笑って泣いて雄叫びをあげて、壮絶です(笑)」と、手馴れた様子でお昼ごはんの支度を始める芳夫さん。「上の子はちょっとお兄ちゃんにもなってきて一人で遊んでますが」と、壁際のテーブルで絵を描くのに夢中になっている朔太郎くんに目を向ける。「日々の食事と洗濯物の量が生半可ではないので、とにかく家事の負担を少なくして、家族皆が安らげる家をつくりたいというのがいちばんの希望でした」。育児を手伝ってくれていた利香さんのお母さんが体調を崩して入院したこともあって、芳夫さんは一昨年の夏から今年の3月まで思い切って育児休暇を取り、その間は家事育児と家づくりに集中したという。

朔太郎君を呼び寄せて、一緒にパエリアをつくり始めた芳夫さん。「いつもみたいにビール飲んで待ってたら? 」と利香さんに声をかけると「そうしようかな(笑)」と、双子たちと遊びながら手際よくテーブルの準備を整える。「休日はバーベキューをしたり、こうやってテラスでご飯を食べることが多いです。平日はどうしても二人とも忙しくて、家族一緒にご飯を食べることもなかなか難しいので、この時間を大切にしたかったんです」。さりげないチームワークに、大学時代をともに過ごした二人の阿吽の呼吸を感じる。子どもたちがプランターのハーブを摘んでお皿にのせると、食卓がいっそう華やかになった。

施工管理を担当した彩工房の中森真澄さんもまた、3人の子どもを育てる母親だが、「冨田さんのところは双子の2歳の男の子ですから、同じ3人子育てといってもうちとは比べ物にならない忙しさだと思いますが、子育てや環境にとてもていねいに向き合っておられ、お子さんへの愛を感じます」と感心しきり。

設計を手がけた松本さんは「冨田さんが細かいところまでよく調べてイメージしておられたので、その理想を叶えられるように良質で長く使えるものをどう予算内に納めるか考えました。土地柄や気候風土、素材については地元の工務店さんでなければわからないし、彩工房さんの持っている地元産材のストックがあってこそ、これだけさまざまな木材を予算内で揃えることができました」と語る。中森さんも「山が近くてもこれだけ大きな窓を入れる大胆でスタイリッシュな空間デザインは松本さんならでは」と、互いの持ち味を生かした家づくりを振り返る。

木の家づくりを熟知した建築家と地域主義工務店の得意分野で協働して、理想の家づくりが叶った。子どもたちが撮影の間中、ずっと笑って走り回って楽しそうなのが何よりの答え。大らかで暖かな家が、家族の団欒をゆったりと見守る。

 

 京都府京都市 注文住宅 彩工房 平面図

 

所在地 京都府京都市
家族構成 夫婦+子ども3人
面積 敷地 124.70㎡
延床 107.17㎡(1階 59.46㎡ 2階 47.71㎡)
竣工 2021年6月(工期2020年12月~2021年6月)
設計 松本直子建築設計事務所
設計・施工 ㈱彩工房
構造形式 木造2階建て
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板横葺き
軒天井=ケイ酸カルシウム板
外壁=ジョリパット ミーティア
主な内部仕上げ 天井=珪藻土塗り、一部杉板張り
壁=珪藻土塗り
床=1階 スギ厚30mm 2階 ナラ厚14mm

 

チルチンびと111号掲載|電子書籍でご覧いただけます

 

株式会社 彩工房
〒607-8029 京都府京都市山科区四ノ宮大将軍町15
 
住環境は森林環境、地球環境とつながっています。
彩工房は風土と暮らしを考え、住まう人の心身が健康になり、
環境負荷の少ない家づくりを目指しています。

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

Optionally add an image (JPEG only)