古梁を生かす大工の技 八ヶ岳に映える、のびやかな平屋
古梁を生かす大工の技
八ヶ岳に映える、のびやかな平屋
祖父から引き継いだケヤキの古梁。
思いをのせた材を生かす家づくりを叶えたのは、
確かな大工仕事で知られる地域主義工務店。
我が家に見惚れる幸せな日々を訪ねた。
山梨県南アルプス市 注文住宅 高橋建築舎 小池邸
設計・施工=㈲髙橋建築舎 写真=畑 耕
名前の通り美しい南アルプスを望むこの地に、小野夫妻は大屋根の美しい平屋を求めた。
玄関からリビングへ、土間縁側がのびやかにつながる。広々としたリビング・ダイニングは、見上げると重厚な古梁、見返すと開口からの緑と、贅沢な空間だ。さらに奥、トップライトから光が落ちる廊下を抜け、寝室はコンパクトに。将来の子ども部屋に並ぶ開口からは、緑が眩しい。
古梁を残す家づくり
「いちばんは、祖父の蔵にあった古梁を使ってほしいということ。それも、化粧梁じゃなくて、構造材として。そうお願いして、頷いてくれたのが、髙橋建築舎さんだけだったんです」と熱く語ってくれたのは、ご主人の小野健さん。ここで生まれ、妻の美咲さんと結婚後、先祖代々の土地と建物を引き継いだ。
「築50年以上は経っていたのかな、とにかく古くて大きい祖父の平屋に住み始めたんですが、雨漏りはあるし寒いしで、建て直しはかなり早い段階で決めていました」と健さん。古梁を生かしながらも住み心地のよい家へ、と求め、奔走した夫妻。インターネットで資料請求を重ね、モデルハウスを巡る日々の中、髙橋建築舎と出会った。「どこからも断られた古梁について、二つ返事で了承してくれて、拍子抜けしたくらい。予算の面でもかなり相談にのってくれて、頼りになります」(健さん)。設計を担当した髙橋建築舎の代表、髙橋敦さんは、設計力もさることながら、この道40年の腕のよい棟梁でもある。古梁への思いを汲んで、経験に培われた確かな技を駆使し、家の顔である玄関、リビング、廊下に現しとしてしつらえた。「古梁といえば松が多いけど、ここのはケヤキ。硬くて丈夫だけど高いでしょう。お大尽だったんだろうね」と笑う。経年によりさらに硬く締まった古梁は、手刻みも一苦労だった。「ノミやなんかの刃物が欠けちまうくらい硬くて、大変だった。でも、大工名乗るならこのくらい扱えなくちゃ」と頼もしい。
夫妻が平屋を選んだのは、健さんの祖父の家の影響。「私の実家は3階建てだったんですが、結婚して夫の家に移り住んでみたらあまりにも楽ちんで、建てるなら平屋だねって」(美咲さん)。
間取りについて、「間取りアプリを使って何枚も平面図をつくって、相談させてもらいました」と健さん。夜な夜な家づくりの相談をしていた頃を振り返り、「人生でいちばんパワーを使ったんじゃないかな」と夫妻は笑う。
我が家に見惚れる贅沢
梁はもちろん、木の家の住み心地と、ルックスに惚れたという夫妻。この家の好きなところを尋ねると、健さんは「軒の出方と裏の入母屋」、美咲さんは「廊下のトップライトと梁上の高窓」と、どちらも自邸の格好良さを褒め称える。「贅沢だなあ、と毎日思います」と美咲さん。見惚れる我が家をさらに彩るため、庭を手づくりするのが最近の休日の楽しみだそう。健さんは大がかりな外構工事もこなせるよう、なんとユンボを購入した。「メルカリで買ったんですけど、誰に言っても驚かれます」とのこと。
小野邸の歴史はまだ始まったばかり。自邸を愛でる夫妻の手で、年を重ねるたび魅力的に美しく、育まれていくのだろう。
所在地 | 山梨県南アルプス市 |
---|---|
家族構成 | 夫婦 |
面積 | 敷地 1150㎡ 延床 101.03㎡ |
竣工 | 2020年11月(工期2020年3月~11月) |
設計・施工 | ㈲髙橋建築舎 |
構造形式 | 木造軸組 平屋建て |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板 外壁=杉板 軒天井=珪砂漆喰 |
主な内部仕上げ | 天井=杉材、珪砂漆喰 壁=珪砂漆喰、檜材 床=クリ材 |
有限会社 高橋建築舎
〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8240-6959
有限会社高橋建築舎がお届けするのは安心の注文住宅です。
地元の気候や風土を知った立場から家づくりをご提案いたします。
在来軸組構法・ティンバーフレームの建築、エコリフォームなど、
八ヶ岳の麓、大泉高原を拠点にするミニマムな工務店です。
この記事へのコメントはありません。